- 作者: 温又柔
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2011/01/05
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台湾籍の華人が台湾で、
髪を少しだけ切ってって言おうとしてうまく通じなくてバッサリやられた、
て話は初めて読みました。とても新鮮。
そういう小説です。
日本育ちの台湾人(本省人)が主人公。
とは言っても、
光復以降中文で教育を受けた両親が、仕事の関係で来日滞日という経緯。
日本語世代の祖母は台湾から出たことない。
陳舜臣のように、
戦前から日本にいた一家が戦後日本国籍から切り離されて、
「三圀人」になってしまったというおうちではありません。
邱永漢のように、
戦後台独に関わって日本に亡命せざるを得なくなったわけでもなさそうです。知らんけど。
で、本人は、ヒアリングは台日中全部出来るが、
日本語以外なんとなく喋らずに育ってしまった。
ま、これは、パラリンガルは複数の言語を飛びながら思索するため、
ひとつひとつが深くない浅い、みたいな通説を避ける意味では、よかったのかも。知らんけど。
そして大きくなって中国語を学び直すが、普通话とピンインで学ぶ。
台湾語を書くときはカタカナ。
その、簡体字とピンインで学び直すところが、ちょっと不思議でした。
別に日本でも、國語と表音字母で学ぶことは出来るのに、なぜ簡体字とピンインで学ぶ。
わざわざ、父母の発音そのままの南京官話を満洲八旗みたいな捲舌音に直されてwww
そういう時代なんですかね。意味がよく分からない。
韓国学校卒業して金日成総合大学に入るようなものではないか。
- 作者: 鈴木洋史
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夏休みとか帰台して軽い軍事教練とか受けて、
カービン銃うたしてもらったりしてたってあるのに、
今だと普通话と拼音もOKなのか〜、
正體字でないとダメって言われないのかな。
- 作者: 愛新覚羅浩
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- 作者: 福永〓@49E0@生
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中華民国から日本に来てた教師が寮の風呂を覗くとか書いてたのを読んだ記憶があります。
お父さんの溥傑は大陸にいるし、揺れる年ごろだし、て考えると、
その直後に彼氏の日本人壮士のピストルで心中って、ほんとかよって今でも思う。
こういう時代なら、北京風の左巻きの語彙を学びたい人がいるのは、分かる。
今は台湾も大陸経済とのつながり抜きには考えられない時代だし、変わりましたね。
- 作者: 野田正彰
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http://www.toho-shoten.co.jp/toho-web/search/detail?id=168582&bookType=ch
http://www.smcbook.com.tw/shop2/product_info.php/info/p12387_---------------.html/XTCsid/
さらにその前には、やはり台湾出身で、ほんとに北京で学び直した北京ローズみたいな
人もいるわけです。
- 作者: 犬養健
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延安の日本語放送は東京弁、重慶は名古屋訛りがあったとか。
21世紀はイデオロギーの対立とかが経済優先で押されて、いい時代かもしれません。
で、たぶん作者はそういうこと知ってると思うんですよ。
作者が知らなくても、作者のゼミの川村湊は知ってないとおかしい*1。
知ってるなら弟子には伝えないと。
リービは知らなさそうだけど。
なんだけど、頁42で、台湾のパスポートなのにピンイン表記というミスがある。
この見落とし、最初のほうでいきなり来るので残念。
ウェード式でちゃんと書いてほしかった。
台湾の注音符号と人名のアルファベット表記について
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1275697392
なんで主人公のセリフだけ中国語を簡体字で記載してるんだろう、台湾人のはずなのに。
って読者の疑問に対し、
読み進むにつれて分かりますよ、って作者はたくらんでるわけですが、
パスポート表記でそれがおじゃん〜、台無し〜。
全部チェック仕切れなかったけど、頁261でも、
台湾から観光で来日した親戚のセリフを簡体字で書いてます。
神は細部に宿るから、ちゃんと校閲してほしいなと思います。
作者だけの責任でなく、選考委員とか、編集者とか、法政大学とか、みんなでね。
頁201に、アルホワしてない「玩」が出てきて、ああ、台湾そうだったな、
と思いました。最初、体調が悪くて「晩」の声調がちゃんと聞こえないのかと思った。
思うに、大陸は、「儿」が簡単な字なので、
本来巻かない地方でも、わりと気軽にいろんな単語エセ的に巻くんじゃないかな。
でもそれが正體字で書くことになって、
金妍兒の「兒」が毎回後ろにつくと思うと、なかなかアルアル言えないアルよ。
ポコペンシンジョ。
主人公は、逆ナンした日本人大学生に、自分だけの渾名をこっそり付けますが、
その漢字の読み方が日本語なのか中国語なのか台湾語なのか、
最後まで明かされません。
マイセン?ボーンチャイナ?セッタのマイルドな味?
『蟻の兵隊』に出てくる、勝手に収穫作戦?分かりませんでした。
作者名の検索結果で出てくる画像だけ見ると、
けっこうティピカルな台湾顔のお嬢さんに見える(こわいですね先入観って)ので、
お嬢さんがよくやる秘密の謀らみなのか、と思ってほっとくことにしました。
あと、この本に出てくる日本語の先生は、中国人に、
日本語の文脈では自分の名前を日本語読みすることをきっちり教えています。
楊逸はヤンイーでなく、よういつ。頼みますよ、ほんとに。