『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』(原題:Birdman or The Unexpected Virtue of Ignorance)劇場鑑賞


公式 http://www.foxmovies-jp.com/birdman/
アカデミー賞取ったのがフューリーでもゴーン・ガールでもなくこれで、
でもそれほど見ようとは思ってなかったのですが、ほかの方の日記*1を見て、
で、イオンシネマシネコンとしては英断の二番館路線に踏み切ったので、
『あん』とどちらを観ようか迷いましたが、こっちを観ました。
『あん』も観ればよかった。雨の平日の初回割引の行列は、
ほとんど『あん』に吸い込まれたので。
http://cityuponahillmedia.com/blog/wp-content/uploads/2015/01/Emma-Stone.jpg
ビリギャルが出てたとは知らなかったです。
ショービズ映画で男性の更年期障害、中高年クライシス映画ですが、
社会的に成功して個人として破滅を望む、という展開が、
作り手の考える「救済」だとしたら、なんだかなあ、と思いました。
娘のマリワーナーを吸うシーンで火を消してませんが、
あれで劇場燃やして負債ボーボー、社会的に失敗破滅、
で、個人として救われるとか救われないとかにするんじゃダメだったんですかね。
後者にすると暗すぎてハリウッドとしてゴー出せなかったと思いますが。
http://i.dailymail.co.uk/i/pix/2014/10/12/1413077862004_wps_25_Emma_Stone_Still_from_Bir.jpg
みんなほかの候補作品に票入れたくなかったからアカデミー取れたのかと思いました。
ショービズ界の人が実名でぽんぽん出てくるから、なんだ、みたいな。
カメラワークは狭い廊下とかドアをくぐる役者とかをバンバン追いかけて、
光量調整もサラリとこなして、すごかったのですが、そうなると際立つのが、
この映画、職場しか登場しないんですよね。劇場の控室と廊下と舞台。
あとはパブリックな街頭とバーとインド人のリカーショップと韓国人の花屋。
「キムチくさい花しかない」とビリギャルが吶喊しておりましたが、
この映画韓国ではどう評価されたのでしょうか。ハンの文化。
プライベート・ベンジャミンに出てくるキム・オオサカというジャパニーズ思い出した。
http://i.ytimg.com/vi/MSxldo1oRoY/0.jpg
話を戻すと、夜勤の仕事でも、帰宅せず仮眠室で過ごすと絶対疲れが取れないので、
きっちりオフは家に帰るのが重要なのですが、この映画の連中は、
楽屋に日焼けマシーンを持ち込んだり、とにかく楽屋ばかり。
食事のシーンもないし、舞台で本物の酒を飲んだり(ビフィータージン)、
会話も嗜癖の更生施設でそんなことやってるか知りませんが、
ゲーム形式で賭けみたいにしてやったりする。どうなのかそれは。
https://themarcofeed.files.wordpress.com/2015/03/birdman-edward-norton-michael-keaton.jpg
あと、人は、過去の辛い体験とかトラウマとかDVとかACとかPTSDとか、
いろいろ背景がなければ依存に陥ったりしないのかというと、そんなことはないわけで、
その辺を探るような会話がぽんぽん飛び出すのが、これがサイコセラピー大国アメリカの、
最新状況なのかと、思いました。これは、分かち合いという言葉で表現しちゃいけない。
虐待があったわけじゃないけど薬物とかそういうプロットの積み重ねは、
何を表現したかったのか。この映画も、公式や予告で流れる音楽は、本編ありません。
ドラムとかピアノがジャジーに連打されるだけ。あと、パーマンパーやんも、
星野スミレも出ません。アメリカ人はバードマンを誤解し過ぎてると思いました。
藤子A座右の銘毒蛇は急がない。以上
https://gaylantowle.files.wordpress.com/2015/02/stone1.jpg
【後報】
あと、ふと思ったのが、こうした主人公のようなアメリカ人の場合、
日本では購入に医師の診断と処方箋が必要なこころの薬に耽溺してるような気がして、
現に映画のなかでもマイケル・ジャクソンなどの名前は出てくるのですが、
服用する場面などはいっさいありませんでした。飲酒の場面はあるのですが、
それだけでこんな急速に憔悴するのか、と。
岩波ブックレットの『アルコールとうつ・自殺』*2でも酒と抗精神薬併用の危険について
触れてたので、それなのかとも思いましたが、場面がないのか、
そうではないからなのか、カットされたからなのか、
そうではないのなら、理由もなく急速に譫妄が進行するのはどういう意図か、
時間がたつにつれ、静かに考えさせられています。
(2015/6/5)