- 作者: 伊藤精介
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 1999/02
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十二歳で見習いとしてこの世界に入って、爾来七十余年一線で活躍した名バーテンダーの、
ルポルタージュです。発表当時現役であったためか、作品より、
題材の名声で読後感が左右されていたのではないか、という気もしています。
私は、コリドー街がどこにあるのかもしらない人間ですので…
文庫解説が佐野史郎なのも、よく分かりませんでした。
義母が、常連だったそうですけれど…
バーテンダーはこんな曲芸が出来なくてはいけないのかと落胆していた時期もありましたが、
目端が効くこと、気配りが出来ること、モテ要素がフルにあること、などのほうが重要であると、
まさに痛感出来る一冊です。あと、清潔さと、控えめな洒落乙、交際能力…
頁91で引用されている大佛次郎の随筆の地階を一階の誤りではないかとしていますが、
英語のグランドフロアーイコール米語のファーストフロアーってだけじゃねえか、
と、べらんめえ調で、思いました。
頁131、山田五十鈴さんの旦那もメチルで死んだとあり、
検索すると山田五十鈴の配偶者は五人ぐらいいて、その中の月田一郎という人かな、
と思いました。http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%88%E7%94%B0%E4%B8%80%E9%83%8E
この本、第六章に、所謂性の防波堤、"Recreation and Amusement Association"が登場、
作者も、その挿話を挟むべきか悩んだそうですが、個人史の光と影、
敗戦下に於いてそういう仕事もしたという事実を伝えておかねば、ということで、
資料からの孫引きも交え、「世界最大の白奴隷トラスト」(頁140)について書いています。
これの必要性を強く強調したのが東久邇内閣国務大臣近衛文麿とあり、うんざりしました。
不拡大方針を唱えつつ支那事変を拡大させた近衛の伯父様、ここでも大活躍でしたのね(´Д`)
私も昔下記の資料を読み込んだことがあって、本当に嫌でした。
↓ ↓ ↓ ↓
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%BF%91%E8%A1%9B%E6%96%87%E9%BA%BF#1937.E5.B9.B4.EF.BC.88.E6.98.AD.E5.92.8C12.E5.B9.B4.EF.BC.89
日本と国民党が全面戦争になって一番得をしたのが、アメリカと中共であることは、
論を待たない事実で、特に共産党については、
日本が満洲を侵略しているのに何故同民族同士戦わねばならないのか、
という国民の声を無視して国民党が行っていた清野作戦が成功するかに見えたその刹那、
起死回生の西安事件を行い、その下地作りが盧溝橋事件通州事件で一気に開花、
完全に息を吹き返した絶好の好機となったわけですから、
敵に塩を送るのもいい加減にしなはれ、です。
そんなオッサンが、最盛期で七万人、性病蔓延で閉鎖の際も五万五千人残った邦人パン助の、
内助の功であったとは、けっこう嫌な発見でした。
夢顔さんによろしく 上―最後の貴公子・近衛文隆の生涯 文春文庫 に 9-3
- 作者: 西木正明
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夢顔さんによろしく 下―最後の貴公子・近衛文隆の生涯 文春文庫 に 9-4
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夢顔さんによろしく (上) 最後の貴公子・近衛文隆の生涯 (夢顔さんによろしく) (集英社文庫)
- 作者: 西木正明
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夢顔さんによろしく (下) 最後の貴公子・近衛文隆の生涯 (夢顔さんによろしく) (集英社文庫)
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と正確に規定した描写に好感が持てました。
頁168、日本バーテンダー協会の設立と黎明の資料に、
エージェントがエゼントと書いてあり、
そこも印象に残りました。私はもてませんのでバーテンにはなれませんが、
光る素材も、出る釘を頭越しにビシャリビシャリと打たれる辛い下積みを経て、
独立を促す風が吹いて花開くんだなあ、と改めて感じました。
新成人にも読んでほしい一冊です。(こじつけ)