『ねじとねじ回し この千年で最高の発明をめぐる物語』 (ハヤカワ文庫NF)読了

ねじとねじ回し この千年で最高の発明をめぐる物語 (ハヤカワ文庫NF)

ねじとねじ回し この千年で最高の発明をめぐる物語 (ハヤカワ文庫NF)

これも『読んだ、飲んだ、論じた―鼎談書評二十三夜』*1に出て来た本。
東洋史の、清明上河図を読む、は、実際に良い本であることを知っていたので、
同等の本(西洋史)かな、と思って借りたのですが… 
まず邦題が狙い杉。原題はそんなこと言ってない。でも原題は抒情杉。
One Good Turn: A Natural History of the Screwdriver and the Screw (English Edition)

One Good Turn: A Natural History of the Screwdriver and the Screw (English Edition)

内容は冗長気味。編集者、エディターでなく、
代理人、エージェントが噛むとこうなるみたいな本。
勿論、エディターが噛んでるのですが、あちらの編集者は、あまり朱を入れないのかと。
(そのかわりボツはボツで、まるごと突っ返す)

そして、活字が大きいのはいいのですが、ページあたり15行37文字で、二百頁ない。
解説訳者あとがきと注記を引くと、176ページ。1957年の『スケッチ・ブック』*2は、
17行43文字。技術史の本でかつ冗長な文章なので、
この薄っぺらさはかなり衝撃的でした。

作者は著書多数の建築学、都市論の教授とのことで、本作は、
ネット等を駆使して調べた成果と、時々の自分の感想、で成り立ってます。
だから、アンティキシラなんかも唐突に登場する。

アンティキティラ島の機械 - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%86%E3%82%A3%E3%82%AD%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%A9%E5%B3%B6%E3%81%AE%E6%A9%9F%E6%A2%B0

作者はいろいろ調べてはいるんですが、専門家の労作といったニオイが、しない。
百科事典の引用やまとめ本に頼っていることを隠してないので。

なんだろうなあ。銃にねじ切りをつけるところは、
花輪の塀の前の二巻、パラレルストーリーの鉄砲鍛冶父娘思い出しました。

刑務所の前 (第2集) (Big comics special)

刑務所の前 (第2集) (Big comics special)

解説の小関智弘さんは、元旋盤工で、その経験や知識を活かした解説で、
正直、解説だけ読んでたほうが楽しいです。アラン・シリトーの話や、
中国の旋盤工が、目の前でひとつ仕事をしないと信用しなかった話。
こういう血肉の通った話が、解説だけだったのは、ハテ残念閔子騫。以上