『シェリー酒―知られざるスペイン・ワイン』 (PHPエル新書)読了

シェリー酒―知られざるスペイン・ワイン (PHPエル新書)

シェリー酒―知られざるスペイン・ワイン (PHPエル新書)

なんとなく借りた本。わたしはシェリー酒を飲んだことがなく、
ほかの本で知識は得たつもりでしたが、やはり混乱していました。
ワインを蒸溜したお酒、ブランデーと混同していました。

酒精強化ワイン」なんですね、シェリー酒は。

本書時点では、頁58に酒精強化の説明はされておりますが、
だからこそ、この言葉でラベリングすることにためらいがあったようで、
明快に断定はしていないのです。その後、現代、
IT化でゼロワン回答が求められる社会が深化しましたので、
シェリー酒は、お隣り葡萄牙のポートマディラと並ぶ、
世界三大酒精強化ワインのひとつです!!!と、
竹を割ったように断言しつつある状況、レッテル貼り完遂!な気がします。
(現在のWikipedia*1では、本書のためらい部分は、
 フレーバードワインとして、切り離している)

シェリーを、ポートワインや、赤玉ポートとは混同してませんでしたが、
甘い味のお酒と思っていて、ドライシェリーを忘却していました。

Wikipedia その他のシェリ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%82%A7%E3%83%AA%E3%83%BC#.E3.81.9D.E3.81.AE.E4.BB.96
お酒のシェリー(ワイン)のページは、URLにカッコが入っていて、リンクが切れるので…

PHPエル新書は、今の雨後の筍新書が出る前の過渡期の産物、
新書ノベルズと同じ紙量のシリーズ、な感じでした。
前にも手に取ったことがあるのかもしれませんが、記憶になく、
今回カラーページの多さに、ほほうと思いながら読みました。
完全に気のせいな気もしますが、お酒の芳香が漂ってくる気がして、
なんか誰かこぼしたのかと、訝しがりながら読みました。

作者は、やはり飲食業界の、転々と、苦労も経験されてきた感じのプロフで、
それは、アメブロツイッター、FBを見ればいいと思いますが、
杜氏になるには』*2の一文、
酒の世界には、回り道をして入ってくる人がけっこう多いを想起しました。

シェリー」の綴りに関する記述はWikipediaにもありましたが、
面白かったです。頁20〜25。
レコンキスタ前にアラビア語から直接英語に変換された地名"SHERISH"が、
アイエスエイチはアレやし、みたいなことで"SHERRIES"になり、さらに、
地名は単数形やろ、みたいなアホ変換が発生し、"SHERRY"になった、
てな、ロジスティクスの船乗りと港湾作業員、商人だけでガイコクゴを
こねくりまわしていったさまが手に取るように分かりました。
その一方で、スペイン本土では、ギリシャの"XERES"が、
"JEREZ"になったとのことで、これは、エックスだと、スペイン語では、
シャビとか、ザビエルとか、ザナドゥーとかなので(エイゴ読みですが)、
ラテン=アラブの読み方、セリティウム=シェリーシュを避け、
ギリシャ直系の、ヘレスという呼び方を保持したかったので、
ホセとかホアンとかのJにしたんかな、と思いました。ジーザス。

頁116
 最近、常々思うことなのですが、日本人はどうやら「無添加」とか「〜カット」などのような「引き算的」発想は好きですが、「添加」とか「混ぜて」のような「足し算的」発想は嫌いなようです。これは日本酒の純米酒本醸造の関係にも言えることですが、決して純米酒だけが本当の日本酒ではないはずですし、本醸造には純米酒には出せない風味があるのもまた事実だと思うのです。つまり、文字や宣伝文句に惑わされず、自らの体験と感覚でその判断をしてもらいたいと思います。「飲まずして語るな」なのではないでしょうか…

最後の一文は飲んじゃいけない人向けの発言ではないと思いますので、
飲んじゃいけない人は引き続き飲んじゃいけないと思いますが、
それはおいといて、味噌だって白と赤の合わせ味噌があったし、
ポン酢とか、七味唐辛子とか、アジシオとか、本直しとか、
日本人も足すの好きだと思うんですね。
ただ、戦後の粉ミルクとか、三増酒とか、不凍液とワインとか、
化学の発達がマイナスに作用した面があったから、
「ヘンなものを足す」のにアレルギッシュになったんだと思います。
ナニ人でもそうなんじゃないかな。江戸時代、酒を水で薄めたのも、
どうやろ、不評につながったかな、とも思います。

抗精神薬と酒の併用濫用はNGですが、
頁167のトリプトファンのくだりは、不思議でした。

以上です。どっとはらい