『飛田ホテル』 (角川文庫)読了

ほかの方のブログ*1で知った
黒岩重吾の大阪南部もの
3冊目*2。やっと読みました。

今回も読んだのは、
司修*3表紙(上の表紙)のもの。
川井輝雄バージョン
(下の表紙)は読んでません。

今回もハデに近松心中もの、
というか、女が死んじゃう、
イノチでケリつける
話ばっかでした。
薄倖って、そういうことでも
ないだろう。と思いました。

頁271「夜を旅した女」
「お時さん、おりましたやろ?」
 静代の母の名前は、時子といった。私が頷くと、
「昼日中から、かやを釣っとったんと違いますか」
かやを釣る、とは男女が関係することを意味しているようだった。

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頁273「夜を旅した女」
 定子は、静代の手紙を保存していて、私に見せてくれた。
 …私は今、大阪の恵美須町の喫茶店に勤めています。なにをしても面白くないし、将来に夢もありません。ただ時々、お金がたくさんあったらなあ、とそんなことを、夜遅く蒲団に入ってから思うの。静代、変ったでしょ……」

母の男にイタズラされるとか、
内田春菊ファザーファッカー
とか、いろいろはいろいろだと
達観出来ればいいでしょうし、
児童の人権が保護される前の
前近代の江戸時代の女性は
十六女(いろつき)
十八女(さかり)
十八娘(ねごろ)
といわれてきたわけなので、
(婚期も早かったですが)
いまさらとは思いますが、釈然としないものは釈然としないです。
死んでしまうラストばっかだとね。人間はもっとしぶとくていいです。

あと、頁308「女蛭」普通酔払いは自宅に戻ると酔いが爆発するものだが、
そういうものなんですね。
私は、外で暴れて家では何食わぬ顔をするほうが普通だと思ってました。ちがうのか。

飛田ホテル (角川文庫)

飛田ホテル (角川文庫)

飛田ホテル (1971年) (角川文庫)

飛田ホテル (1971年) (角川文庫)