『潜入ルポ 中国の女』読了

潜入ルポ 中国の女

潜入ルポ 中国の女

積ん読シリーズ

やっと読み終えた。
頁229で、

結局、雑駁な記録と記憶の羅列に終わったような気もする。

と書いてますが、そんなことはないと思いました。
群盲象を撫でるで終わりがちな中国人という対象に対し、
よくテーマしぼって掘り下げたと思います。
なにしろ人口十五億いるってことは、パーセンテージで日本の十分の一の人が、
日本と同じ数だけいるってことになりますからね。文系バカ計算ですけど。
だから決めつけで語るのがめんどくさい。そもそも人を紋切り型で語るのもアレですが。

頁64
 中国では五〇年代に整備された独特の戸籍管理制度が今も続いている。農村部に生まれた子供は農村戸籍となり、都市で生まれた子供と区別される。都市への人口集中を避けるため、というがこれは中国版アパルトヘイト(人種隔離政策)であり、事実上の身分差別制度といえ、農民の移動や就職選択の自由は大きく制限され、農民を貧しいままにしておく重石となった。
 九〇年代に入り、農民の都市への出稼ぎは比較的自由になったが、それでも農民戸籍のままで暫定居民証という都市居住資格だけを持つ二等市民に据え置かれ、都市住民が当然受ける医療・福祉・教育の恩恵を受けられず、安価な労働力として搾取される対象だ。中国の経済は農民という“国内奴隷”を利用して発展してきたと言っても過言ではない。近年はこの農村戸籍を廃止しようという議論も起きており、テストケースとして農村戸籍の廃止を試みた地方もあるが、それでも今なお戸籍管理は難しい。農民にとって、この戸籍制度から自由になる一番の近道は都市の大学に入学することだった。

頁85
 毛沢東時代のスローガン「婦女能頂半辺天(女性が天の半分を支えている)」から、中国は男女平等が進んでいるという人がいる。実際、上海や北京の都市中産階級家庭を見れば男性がかいがいしく働く妻のために料理や育児を担っている姿を目にし、私にも「結婚するなら中国の男性がいいですよ、家事をよくする」と勧める人もいる。だが中国人口の半分以上は農民であり、農村には中世封建時代と変わらぬ厳しい男尊女卑の価値観が根づいているのが現実だ。売春婦は、世の中でもっともいやしい職業のくせに金をもっている、という意味でしばしば、低層社会の敵意の的にもなっていた。北京五輪前に、北京市を流れる川などから売春婦とみられる身元不明の女性の殺害遺体が相次いで発見されたことが一部で報道されたが、それ以前もそれ以後も売春婦の殺害や失踪はしばしば発生している。ただ、警察が事件として取り扱わないし、関係者も事件として告発しないから、表に出てこないだけだ。私が個人的に知っているだけでも、北京市石景山区の場末の店に在籍していた売春婦二人が行方不明になっている。店の人間は、彼女らが殺されたと考えるに足りる心当たりがあるようだが、それを警察に言うことはない。警察に通報すれば、自分たちの違法売春営業が取り締まられることになるからだ。

頁91
 阿海は、今ひとつ乗り気でない私にちょっといらいらして、貧乏ゆすりを始めた。中国の男性は貧乏ゆすりをよくする。それは内心、コンプレックスを感じたり自信を失ったりしたときにでる癖だと聞いたことがある。悪いと思って、あわてて彼のルックスをほめちぎる。相手に気を遣わせる少爺(ホスト)なんて、日本ならすぐクビになるな、と心のなかで毒づきながら。

上ふたつは著者の立ち位置がよく分かる部分として、
下ひとつは著者の感性がよく分かる部分として、引用しました。
アマゾンで検索したら、宮脇淳子さん*1金美齢さん*2とも共著を書いているので、
元産経記者ということもありますし、御大櫻井先生とも如何、など思いました。