『あれよ星屑 1』 (ビームコミックス)読了

ビッグコミックオリジナルの戦後70周年特集号*1に、
南信長が戦争漫画総ざらえみたいな記事書いていて、
そこで紹介されてた近年の収穫的なマンガ。
特にその時点では読む気はありませんでした。
特に目新しい故事はなく、見せ方も古典を踏襲してるとのことでしたし、
アマゾンで検索すると、「この本を買った人はこんな本も」で、
男色のマンガばかり出てきたので、まあ今は特にいいかな、とも思いまして。

南信長の漫画紹介は、悪くはないんですが、
色がない、無色というか、淡泊なので、私のようにクセのあるマンガ読み的には、
どうなんだろう、ガイドになるのか、といつも思っています。

しかし、今回の南信長は、坂口尚の『石の花』を紹介しており、これは、
連載時、ドブロヴニクの風のあたりで立ち読みして、激しく心を揺さぶられた作品ですので、
(風は何も語らないが、どこかから吹いてくる予感がする、と語るパルチザンの旧友に、
 秩序を作るのは力による虹だ、と冷たく断言するナチス将校の対話のあたり)
いつかは紹介マンガ読んでもいいかな、と思っており、今回なんとなく読みました。

表紙はなかまで読むと靖国であることが分かりますし、
初版の帯は違うのですが、現在の、「このマンガがすごい!」ランクイン以後の帯は、
焼け跡ブロマンスと書いていて、
靖国とブロマンスの取合せは秀逸でした。と言っても、ブロマンスの意味を知らず、
ラブロマンスから「ラ」を引いて、どんな意味だろうと思っていました。
ぶさいこロマンス?ブオトコロマンス? で、21世紀人類第四の発明、「検索」で、
ブロマンスとは和製同人用語でも和製ネットスラングでもなく、
アメリカで今世紀に誕生した、ブラザー+ロマンスの造語と分かりました。

ブロマンス Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%96%E3%83%AD%E3%83%9E%E3%83%B3%E3%82%B9

つげ義春無能の人に出てくるキャラみたいなのや、フイチンさんみたいなのがいますが、
あまりそこは見ませんでした。時代考証はしっかりしてるでしょうから、
六尺ふんどしでなくステテコなのは、実状を踏まえてだろうな、と思いました。

頁126、性の防波堤の、屏風で仕切られた室内描写に感心しました。
頁178、こういうコマ割り処理は、ひさびさに見ました。なつかしい。

なぜ自分は死なずに生きているのか、という想いが、これから消えるのか、
想い出で補完されるのか。とりあえず次巻も読みます。
以上