『二重生活』(原題:浮城谜事/浮城謎事)(英語タイトル:Mystery)劇場鑑賞

とても面白かったです。出てくるのは友近トータス松本と、
矢沢といったらアレか、タレ目の刑事と、三七人参、
もしくはヤマジャキ、と読めるサンチーという人。
シャン・サ*1のメタファーかとも思いましたが、
たぶん考え過ぎです。山颯とはちがう。
すごく黒目が濃くて、またその眼を効果的にキョロキョロさせる演技で、
カンヌの“ある視点部門”オープニング出品は、
そういう駄洒落かと思いました。オリエンタルっても、
あんなに目が黒い人はめずらしいですよ。役者の名前がまた、
「たなばた」という単語と同音だったりして、なんちゅうか本中華。

公式:http://www.uplink.co.jp/nijyuu/
百度http://baike.baidu.com/subview/8116460/11873652.htm
日本語版Wikipediaはイヤガラセのようにあらすじで丸々ネタバレしていて、
仏語版Wikipediaを見ると武漢のほか、東莞でロケしたことが分かります。
途中でキンタマタワーが出て来たので、上海かと思った。
今の中国は方言映画が厳しくアレなのですが、地方舞台で普通話だけだと、
現実味が薄くて、大学構内だけの世界みたいになってしまう。
どこの街かクルマのナンバーで判別しようと思ったのですが、よく見えなくて、
ビールの銘柄が“雪蝱”に見えたので、帰宅後検索しましたが、
そんな銘柄は実在しませんでした。
百度によると、冒頭の事故シーンの車は監督の車で、武漢ナンバーとのことで、
なら“鄂”ナンバーのはずですが、“泸”のように空目って見てました。

予告編を何故編集し直してるのかも謎です。

邦題がもったいないですね。もっと自由にひねればよかったのに。
チョンキン(マンション)の森、が、『恋する惑星』に出来るわけですから。
もったいないです。絶えず女がないと生きられない丈夫の話なので、
原題は下記の、ただひとりの妻への愛をこんこんと歌い上げる古典随筆への、
逆説かとも思いましたが、反語になってないので、それはこじつけですね。

浮生六記―浮生夢のごとし (岩波文庫 赤)

浮生六記―浮生夢のごとし (岩波文庫 赤)

http://img1.cache.netease.com/catchpic/E/E2/E274EE638BFA30BDA383F37AF650CB22.jpg
Wikipedia日本版でネタばれしてるラストは、いらないと思いました。
文字通り見鬼。紙のおカネを焼くのが、丈夫のマーマだったら、
ありだと思うんですが、ちがうから。流産は中国でも同じ単語なんですね。
ほんとうに、記憶から欠落させていました。そのあたりの単語。

あの女の子は湖北省籍になってましたが、それも意味有るのかな。
地元有力者の不良子弟が刑事を“臭警察”と罵る場面がありますが、
捲舌音がふたつもあるので、南方人が無理して喋る発音になってて、
親しみが持てました。いちばん北方っぽいのは、その刑事さん。

http://ja.forvo.com/word/%E8%87%AD/#zh
http://ja.forvo.com/word/%E8%AD%A6%E5%AF%9F/#zh

面白い映画ですよ。二重否定とかの中国語文がぽんぽん出てくるし。
厚木で見たんですが、その時かかってる映画の、
だいたい1本はアジアだと思うのですが、今回は、
チャン・イーモウとゴン・リーの妻への家路*2に、
この天安門発禁監督作品をぶつけてきて、アジア映画二本もかかって、
どっちが客入るか、打賭でもしてるんじゃないかと思いました。
まあ、ゴンリーには勝てないだろと思いますが、
こっちのほうが全然面白かった。

実話ブログを元にいろいろいじったそうですが、
ノーベル文学賞受賞作家高行健の作品も下放でエッチ、だし、
香港や台湾との“一国両妻”とかもけっこうあったわけなので、
当事者はびっくりでしょうが、見てて面白い。

3980元の服をさらっと買おうとする人と、買えない人のやりとりが、
また胸を打ちました。円がいちばん強い時で、
千元ニアイコール一万円ですから、四万円でしょ。
いまだとその倍の、八万円弱ですか。
http://info.finance.yahoo.co.jp/fx/convert/?a=3980&s=CNY&t=JPY
さらっと買えませんよ。爆買い出来る中国人出来ない中国人。
しかもその服が、韓国製なんだなあ。嗚呼、ドラマ。以上
【後報】
ミリタリーパーカーにチェックを合わせる着こなしについて、
書き忘れていたので、別の日の日記*3に書きました。
また、スパにでも行って気晴らししようという台詞が、
中国語でも“スパ”と発音してるので、へえ、珍しい、と思いましたが忘れていて、
今日別の日記で銭湯に行ったことを書いていて*4思い出したので、
書いておきます。

スパの中国語訳 - 中国語辞書 - Weblio日中中日辞典
http://cjjc.weblio.jp/content/%E3%82%B9%E3%83%91

上記を見ると、“斯帕”という漢字が当てられているかのように早合点しますが、
どうも、下記百度を見ると、漢字はあくまでスパの語源となったベルギーの都市名
のみ使われていて、所謂入浴場のスパは、アルファベットの"SPA"を、
そのまま使っているようです。

斯帕_百度百科
http://baike.baidu.com/view/5174512.htm

楊貴妃も使った“浴池”などの単語で置き換えられないのかとも思いますが、
"SPA"の百度を見ると、手垢のついた単語を嫌ったのだな、と推測できます。
美容などを前面に押し出しているイメージ。スーパー銭湯ニアイコールスパ、
になっている日本とは、やはり文化の枝分かれがある気がします。
(2015/7/12)