- 作者: 三浦哲郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1965/06/01
- メディア: 文庫
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埴谷雄高/安部公房/中村真一郎/藤枝静男他』を
読んだ時、一番印象に残った三浦哲觔『初夜』の前作と続編が収められているということで、
借りました。しかし。
作者名Wikipedia 曖昧さ回避
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%89%E6%B5%A6%E5%93%B2%E9%83%8E
平成二十八年九十一刷改版。とても活字が大きくて読みやすいです。カバー装画水谷有里
解説 奥野健男 解説によると、芥川賞受賞のさい、不肖世界のカワバタが、
事実を書いて受賞とは、この幸せ者、と述べたそうですが、
それくらい素晴らしいですね。『忍ぶ川』は。
奥野健男も、ヒロインの名前がいい、と言ってますが、志乃というと、私はすぐ、
小林まことの1、2の三四郎のヒロインを思い浮かべるので、
あの志乃が、こういう姿態を繰り広げたりアゴ外すくらい口開けて台詞云うのかとしか、
思わなかったです。びえーとかでぇーとか。
とにかく1、2の三四郎の志乃はクネクネ動く女性でしたから…
- 作者: 小林まこと
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2012/12/03
- メディア: Kindle版
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https://ja.wikipedia.org/wiki/1%E3%83%BB2%E3%81%AE%E4%B8%89%E5%9B%9B%E9%83%8E
流石後年マイケルを描いた漫画家。確か作者の自伝によると作者は女性が描けず、
それが連載で突発的に志乃でブレイクしたはずなので、運命とは不思議なものです。
『忍ぶ川』読んだんですかね。奥野健男が全読者の代弁者として、
続編以降の作者を皮肉り、糾弾するのも故なきこととはいえない。これだけの女性を、
苦労させんな、だいじにせえよ、なんで最後の作品だと、居心地が悪いのか、
設定も変えて、「志乃」明記避けて「妻」呼称にするのん、逃げんな、みたいな。
頁132『帰郷』
「おいおい、僕は怒ってるんじゃないんだよ。なにか意見があったら、いってごらん。なんでも率直に話そうよ。」
というと、要は静かに頭を上げていった。
「相談といってもさ、義兄さんに相談したって、わかってくれないからな。働かない人に相談したって、わかるはずがないからな。俺んた、おなじ働いてる人にでないと、安心して相談できないんせ」
頁133『帰郷』
「それじゃ、転々と職を変えるのは、どうなの?」
反抗的になっているのは、むしろ私の方だった。すると、要は相変わらずおだやかな声で、
「義兄さんみたいに大学を出た人は、働かないでじっと家にいても暮せるけどさ、俺んたは、毎日毎日働かないと、暮していけないんせ。あれやこれやと、仕事を選んでいる暇もないんだっせ。仕事の方でも、俺んたをいつまでも待っててくれやしない。俺んた、働くのが好きだ。なんでもやってみたいんせ。そうやっていて、いちばん好きなことをみつけたら、それを一生つづけたらいいんじゃないけ? それだけ。」
そういって、要はちょっと首をすくめた。
私は、なによりも彼等の心のなかで、『俺んた、働くもの』と『働かない人、義兄さん』とが、はっきりと別世界に住むものとして区別されていることに気がついて、暗澹とした。それほど、私の非生産的な生活は、彼等の目には奇異なものに映るのである。私は、彼等の義兄であっても、彼等の仲間ではなかったことを自認して、やりきれないようなさみしさを感じた。
分限者の高等遊民でなく、借金と妻の内職で生活してるわけなので、
どんどん精神的には追い込まれて、誰も責めてないのに勝手に負い目が出ますよね。
なんだかなあ。ほかの話も、満洲の話とか、奥野健男も扱いに困ってたけど、
意味不明でした。そこに満人主人公を持ってきて一人称で語らせる自信が。
下記はそれとは別の話。
頁271「幻燈畫集」
ある日、私はゆるがぬ決意を持って床屋へいった。私は、それまでつづけていたドイツ刈りをよして、すっかり丸坊主にしようと思ったのである。
ドイツ刈りというのは、裾の部分を刈り上げて、前髪だけをのばす子供の髪型で、私の生まれ故郷では、良家や金持の子弟が好んでその髪型を用いていた。
ドイツ刈りを検索しましたが、特になしです。以上