『ムシヌユン 2』 (ビッグコミックス)読了

ムシヌユン 2 (ビッグコミックス)

ムシヌユン 2 (ビッグコミックス)

四月半ばくらいにチェックして、あー出るんだと思って、その後完全に失念した本。
アマゾンのおすすめメール等もまるで機能しませんでした。
一昨日偶然関連検索でひっかかって、それで買いました。
一巻の帯が諸星大二郎なのは、京都のマンガミュージアムのフォーラムかなんかで、
作者がパワポで研究発表して諸星大二郎がゴチエイとトークショーするなど、
縁があったので分かります(くだんの精華大マンガ学科院生以外にも、
光文社シグナル叢書の編集者の提灯「質疑応答」などいろいろ記憶に残ってます)が、
2巻の帯の喜納昌吉はどういう縁なのか…
松島で喜納の店にでも行って飲んだんですかね。
髪の長い方の又吉にすればよかったのに。
小学館スペリオール編集者、がんばれ。もしくはゴリ。

超加筆100ページに関しても、マンガはどうしても連載がないと、
書き下ろしだけでは印税が少なくてダメとどこかで聞いた気がするのですが、
作者は大学准教授の副業があるので、だからこその力技なのかと。
というか、クリエイターwが批評に走ると、手が止まって何も描けなくなると、
私もそう思うのですが、それに挑戦するかのようにクリティークの新書*1を出し、
かつ加筆新刊出すという忙しさで、何と戦っているのかと思います。
というか、文化人類学の一般書を出さないかなあ、と。
例えば、作者がフィールドワークしたアフリカの集落について。
サブカルに、参与観察とかの手法を持ち込むのもいいですが…

何と戦っているかというと、リビドーかな(笑)という展開ですが、
この人の描く女性は、本当にしこりながら描いているような、
他者との共有を許さない自己満足感が溢れていて、それがここまで多いと、
もうなんか門前払いの小僧が般若心教読んでる気分です。
頁119、他者の萌えを許さないエロ画の1ページブチヌキを二度三度天丼で繰り返されて、
それで寸止めし続けるというのは、カタストロフィがなくてどうにも。

作者は、こういう女性が好きなのかな、と思ったりしますが、
読者として私がいちばん感情移入したのは、ナチュンの黒人女性でした。
この作品でも出て来ないですかね。アメラジアンでもよいので。
メガネ女子は、なんかこういうアイドルだかAVの人だかいるような気がしました。

頁158で、100万円あれば10年は生きられる!!とか、
頁129の、他人が描いたような肉体労働者たちの純粋な高揚とか、
魔術的リアリズムの極北だと思いました。
カバーのリゾート開発の暴力性についての文章、ゾクゾクする
というのが一つキーかな、と思います。砂糖キビ畑の写真だと思いますが、
国が国策で価格保障して買い上げてるキビを、リゾート産業が、
当然農業法人ももってて土地借りまくって作ってて、
重さで買い上げられるので、糖度より重さ重視の品種を作っていて、
その、糖度は低いが2mを超す丈の品種が写ってる写真のような気がしました。
そういうのを、援農ではなく、出稼ぎのさすらい労働者たちが手刈りしていて、
一日ひとり一トンノルマとか(少ないかな?)、そういう生活には木の子があり、
ジュビロのアレのリゾートでしたかね、忘れた。
なんかそういう刹那的な暴力性からの連想もあって、こういう話になるのか、
と、思いました。以上