『透明なゆりかご(2)』 (KC KISS)読了

透明なゆりかご(2) (KC KISS)

透明なゆりかご(2) (KC KISS)

『マンガがあるじゃないか わたしをつくったこの一冊』
*1の中に出てきたマンガの二巻。
2015年10月13日初版
2017年1月6日12刷
二巻も中表紙に「産婦人科医院看護師見習い日記」の副題。
さらに、"toumeina yurikago okita bakka" のローマ字表記。
※この作品の病院内、医療の描写は作者が産婦人科でバイトをしていた1997年当時の状況です。
 現在とは多少異なることをご了承ください。

この注釈も変わらず。
同じ講談社の産科医マンガ、モーニングのコウノドリとは、本当に大分違う。
同じなのは、作者の実家がどちらも鍋振り(中華)だってことくらい。
作品に登場する産科の仕事に占める「中絶」の比重が全然違うからでしょう。
女の子の漫画のほうが性描写が銀河系の果てまで進んでる、
みたいなセオリーをバクマンで読んだ気がしますが、現実の捉え方が違うから、
だから、としか説明が出来ない気がします。

この巻の初めのほうの話で、とりぱんのように、
ポエミーなモノローグで〆るテクを使い始めますが、
性に合わないのかすぐやめてます。正解と思います。
後日談を淡々と挿入して了とする、リアルの味に勝てるわけがない。

頁15、頁18、女性のグループセラピーみたいのが出てくるのは、
もっと後の巻ですが、このページで、男性の、その当時の記憶が飛ぶ、
という告白があって、私はなんだかなぐさめられた気がしました。

下記の台詞は、相当いいので、よすぎて、引用がためらわれました。

頁63
でも本来「流産」という漢字にはベビーがお腹の中で死んだらその時に一緒にママの悪いことも全て 抱えて流してくれる「そんな意味」もあったのです(中略)誰が良い悪いではなく自然淘汰もあるのが命というものデス

中略部分には、その意味でその話者(欧米人)が救われたこと、
その命にはその命の使命があったと思えたこと、という文が入ります。
またノックアウトマウスとかいろいろ考えてしまいながら読みました。

いるだけでナースにミスをさせてしまうプレッシャー妊婦もすごかったですし、
続けれないとやめてしまうほどの事件や、何があっても、いや、
あったからこそのカンファレンスの場面をたんねんに書いていくのは、
好感が持てました。私は作者の経歴をWikipediaから引用しませんが、
それは私自身色眼鏡と作品の力とのギャップを、消化し切れずにいるからです。

頁99、富山大には文化人類学科があったはずなので、
まったく。使わないでほしかった。ナンパの詐称に。
信州大には人文学部がありましたが、
(今でもあるか知らない)今考えると人文って、意味広すぎるだろう、
と思います。教養課程だけで卒業してしまう学部があるようなもので。

さいごの話が恥かきっ子ですが、参観日とか別に大丈夫です。
自分の娘を妹として届けた人知ってますが、それは一人っ子時代の中国です。
なくなってよかったですね、一人っ子政策。全然関係ありません以上