『花影』読了

花影 (講談社文芸文庫)

花影 (講談社文芸文庫)

http://ecx.images-amazon.com/images/I/614uNmAQ9LL._SL500_.jpg『さらば銀座文壇酒場』
*1第一章に出てきた本。

下記の女性を、
自死の半年前?まで
愛人にしていた作家が
モデル小説として書き、
別の男性を
肉体関係はないが
ヒモのような
存在として書き、

作家の死後、
白洲正子
それを糾弾する
というクラクラするような
時系列の出来事を、
いましみじみ咀嚼しつつ
これを書いています。
めんどくさい。


坂本睦子 Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9D%82%E6%9C%AC%E7%9D%A6%E5%AD%90

読んだのは画像の版。旧字旧かなづかいで、良かったです。
参考のため、童貞力小谷野敦が上述の人間関係を解説してる講談社文芸文庫も見ましたが、
文庫頁157の台詞に「もう一度」が付け加えられたのは1995年の筑摩書房全集からと、
小谷野敦が解説で書いてくれていたので、違いが判ってよかったです。
で、この講談社文芸文庫筑摩書房全集が底本とのことだったので、
葉子の母がやってた支那料理屋が中華料理屋に変っているのはここからなのか?
と思いました。面白かったのは、支那呼称は書き換わっているのですが、
二ヵ所ほどあった「第三國人」という単語は、
漢字が新字に変わっただけでそのままだったです。

なんというか、よくもまあ、身近な女性で、死んじゃった人を、
捨てた俺も悪いがたかりっ放しのあの男も悪い、みたいな感じで、
冷静に書けるものだ、と思いました。
私には無理です。(私は作家じゃないですけど)
戦争で極限体験してるから、これくらいじゃ平静を乱されないのかな。

酒の力を借りないと接客出来なくなってて、多分鬱も入ってるような描写は、
非常に上手いので、その意味で、
読まなくていい人は読まなくていいです。
ちょっと私もいま、影響下というかコントロールというか、
そういう悪寒が、読了後から続いています。めんどくさい。以上