- 作者: 鄭大均
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
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講談社文庫で三冊もある大著?で、めんどいなと思ったところで、
関連検索でこれも出てきて、これならほかの人のエッセーも読めるし、
こりゃいいやと借りた本。したら、安岡のは十頁ほどしかなくて、
結局また借り直すことにしました。これの抄録部分には、
下記の唄が載っていて、勉強になりました。
動画サイトに最初に載せた人は別の人のようですが、音源から、
こちらはノイズ除去とかして聴きやすくしてあったので、
こっちを貼りました。
このアンソロジーの編者 Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%84%AD%E5%A4%A7%E5%9D%87
下記がいちばんインパクトのある著作な気がします。未読ですが、
タイトルだけから得た印象では。相模湖ダムダム。
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「ていたいきん」と日本語読みさせているのは、なんでかと思いました。
華人なら気にならないのですが、韓国系日本人だと、どういうルールか関心ある。
韓国系の名前を日本語読みさせてる人は、ていとうわとか、こうけんてつとか、
他にもいますが、それぞれの国籍がどっちかかは知りません。検索してない。
確かベトナム系日本人の場合は、ベトナム語読みの名前そのままでの、
日本国籍取得を裁判で勝ち取った例があったはずで、たとえばトランさんは、
漢字で書くと「陳」で、それを日本語読みするとちんさんになるわけですが、
トランとちんだとけっこう音が遠いですよね。そもベトナムはもう漢字アレだし。
そういうことも知っていると、韓国系日本人の編者が漢人でもないのに、
名前を日本語読みさせてるのは何故なんだろうなと思うわけです。
逆に漢族の人は名前をピンインのカタカナ変換なんかで読ませないでほしい。
編者があつめた短編で、初めて知った著者も多くいて、また、その、
何が言いたいのか、カユいところを、言語化するつもりだったがやめた、
的な文章が好きなのかとも思いました。
頁324 安倍能成「京城とアテーネ」
ニーチェは天才の生れた都は皆乾燥して居るといって、フィレンツェ、パリなどと一緒にアテーネをも挙げて居る。若しニーチェが妹への手紙に洩した願を実現して、仮に日本へ来て東京に暫くでも住んだとしたら、彼が東京の湿気を呪ったであろうことは万に一も疑ないが、燃し京城を天才の都といったかどうかもまた分らない。
金素雲が幾つか採られていますが、四方田犬彦の
私の中の韓国『われらが「他者」なる韓国』で、
金素雲ほど見事にマッチポンプされている人物はなく、
まず四方田自身の接触体験としてホメ殺しがあり、そののち、
家族の手記からの引用で、乱脈というかあっちこっちに家族的な、
ディアスポラだからかデラシネだからかみたいなだらしな…アレを、
存分にこき降ろしていて、利害の絡まない他人がディスられる様を読むのは、
なんて甘美な悦びなんだろうと思った記憶があります。
頁63 田中明「私と朝鮮のあいだ」
彼はいつも、日本人はけしからんといった態度をとっていた。そのけしからん同じ日本の軍隊が、いくら勝ちまくっているからといって、お前がそういばらなくてもいいじゃないか……。私は自分の疑問を、彼には何も伝えませんでした。しかし、そのときに私が味わった、何かわかるようなわからぬような、チグハグな感じというものは、ずっと私の内にしこりとなって持続されているような気がします。
頁65 同
いまから考えると、日本人のコロンの息子たちが、あのとき、どうして、頭のいい朝鮮人が反日に走るのは当然だと考えていたのか、いまだに私には明確な説明ができません。(中略)それはともかく、われらコロンの息子たちには、いまもって反日にひかれる癖があるようです。ジャーナリスティックな反日はいやですが……。
編者があとがきで、朝日新聞論説主幹だった若林啓文を描写するくだりが、
この辺から来てるのかと思うと、世の中ホントリクツじゃないなと思います。
任文桓という人の下記からの抜粋が面白かったので、原書読もうと思いましたが、
近くの図書館になかったw
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台湾人も新附日本人と呼んでいたのかなあ。どうだろ。
頁118 任文桓「兼職三冠王」に、韓国のことわざ、
「餅屋が餅を食べるようでは、商売は駄目」が面白いのと、
叡電元田中のあたりが出てきて、なつかしいと思いました。
頁197 宇垣一成「朝鮮を憶う」
朝鮮米が日本一の品質をもち、日本のすし米の上等品は皆朝鮮白米の一等品であったことを知る人は少いようだ。
武田泰淳『政治家の文章』でイチバン面白かった人。
陸軍大臣朝鮮総督うがき屋うーちゃんはここでも最高でした。
内鮮一体が一発変換出来ないのですが、そんな時代にポイズン、みたいな。
頁211安倍能成「或る日の晩餐」が、ビビンパを漢字で、
「烹飯」と書いていますが、ルビがビビンパクで、
編者がわざわざ、ビビンパプの表記の方が正確、と註してるので、
この漢字もあまりあてにならんかなと思いました。
頁295 佐多稲子「朝鮮の子どもたちその他」
その人の言葉で聞くと、朝鮮の子供たちで小学校教育を受けられるものは、希望者の二割に過ぎないということである。あとの八割は小学校教育を受けたくても入れる学校がない。何故朝鮮でも早く義務教育制にして呉れないのであろう、と、その人の語気は熱を帯びていた。希望して入学出来ぬあとの八割の児童たちは、文盲においやられるのです、と。女中におつかいになるにしても、字の読めた方がよろしかろうと思う、という言葉には、真剣な含みも感じられ、こちらの胸が直かに叩かれたようなものがあるのであった。
頁297 同
彼女にとっての悩みは、彼女が内地の文章にも、朝鮮の文章にも中途半端だということなのであった。内地の文章をすらすらと書けるほど内地語に通じてもいない。それなのに、彼女は最早朝鮮の文章も自由には書きつづれなくなっている、というのであった。
頁330安倍能成「京城の夏」で、鮮童と書いて、チョンガーと読ませてますが、
ビビンバの例もありますし、ほんとかなあと思ってます。
だいいち、やもめの文脈で使っていない。かむろみたいな意味合い。以上