『チベット、薬草の旅』読了

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http://2.bp.blogspot.com/-dS7Y-FQYAYQ/VrCL4DAmfWI/AAAAAAAAADg/AmCOlYnSl98/s1600/%25E3%2583%2581%25E3%2583%2599%25E3%2583%2583%25E3%2583%2588%25E8%2596%25AC%25E8%258D%2589%25E3%2581%25AE%25E6%2597%2585%25E3%2583%25BB%25E8%25A1%25A8%25E7%25B4%2599.jpgこれ、表紙画像URLを
公式ブログから
引いてるんですが、
バツになっちゃうかな、
少し時間が経つと。

講座イベントに出れるほど
お金はありませんが、
案内を見て
面白そうだったので
買った本です。

ISBN978-4-9908-5480-5

挿絵装幀編集は公式参照。
作者は径書房から
修業時代の回想録
出してるみたいですが、
なぜ今回自分で
出版社まで立ち
上げたのか分かりません。

蔵日辞典とか、
自前で出してるところは
他にもあるわけなので、
それほど不思議ではないかもしれません。

アジア関係の書店で、亜東書店だけが取扱ってるのも不思議。
東方内山中華中国燎原北九州中国etc. 他はどうなんでしょう。

置いてる本屋(直販と推定)がかなり限定で、下北の本屋に行って、棚卸中で閉まってたので、
中目黒のパワーストーン店で買ったくだりは、他で書きました。

もう一つの最近買ったチベット本の作者にも共通することですが、
学歴の鬼というか腰が座らないというか(チベット関連で落ち着くFA)、
よくこれだけ高学歴インテリ人生を流転するな、と。
返済するスカラシップがあって、
それでここまで泰然と職も住居も転々とするなら、
大人物だと思います。どうなんでしょう。薬売りの富山出身で旧帝大薬学部卒。
北海道等での就労経験を経て、ダラムサラで10年。伊達や酔狂でこなせない経歴と思いました。

チベット医学というと、耳のハリとか脈が三か所とか、断片的なイメージばかりなので、
こうやって、薬草にしぼって一点集中するのもよい方法だな、と思いました。

註「チベット本土」こんな言い方があるんですね。
メインランド・チベットの日本語訳、漢語訳でしょうか。

頁11 −チベットの生活の主役 ネ(和名/裸青麦 イネ科)
 しかし、正直に告白しよう。僕はチベット社会で十年(一九九九−二〇〇九年)暮したとはいえ、普段ツァンパを食べることはなかった。ダラムサラは亡命チベット人が暮らすインド北部の街。外国人だけでなく、亡命第二世代のチベット人でさえツァンパを食べる習慣はほとんどなかった。主食の座は、米や小麦に脅かされつつあるのだ。

この正直さが、目からウロコでした。これでちゃんと読もうという気になった。
チベットについて書かれた本が、何故かハダカ麦をチンコー麦チンコー麦と、
漢語の音で書いているのが、気になって仕方なく、日記にも書いたことありましたし。
それで、日本の某所の、西洋人経営のチベタンレストランで、
砂糖入りツァンパ(団子状にされたもの)出されて、
チベットでもこうやって食べてるんですか?」と思わず聞いてしまい、
しかもイエスの答えが…みたいな、あまり愉快でない思い出も思い出してしまいました。

頁16、「サトゥク」がネトルの名前でハーブとして日本でも売られていること、
ウワバミソウ(ミズ)も仲間であること、ミラレパが緑なのはこれの喰い過ぎ、
等々勉強になりました。ミズは以前丹沢の農協で、東北産のを売ってましたが、
こっちではそれ以外見たことないです。注意してないだけかもしれないですが。

頁22、グルクン「グルクム」という薬草が、カチェ(イスラムの)グルクム「サフラン」と、
ブー(チベットの)グルクム「ベニバナ」に分けられる、
チベットでは植物を効能で分類しているし、地域にとって異同も無論あるので、
こうなるという実例も面白かったです。回教徒のグルクムがサフラン

頁47、青いケシは、スタディツアーがみんなこれに狂喜乱舞するというとおり、
私もこれだけは覚えています。あとはミツバチ。
魔女宅みたいに草原で寝っ転がろうとしても、虫がぶんぶんで、
落着いて寝てられない、というのがやってみて分かった。

頁86、トリカブト、頁92、朝鮮朝顔と来て、華岡青洲の妻と母を挙げ、

頁92 ―慎重に、時には大胆に ランタンツェ(和名/朝鮮アサガオの仲間 ナス科) 
チベット薬を含め伝統医療の薬には「副作用がなくて穏やか」というイメージがあるかもしれないが大きな誤解である。むしろランタンツェなどの劇薬を使いこなすほどの勇気が、アムチには求められる。

フィールドにいる人間の貴重な意見と思いました。

頁102 ―チベット人の「心の薬」ペマ(和名/蓮 ハス科)
 もともと、チベットにペマ(日本語で蓮)は自生していないが、チベット人にとって最も身近な植物といえばペマだというと不思議に思われるかもしれない。チベット密教の開祖パドマ・サンババ(八世紀)は蓮の花から生れたという伝説があり、パドマはペマと同じ語源。その御名前にあやかり、チベットにはペマという名前が多い。
(中略)
 チベット人の多くは巡礼や、五体投地の修行をする際には「オム・マニ・ペメ・フム(宝珠蓮華尊に帰命したてまつる。難苦ならしめたまえ)」という観音様の真言を唱えながら行うことが多い。このなかの「ペメ」は「ペマ」の変化形であり、観音様の慈悲の象徴である。

日本国籍をとったペマさんもいますね。頁103、ペメを「メメ」と誤植してますが、
ご愛嬌と思いました。クラゲ。医者はどこだ。以上