- 作者: 榊晃弘
- 出版社/メーカー: 花乱社
- 発売日: 2016/03/12
- メディア: 大型本
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駄目元でリクエストして、なかったら買おうと思ってましたが、県内蔵書アリ。
題の通り中国の古い橋を撮った写真集ですが、事前の資料収集が実に周到と思いました。
中方の文献を集めてまとめて取材リストを作り、古文書記載の橋の所在地を特定し、
それで動いたとの由で、21世紀に入ってから、十年近くかけて作業されたそうです。
撮影した橋、164ケ。取材した省、17。直轄市、3。少数民族自治区、1。
取材してない省や直轄市、自治区に関しては、
最初、甘粛や寧夏、黒竜江省内蒙古ウイグルの橋も出してほし、と思いましたが、
(実際にそれらの省や少数民族自治区に古い橋があるかどうかは知りません)
事前に当たった文献に橋の記載がないから、
というごく当たり前の理由で取材していないわけで、納得するしかないです。
福建や河北、安徽は取材先が多く、作者は固め打ちをしてると思いますが、広東省は、
客家の梅県一ヶ所だけですし、雲南も紅河っちゅう、イキナリ標高が下がって暑い、
ベトナム国境に近い地域一ヶ所だけですし、
四川省もむかしは西康省だったチベットカムの二ヶ所だけですし(たぶん)、その他、
作者も山西省渋滞55㌔や湖南省未舗装を時速15㌔で三時間走行する等苦労書いてますが、
ほんっと大変だったと思います。
それで、取材個所をしぼって少なくして、貴州の風雨橋で民族衣装の若衆の歌垣、とか、
チャン・イーモウのわれらが祖先三部作の「あの子を探して」みたいな、
田舎のガキの笑顔とか、そういう写真でページを増やしたりは一切してません。
撮ってるんでしょうが、編集にあたり、今回は目的外は排除したようです。
なので、非常にブレない写真集と思いました。浮気しない。凄い。
橋に辿り着く⇒渡る⇒全景が入る撮影ポイントを決めて撮る
⇒欄干等にレリーフや文字があればそれも撮る、
その繰り返しです。延々やる。実にシンプル。天丼が、美しい。
盧溝橋はむかし歩いた覚えがあるのですが、(菜の花の季節の頃だった)
欄干の獅子はけっこう欠けてた覚えがあり、その写真は捨ててるので、ないですが、
この写真集の橋は21世紀、修復されたかな、と思いました。
この写真集の「古橋」最長は魯迅の故郷、浙江省紹興の舟を曳く橋3.5kmで、
作者も各地のデカい橋に驚かされてますが、私も、閩南泉州の2.5kmの橋など、
見てみたいと思いました。福建省はなんとなく行ったことないですが、
一度は行ってみたいです。泉州だけ高層ビルが背景の古橋だった。以上