『酒のほそ道(41)』 (ニチブンコミックス) 読了

最近は、年一回くらいの刊行ペースでしょうか。と思ったら、二回だった。
収録作品は各巻ともに、春夏秋冬の季節が順繰りに全部入ってる気がしたので…
表紙は、夏冬の服装と料理を繰り返していたです。夏しか印象なかった。


何も起きていないようで、実は人生の全てが詰まっている!
酒のほそ道』は、「何も起こらない」という
全く新しいグル漫の世界を切り開いたのです!
目立った事件などが起こらないことで、日々の酒場の「空気」「雰囲気」がより身近に伝わってくるのです。
小宮山雄飛(ミュージシャン)

「酒ほそ」という四文字略語にも慣れてきましたが、今度は「グル漫」
客が主人公の料理漫画があまりないから、バトル中心だったんですかね。
大食いバトル漫画もありましたが、大酒飲みバトルとか、
酒害が巷間よく熟知されてきた現代では、ありえないので。
江戸時代の日記、『元禄御畳奉行の日記』なんか読むと、
江戸時代には大盃の一気飲み大会とかあったみたいですが。

元禄御畳奉行の日記 (中公文庫)

元禄御畳奉行の日記 (中公文庫)

作者の尾張武士朝日重章が、最後黄疸とか出て、肝硬変か何かで、
母親の死後すぐでしたか、五十前に死んでるノンフィクション。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%9D%E6%97%A5%E9%87%8D%E7%AB%A0
まえがきが、いきなり最近の若者の、路上飲酒ブームを取り上げていて、
うまく警鐘を鳴らしたいのだが、という文章でした。

頁6 まえがき
(前略)
「楽しい、美味しい、面白い」で終始していて、最後には「みなさんもやってみて」とおすすめまでしている。そこに躊躇や陰りはまったくない。
 日本ではそうではないが、外国では路上をはじめ海岸や公園などの公共の場所での飲酒を禁じている国が少なくない。
 それは、アルコール類がときとしてマイナスな事象を引き起こすドラッグに他ならないからだ。
 また外国のみならず、「飲酒に寛容」といわれるわが国においても、路上飲酒は、
(中略)
 ところが、この人たちにはそうした外からどう見えるかという視点がまるでなく、楽しい楽しいばかりなのだ。
 最近、私も、京都きっての目抜き通りである四条通の歩道で、舗道上に設置された配電関係の器具を収めた箱の上に酒類を並べて、真っ昼間から飲酒する若者の集団を見た。
(中略)そして私にはちょっと見苦しく見えた。
 再度言う。アルコール類は合法ではあるが、まごうかたなきドラッグである。
(中略)心して飲んでいただきたいのである。
(後略)

私もむかしアムステルダムのチャイナデリで缶ビール買ったら、素じゃマズいってんで、
紙袋に入れて飲めと、包んでくれました。こんだけ注射器と銀紙?落ちてる街で、
今さら、と、思いましたが、崩壊の中で、
最後の一線を個人として保とうとしている人たちもいたのだと、
今では分かります。その辺の姉ちゃんがアジア系観光客にガン飛ばして近寄ってきて、
朝から何も食べてないからワンギルダー卓袱台とねだるとか、にメートルの黒人が、
ビッチビッチビッチと呟きながらのっしのっし歩くとか、かなりアレな街だった。
そうした皮膚感覚のざらつきも、
「楽しい、美味しい、面白い」以外形容詞を持たなければ、
「楽しい、美味しい、面白い」以外他者に発信出来ることばがない。

光あるところ影がある。
リスクマネジメントとは、隠蔽、マスクすることではないですけれど、
陰陽太極旗はあの国のじゃないか、あの民族自体マイナスを併記してるのか、
とか話の論点逸らしがあったら、それはそれで、と思います。
それで思いましたが、今回は日本のアテ中心で、あさりのボンゴレとか、
ムニエルとかはなかったです。魚中心の食生活だと、こういうものも入れると、
変化がつくのですが。頁189のポテサラで、実は私が受け継いだポテサラは、
マカロニも入れて、マカロニポテサラにしてかさましするという、
炭水化物バンザイ料理であるというところから、日常の食卓として連想しました。

頁41、中井飲み歩き。私が最後に行ったのは、林芙美子記念館でしたか。
作者は大学があれで、下宿生なら西武新宿線沿線にまんべんなくいるので、
さして珍しくもない街ではないかったかと。卒業したらご無沙汰ですが、
作者はずっと23区内に離れずいたわけでしょうから。
大江戸線が通ってるという印象は私にはないです。
目白通りと、山手通りの交差点のビーガールの思い出が強すぎて、
たぶんもう行かないです。

頁62、いか納豆とかまぐろの山かけとかがつまみにくい問題、
採り箸では解決しないだろうけど、取り箸がほしいです。

頁76、赤提灯、私も飲み屋のそれではありませんが、ある何かが店を畳んだときのを、
預かって持っています。いつかまた掛ける時が来ればいいかな、的に。

頁95、日本のアテ中心と書きましたが、ここで焼肉屋とマッコリが出た。
むかしは自製の密造中心で… なんてウンチクたれる老人は、
酒ほそワールドにはいないです。
頁96、ビールが服にかかった翌朝、パンが発酵した香りがすると、
私は思うのですが、如何でしょうか。喫煙すると気がつかないかな。

頁117の新しいタイプの吞み放題、どうやって採算とってるのか。

頁122、123、172が新展開でしたが、かすみ云々より、飲めない体質の社員、
どこ行ったのかなと思いました。湊かなえ『リバース』でしょうか。
女子大生は一話。バー、ジンの話。サイドカーって、名前がいいです。
かすみたなびくのパリの話もそうですが、作者と娘さんの会話がベースじゃいかと、
ほほえましく想像しながら読みます。
作者の周囲も、酒場ライターの若い?人とかがたくさん登場しますが、
以前の巻に登場した、応援団のつまみレシピの人とか、藤木TDCとか、
継続登場しない人とのその後の相関関係を妄想したりもします。

頁139、箸置き。日本人は箸をヨコに置き、中国人はタテに置くとか、
邱永漢象牙の箸を思い出しました(食事会で箸置きをくすねる客がいる)

頁152、それはただたんに、京都人のイケズだと思います。

頁159、アカムツは昔よく食べた気がします。ノドグロなんですね。

頁171、最近のからあげ、チェーン店急増殖というと、鶏肉の価格安定とともに、
激安食品の落とし穴で読んだ、タンプリング、インジェクションを想起します。

激安食品の落とし穴

激安食品の落とし穴

頁200、吉田類賛否両論はおいといて、
(酒場俳句が俳句的にどうかだけは夏井いつきあたりがカミングアウトすべき。
 検索したら、けっこうそういう待望論的つぶやきは出ますね)
周恩来は口にハンカチあてて吐いて、田中角栄をツブしたわけなので、
元在日留学生で日本人の単純なところを熟知した、酸いも甘いも嚙み分けた応対に、
田中角栄は赤子の手をひねるようなものだったのでは、と思います。
でも田中角栄も策を練る以外に無手勝流もあるし…

そうそう、まえがきが路上飲みでしたが、私は今回絶対、
出会い系居酒屋が出ると思ってたので、いつ出るか興味津々です。
タケノマタらと出会い系居酒屋に行って、かすみらとバッタリ。
独り暮らしのオーエルは、生活費がタイヘンなんです!! と逆ギレ。
…そんな展開はないか。以上