これも世界の洋酒事典の
エッセーアンソロジー*1に
出てた本。
座談会で、イギリスの
パブの名前には
変な名前が多いが、
あちらでは意味が通るし、
普通なんだね、
その証拠にこんな
ミステリーシリーズが――
といった調子で
紹介されてた本。
新装版が出てるようですが、
図書館で借りたのは
1985年の版。訳者が同じなので、
訳も同じだと思うのですが、
表紙が下記のように違います。
あと、活字がたぶん小さい。
今の文庫本はこんなに
活字が小さくないはず。
昔はみんな若かった。
- 作者: マーサ・グライムズ,山本俊子
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2014/10/10
- メディア: 文庫
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確かに原題の
画像検索で、
こういう絵が
いくつか
検索出来ました。
でも文春文庫の
表紙は和田誠。
http://www.clker.com/clipart-a-poor-man-loaded-with-mischief-or-matrimon-y-drawn-by-experience-engrav-d-by-sorrow-.html
http://www.bbc.co.uk/arts/yourpaintings/paintings/the-man-loaded-with-mischief-48684
音楽も検索出来ました。
あと赤ちゃんに対して使っているところ。
ほんとに生活のなかで生きてる警句というか、まじない言葉なんでしょうね。
それを冠したパブがあって連続殺人があって、という小説ですが、
この小説に出てくるパブは、キングスレー・エイミス*2が描くような、
男の入り浸るところ*3ではなく、宿としての機能もあって、
おいしいイギリス伝統の朝食や午後の軽食もとれる、
(イギリスでおいしいというのも変ですが)女性も配偶者と訪れる居酒屋、
といった雰囲気です。それで、その、毎回珍妙なパブの名前をタイトルに冠した
推理小説シリーズが前世紀陸続と刊行され、英語圏ではその後も刊行されたのに、
日本では21世紀ストップしてしまったようです。なぜですかね。
マーサ・グライムズ Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%82%B5%E3%83%BB%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%A0%E3%82%BA
けっしてつまらない小説ではありませんが、上記のような具合ですから、
アル中は、村の呪い師みたいなババアしか出てきません。
パブでちょこちょこ手伝いをして、その代価の一杯二杯の酒にありつくババア。
ジンにモグラの干したのを入れて一週間飲むと風邪ひかないとか、
殺人事件が起こったのでスカンクの皮をはいで戸口に吊るして魔除けをしたとか、
どこの魔術的リアリズムなのかと思いました。作者はアメリカ人ということで、
合衆国は蝸牛考でいうと逆に古いイギリスの風習が残っていると考えてもよいわけで、
魔女のいるセーラムとか、これはイギリス系ではないですが、
アーミッシュとかもいるので、そういうファンタジーにしたのかなっと思いました。
アーミッシュ Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%BC%E3%83%9F%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A5
http://www.urbandictionary.com/define.php?term=anglophile
作者は前述したように
アメリカ人ですが、
作者みたいな人を、
アングロファイルと
呼ぶと訳者あとがきに
ありました。
http://www.okcupid.com/tests/the-anglophile-or-anglophobe-test
http://www.keepcalm-o-matic.co.uk/p/-proud-anglophile-/
http://www.keepcalm-o-matic.co.uk/p/keep-calm-and-be-an-anglophile-2/
悪い小説ではないのでもう少しシリーズ読んでみますが、
須賀田さんシリーズのようにのめり込むことはないだろうな。
The Man With a Load of Mischief (Richard Jury Mystery)
- 作者: Martha Grimes
- 出版社/メーカー: Onyx
- 発売日: 2007/08/28
- メディア: マスマーケット
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返却する前に、ふたつ追記。
ひとつ、ご当地の不思議なパブ名称のひとつ、「二つ首のスワン」亭の由来についての箇所。
ネタばれを含みます。
頁181
「昔は、王家の鳥は、くちばしに刻み目を入れて、ほかのと区別していたんだよ。ぶどう酒醸造業者もそれに類したことをやっていたと聞いている。そんなふうにして、スワンの持主をくちばしの刻みで区別したんだ。だから、ほんとうは“二本の刻み目ニックのついたスワン”ということなのさ。多分看板を描いた絵描きが文盲で、字が読めないか、あるいは綴りを知らなかったため、首ネックとまちがえたんだろう」牧師はチーズとピクルスのサンドイッチの半切れをつまみ、満足げにゆたりと椅子の背にもたれた。
(中略)
牧師は得意の舞台からなかなかおりようとしなかった。「この種の例はほかにもいくつかあるんだ。意味が変っちまった例ね。ウェザリントンを出たところに〈牛と口ブル・アンド・マウス〉という旅館がある。どういう意味から出たか、わかるかね」答えを待たずに牧師は続けた。「ヘンリー八世がブーローニュ港を占領した祝賀記念の看板さ。つまり、“ブーローニュ・マウス”だ」牧師はめがねをかけ直した。「わたしの好きなのは、〈象と城エレファント・アンド・キャッスル〉だ。これにはいくつか説があってね。“象の骨をみつける”という意味から、“エレオノール・ダキテーヌ”に至るまで、いろいろさ。しかし、わたしの考えでは、“城キャッスル”は象の背中の輿のことだと思うんだ。昔は、町の中を看板を調べて歩く役人がいたってこと、知ってるかね。青い雄豚だの、よろいを着た豚なんかの看板は追放になるのさ」牧師は笑って、話を続けた。「そういうことが、千七百何年かの『スペクテーター』に出ている」
あと、伝統イギリス料理として、燻製ニシンやツノガレイが出てきて、
知らないので検索しました。
燻製ニシンの虚偽(英語: red herring)Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%87%BB%E8%A3%BD%E3%83%8B%E3%82%B7%E3%83%B3%E3%81%AE%E8%99%9A%E5%81%BD
ツノガレイの画像
なぜこの画像が
和風となっているのか
考えましたが、
アタマを落して
ないからですかね。
ほかに思い当らない。
上海でもこんなふうに
頭残してました。
How to cook plaice Japanese way
http://sarijapani.wordpress.com/2010/06/23/how-to-cook-plaice-japanese-style/
この女性まで
引用するのは
気が退けましたが、
下半分だけ
借りるすべを
知らないので…
なんでオリエンタル
なんだろう。
Grilled Whole Plaice with Poached Hen Egg, Bumpkin, London
http://foodsessed.com/whole-grilled-plaice-brown-shrimps-nettles-ramsons-ramps/
(2014/12/16)