- 作者: 矢野浩二
- 出版社/メーカー: ワニブックス
- 発売日: 2011/09/30
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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アマゾン「この本を買った人は〜」で出てきた本。
『走向共和』、覚えてますよ。当時結構ネットで話題でしたね。
共和っつーと、下記の本の舞台も漢語名は共和じゃなかったかな、なんてね。
チベット語になった『坊っちゃん』―中国・青海省 草原に播かれた日本語の種
- 作者: 中村吉広
- 出版社/メーカー: 山と溪谷社
- 発売日: 2005/11/01
- メディア: 単行本
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頁239の文章は中国に限った話ではないと思います。
最後にものをいうのはやはり「縁分」だ。
日本でも義理を欠く奴は相手にされなくなるし、
私はむかし、“他没有朋友的人”のハゲとその一族郎党に関わって、
えらい目に会いました。
お付き合いは慎重かつ大切にしたいものですね。
この本の、簡体字と日本の漢字の住み分けが今ひとつ分かりませんでした。
「郷に入っては郷に従え」の中国語“入郷随俗”の「郷」を簡体字“乡”、
レストランの名前“金鼎軒”の「軒」を簡体字“轩”と書いてます。
でも、縁分の「縁」を“缘”とは書かない。中国語の単語なのに。
人名も日本漢字で書かれている。楊陽という人が登場しますが、
この人の姓名は、楊陽と書くと偏が違うだけで紛らわしいですが、
簡体字で書くと、“杨阳”となり、つくりもまったくべつの見かけになります。
(繁体字=正體字の考えを墨守する先生からすると、そんなの噴飯ものかもしれませんが)
日本の書籍なのだから、全部日本の漢字で書いちまえば楽だと思いますが、
一部でも簡体字入れるなら、そのルールがほしかった。
芸能ジャンルでも日中交流や相互すれ違いは盛んと思いますが、
この人みたいに日本語でしっかり目からウロコの内容を書ける人は貴重だと思います。
頁204
バラエティー番組に出演するうちに、日本と中国の笑いのスタンスの違いにいろいろと気付かされた。例えば、中国では、日本でいうところの“自虐ネタ”はあまり受け入れられない。「ハゲている」「チビである」などの欠点を晒して、自らを卑下することで笑いをとることはまずあり得ない。土下座の一件ともかかわることだが、プライドが高いという国民性もあって、頭を下げたり自らを卑下したりすることで笑いをとることはあまり多くはない。また、ボケに対して突っ込むときに、頭や体を叩くのも一般的ではない。下ネタについては、仲間内では大いに歓迎される一方、公共の場という意識が働くテレビでは敬遠される。罰ゲームの過激さはさておき、日本のお笑いのノリをそのまま持ち込んだとしたら、おそらく「やり過ぎ」と感じられるだろう。
私なんかこういう思考をすると、すぐ「他虐天国中国」みたいな思考の迷宮に入り、
障害者を指す単語の数々なんかを考えるだけで終わってしまうので、
筆者の姿勢はとてもためになりました。下記もそう(もっとそう)。
頁188
「実は、日本人で自分の作品に出演してもらったのは、浩二が初めてなんだ」
「そうなんですか」
次の瞬間、監督がゆっくりと、しかし確かな口調で語りかけたのは、僕にとって思いもよらない内容だった。
「君と仕事をするのは楽しいし、頼んでよかったと思っている。でも、浩二が、今、何を感じているのか……なんとなく僕にはわかるんだ」
僕は動揺しながらも、監督の言葉の続きを待つ。
「僕たちは、文化も考え方も違う環境で育った。冷たいようだけれど、一緒に楽しく仕事をしていても、所詮は別の民族であることは間違いない。たとえば、あってはならないことだけど、中国と日本で戦争が起これば、敵同士になる。生まれ育った国が違うということは、そういうことなんだ」
そこまで言うと、彼は再び湯のみを口へやった。僕は、普段の穏やかな人柄からは想像もできない監督の厳しい言葉に、少なからずショックを覚えていた。
「……でも、だからこそ、君が中国で暮らしていく上で、無理をしたり妥協したりすることが決してあってはいけない。文化や思想を理解することは大切なことだけど、受け入れることは、必ずしも必要ではないのだから」
「……」
「鬼子を演じるのは、もうやめなさい」
劉志監督の思いがけない一言に、ハッとした。
いい話だなあ。中国嫁日記やファンキー末吉も同じスタンスなんだろうけど、
こんなはっきり言わないでしょうから、言う人言える人はえらい。
頁166の軍事教練放り込みは、香川照之が“鬼子来了”で体験したのと似てますね。
- 作者: 香川照之
- 出版社/メーカー: キネマ旬報社
- 発売日: 2002/04/26
- メディア: 単行本
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せめて日本人役者にもそれくらいの経験さしとかないとサマにならない、
と中国側スタッフとしては考えるのでしょう。まったくそのとおりかな。
五道口ってことは、語言だったんでしょうかね。
近くに住んでれば続いたような気がします。