『Hard After Hard (ハード・アフター・ハード) かつて絶望を味わったJリーガーたちの物語』読了

Hard After Hard(ハード・アフター・ハード) かつて絶望を味わったJリーガーたちの物語

Hard After Hard(ハード・アフター・ハード) かつて絶望を味わったJリーガーたちの物語

アマゾンの何かで出て来た関連オススメ。この作者はそのデビュー作、
エホバの輸血拒否事件のルポ*1が実に秀逸で好きでしたが、
サッカーライターなんかやってたっけ?と当惑しながら、
しかしそこに興味が湧いて、借りました。作者がかつて、
クイック・ジャパン編集長と、エースをねらえ!の、
日本酒が好きな教祖のところ、富士山麓に潜入したり*2
水木しげる原理主義者であることは知ってました。

本書は、サッカー批評に2006年から2012年まで、
連載された記事をまとめたものだそうです。
その縁でフットボールサミットにも書いてるそうです。
アンテナ低くてすみません。

鹿島国民でモツ煮だそうですが、この本には関係ないです。
あえて関連を探すと、テイクアクションで現町田ゼルビア監督が走らされる場面。
1993年U-17メンバーのうち、早いうちにプロアスリートをあきらめた、
メンバーを中心に、それ以外のひとのネタを入れた構成の、
ノンフィクション、インタビュー必ず挿入、の本です。

松田直樹AEDも単行本化前の出来事ですが、その記事はありません。
消えたマンガ家ならぬ、消えたサッカーアスリート、というか、
どう引退してどうその後の人生を生きるか、という本です。
湘南でいまだ記憶に残るのが、原竜太ゲットゴールが、
家業が不動産屋なんで、若いうち引退して修行勉強。

頁46 第二章 森崎嘉之さん、あなたは今どこで何を
「あと、取材を受けて、しゃべるのが嫌になった経験としては、『正月には何をやってましたか』と聞かれて、『寿司を食べました』と答えたことがあったんですよ」
――(笑)。
「そしたら『食べすぎで体が重い。動けない』と書かれました。わけわかんないですよ。お前の見た感想じゃねえかって。ちょっと人間不信になりますよね」
――ありがちな話だが、しかしひどい。

森崎嘉之 Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A3%AE%E5%B4%8E%E5%98%89%E4%B9%8B

この後、サッカー関係のところに回帰したんですね。
この人に関しては、高校選手権決勝でハットトリック決めて天狗になった、
というイメージが先行しましたので、そこが書かれるかというと、
それはないです。で、むかしは、クラブの若手へのマスコミ対応イロハなど、
ろくに伝授されてなかったわけですから、そこを書こうとするなら、
彼より、ヴェルディの石塚とか、時代が下って風呂時代の森とか、
(2009年ならいい加減出来てなくてはいけないのではないか?という論旨)
その辺で書かれたらもっとよかったじゃいか、と思います。

石塚啓次 エピソード Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9F%B3%E5%A1%9A%E5%95%93%E6%AC%A1#.E3.82.A8.E3.83.94.E3.82.BD.E3.83.BC.E3.83.89

和製フリットとか、もろに懐かしい。

森勇介 Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A3%AE%E5%8B%87%E4%BB%8B

2015年、SC相模原へ完全移籍[13]。6月14日のグルージャ盛岡戦で退場処分となり、史上初のJ1・J2・J3全カテゴリーでの退場経験者となった[14]。

なんなんだか。下記は菊地直哉代理人とのインタビュー。

頁86 第四章 Jリーガーと性
「それともう一つは、示談してますから、示談の一つの条件として事件の話をしないということがあるんですね。だから事件の内容について、僕らも知らないことがたくさんある。ほんとは聞きたいですよ、ぶっちゃけ。だけど、聞けないことがたくさんあるということなんです」

そういうことなんですね、腑に落ちました。性犯罪では、
他に全部明らかにされて裁かれたJリーガーとか元とか、
地域リーガーとか今はもうないクラブの運営関係者とかいたと思いますが、
そちらは記事にないです。
性とは関係ない事件で言うと、クライファートのアレ。
そのまま試合場に直行してゴール決めた、
が相手は死んだ、というふうに記憶してるんですが、
事故自体、いまWikipediaで検索したら記憶と違ってました。
松阪と黒岩彰のとごっちゃにしてるかな。
そういうのもまとめて記事にすればもっとよかったかもしれないです。

テイクアクションというと*3、湘南昇格記念試合、
触れてほしかったな、と思いました。
北澤豪だからキーちゃんキー坊と呼ばれるわけじゃない、
というのは、町田に近いので自然と耳に入ってましたが、
ガンバ山東戦の時大阪のモノレールで見かけた時ためいきばかりで、
私も平日万博にいたことはいろいろ仕事的にアレでひみつだったので、
写真撮らせてくださいとか言いませんでしたが、
そのキーちゃんの人がとても輝いていた試合でした。
この試合のWe're backタオマフは、在庫があまったらしく、2012/6/9放送の、
テレ朝の二時間ドラマ「おとり捜査官・北見志穂 婚カツ美女連続殺人」*4
平塚競技場でエキストラがサポを演じる場面で、
もっとも多く振られたタオマフとなり、その理由は上記のとおりですが、
その時2ちゃんでプレハブだかなんだかの中の人がカキコしていたので、
私がそれを鵜呑みにしてるというわけです。
匿名掲示板なんてウソばっかりなのに。

旅人に肉薄しようとしてやはりそれは㍉だったようですが、
刊行時はかなり価値が薄れてきたはずですので、
往時のテンションがなんとなくこっぱずかしいと思いました。
あと礒貝だけ作者のほかのジャンルのインタビューに仕上がってます。
元アスリートへのインタビューじゃない。
テレビの具志堅とかガッツとかのノリを期待して、応えてるイメージ。
タイサッカーも、この本時点の状況と違いますし、
サッカー本は、やはり愛と奥行きがほしいな、と思います。
のー先生の新連載も作者がそこで自嘲しちゃダメだろ、
と思わないではない、今日この頃です。以上