『翔んでる警視正 平成篇1 警視正天山南路(シルクロード)を行く』読了

借りたのは平成元年12月初版で、表紙が異なります。
このイラストレーターの
方のお名前が
出てきません。

有名な人だと
思うのですが。

奥付にも
目次にも
カバーの裏にも
書いてない。

誰だったか。

清水義範の本とかも
やってなかったか、
と思い、画像検索
しましたが、
出て来ない。

誰だったかなあ。

帯の文句は
検索で
出てきました。下記URLの古書。

http://www.gmo-toku.jp/item/59242792/%E3%80%90%E3%83%9F%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%AA%E3%80%91+%E7%BF%94%E3%82%93%E3%81%A7%E3%82%8B%E8%AD%A6%E8%A6%96%E6%AD%A3+%E5%B9%B3%E6%88%90%E7%AF%87+1%2F%E8%83%A1%E6%A1%83%E6%B2%A2%E8%80%95%E5%8F%B2%2F%E6%96%87%E8%97%9D%E6%98%A5%E7%A7%8B/

『天山を越えて』*1を借りた時に、同じ舞台でユーモアミステリーも書いてるのか、
と思い借りました。でもまあ、ユーモアではないです。「浜大介」という、
60年安保の時の満州国官僚あがりの首相がいて、その懐刀で官房長官だった、
「平田」という、あーうー、人がいて、その血縁が、満洲国軍人あがりで、
黄金の三角地帯で麻薬王やってる「カンサー」という男と縁つづきで、
何故か彼等の係累が、東トルキスタンの、ホータン近郊にいて、
そこでパキスタンのダッラみたいな手工武器の街みたいのを作って、
頭目になっていて、いつか北京に反を翻そうと画策していて、
「浜大作」の系譜の「武村」首相とその後継の「宇田」総理の確執があって、
訒小平とか李鵬の名前が出てきて、で、カンサーが東南アジアで見つけた、
「津正信」という、死んだと思われていた戦前将校、戦後議員、
僧侶に化けてインドシナに潜入して消息を絶った男、が出てきて、
あとはCIAという話で、もうめんどくさいので、
以降ネタバレでいうと、
津正信やカンサーが管理する旧軍の秘匿資産が天安門事件
資金源になって、天安門事件が起こったという、天安門事件の、
その年にさっそく書かれた小説です。V-dayの動画思い出した。

目抜き通りはダウンタウンではないと思いますが、
それはそれとして深夜こういうのが走ってると、ふいんきがあります。
これはペキンだからで、横須賀や御殿場を深夜装甲車輛が走っても、
こうは感じられないと思います。北京飯店の隣の通りとか、
昔は満洲八旗の末裔みたいな人たちが鳥かご飼ってるような胡同がありましたが、
今はどうなってるのか。

ウアルカイシと柴玲をモデルにした男女が出てきますが、
男はカンサーと平田元総理の系譜につらなるウイグル人で、
女は、ハン・スーインに似た米中混血のCIA工作員。で、二人は結婚し、
主人公の翔んだ警視正(主人公も名前が、白昼夢と書いてサダムと読ませる。
 湾岸戦争前に始まったシリーズと思うので、サッダーム:フセインが由来の、
 キラキラネームではないと思うのですが、
 イラ・イラ戦争あたりのバース党などを見て拝借した名前なのかな?)
が、33歳くらいとは思えないWWⅡ体験者のような説得をする。

頁255
「それはテレビのニュースで見せてもらった。世界中が知っている。だからこそ、君たちは死んじゃいかん。この広場の仮りテント住まいでは、まだセックスはできなかったろう。結婚しても、セックスをきちんとして、二人がちゃんと一つにならんと、正確には結婚したことにはならんよ。世界中に公告したてまえも、どこか安全な所で、思いきり情熱が燃えつきるほどのセックスを君たちはしなくちゃいかん」

天安門広場のあたりの描写は非常に真に迫るものがあって、
作者の周辺に当時そこにいたものがいたのではないか、
と思いました。その反面、このころホータンがやっと開放区になりましたが、
西域南道が外国人の立ち入りを制限する理由として、
ギョクみたいな宝石が穫れたから、という、明らかなミスリードを書いていて、
ニヤ、ロプノールに核実験場があるからやないけ、と、
当時から分かる人はツッコミ入れたと思います。だいたい平成元年6月まで、
カシュガルウイグル暴動で外国人立ち入り制限されてたのを、
作者が知らぬわけでは絶対ない、と、思います。
下記は平成4年の旅行記ですが、その辺の心配も描いていて、よいです。

夢はるか楼蘭王国―智子流自遊旅 2

夢はるか楼蘭王国―智子流自遊旅 2

頁26、カシュガルを喀什噶雨と書いてますが、最後の一文字は爾の誤植と思います。
また、“解”姓を「シャー」と読ませてますが、シエじゃないのか、
と思いました。

もうめんどくさいのでオチまでバラしますが、
その津参謀が宇田総理芸者失脚、「私はコレで…首相を止めました」
を演出したことになっていて、映画なら小粋なオチですが、
それまでノモンハンやら何やらで散々その参謀を叩いておいて、
最後持ち上げるとは、作者は密林に消えた参院議員を怨んでたんではないの?
と面食らいました。天安門の、独特のくさみのある、
北京のひといきれをぱっと思い出す描写がさすがなだけに、
なんじゃこりゃあ、と思って本を置きました。どっとはらい