『日曜日ラビは家にいた』(ハヤカワ・ミステリ文庫)読了

カバー:巽亜古
解説:滝川義人

シリーズ三作目。

謎解きそのものより、
米国東部
ユダヤ人社会の
組織が教会を
中心に結束
されていること、
その結束力は
権力(パワー)
を生むですから、
首長選挙や、
そこでの
ラビを巡る
綱引きの描写に
重点がかかっています。

事件は、麻薬の売人を巡る事件で、ユダヤ人社会では、
売人もユダヤ人の細胞を使ったほうが浸透しやすい、のかな、
と思いました。あと、黒人の台頭と、既存被差別勢力ユダヤ人との確執。
黒人から見たらユダヤ人も奪う側抑圧する側だが、
ユダヤ人から見たら、自分たちの祖先が東欧のゲットーで暮らしてる間に、
新大陸で起こってきた奴隷貿易を巡る事柄、それに自分たちは無関係だ、
なのに黒人暴動で略奪されるユダヤ人商店は再起不能の打撃を受ける。
ここを対話する場面があり、なるほどと思いました。
アフリカ西海岸で奴隷を売った側の黒人が、奪われたと主張する黒人キャラの、
祖先のひとりだった可能性はないのか、と。
…あいまいな言い方でラビは突っ込んでますので、
アメリカ黒人の歴史、農場主の白人のお手つき、まで含んだ言い回しとも、
とれそうなとれなさそうな…と思いながら読みましたが、
もしそうなら、決裂程度ではサロントークは終わらない気もしました。

あとなんだ、解説者が、日本の特色をユダヤ人が述べた箇所として、
イザヤ・ペンダサンの引用をしてますが、当時はペンダサンが何者か、
社会は分からなかったけれども、解説者は知ってて出したのか、
知らなかったのか、そこは知りたかったなと思いました。以上

<これまで読んだ同シリーズ>
2017-01-04
『金曜日ラビは寝坊した』(ハヤカワ文庫)読了
http://d.hatena.ne.jp/stantsiya_iriya/20170104/1483476141
2017-03-05
『土曜日ラビは空腹だった』(ハヤカワ・ミステリ文庫)読了
http://d.hatena.ne.jp/stantsiya_iriya/20170305/1488697244
どちらもポケミスでまず出版、のち文庫に。

日曜日ラビは家にいた (1980年) (ハヤカワ・ミステリ文庫)

日曜日ラビは家にいた (1980年) (ハヤカワ・ミステリ文庫)

Sunday the Rabbi Stayed Home (The Rabbi Small Mysteries Book 3) (English Edition)

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