豪快なふりして、繊細。ここにもいたか、ガンコ親父。人のために、ひとつひとつ。東武鉄道


東急田園都市線

「俺、SLの仕事するんだ」
その言葉に、親父は黙ったままだった。
北海道に渡り、黒光りするSLを目にしたとき
圧倒的なオーラに、ふるえが止まらなかった。
こいつが、本当に東武線を走るのか。
真っ黒なすすと油にまみれながら
正面から、つきあい続ける日々。
機嫌をそこねると、ぴくりとも動かない。
でも胸にとてつもない、熱さがある。
そんなことを考えていたら、ふと笑ってしまった。
「こいつ、親父に似ている」