『犬の心臓・運命の卵』(新潮文庫)読了

犬の心臓・運命の卵 (新潮文庫)

犬の心臓・運命の卵 (新潮文庫)

A Dog's Heart (English Edition)

A Dog's Heart (English Edition)

The Fatal Eggs

The Fatal Eggs

ツイッターとかでこの作者が紹介されていて、それで読んでみた本ツー。
ワンはこちら⇒http://d.hatena.ne.jp/stantsiya_iriya/20160425/1461529986
訳者が違うとそりゃ印象も違うわけですが、岩波のほうが、
チェホフだかゴーゴリ以外の伝統として、登場人物の人名はすべてメタファーとして、
何の隠喩なのかことこまかに注記してるのに対し、清朝文庫のほうは、
そうそう、革命ソヴィエットって、ボリシェヴィキのロシアって、
こうだったんですよ、みたいな、中国なら文革あるある、下放あるあるみたいなネタに、
注釈をふっています。岩波文庫独立コーカサス騎兵師団と訳された部隊が、
身長文庫では独立作戦任務コーカサス騎兵師団と訳されていて(頁365)
平和が好きなアンチミリオタの訳なのか、と思いました。
岩波にないほうの『犬の心臓』、そもそも原題『人間の睾丸』とするべきだったと思います。
リアルにゲスの極みなキャラが登場しますが、そのゲスぶりが、主に女性に対し、
あの手この手のウソで絡み取るかたちで展開されるくだりが、なんとも。
それでもって、そのキャラは、アルコール中毒者なんだとか。(頁184)
以上