- 作者: 倉阪鬼一郎,宇野信哉
- 出版社/メーカー: 二見書房
- 発売日: 2017/06/26
- メディア: 文庫
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カバーデザイン:ヤマシタツトム(ヤマシタデザインルーム)
そのへんに転がってた時代小説。図書館の本。
「酒」という漢字がタイトルに入ってますが、シリーズ二十冊も出てて、
「酒」が入ってるのは、これだけ。お江戸オレオレ小説です。あと認知。
舞台になってるのは、旅籠付の小料理屋だとかで、横山町って知らないので、
例によって検索しました。下記でいいのかな。
http://www.tonya.or.jp/
はたご付小料理屋つーのは、英国でいうイン、パブみたいなものだと思いました。
何故お江戸で、宿泊付居酒屋が普遍にならなかったかというと、たぶん、
お色気が絡んできてしまい、そっちの上がりのほうがよくなるが、
客層のスジも経営者の顔もそうなると変わってしまい、料理の味とか、
もうそんなん全然あれやわ〜、となるからなんだろうなと思います。
こういう大きい活字の文庫時代劇は、下記を読んでたので、
どうしても比べてしまいます。リアルな描写についてなど。
2014-07-15『御鑓拝借〈新装版〉―酔いどれ小籐次留書』 (幻冬舎文庫)読了
http://d.hatena.ne.jp/stantsiya_iriya/20140715/1405430563
2014-09-02『意地に候〈新装版〉―酔いどれ小籐次留書』 (幻冬舎文庫)読了
http://d.hatena.ne.jp/stantsiya_iriya/20140902/1409659628
酔いどれことうげじは、何もかも失った中年独身主人公が、
いじましくとぼしい食材を倹約しながら自炊の煮炊きして、
冷蔵庫がない時代だから常温保存でなるべくもつよう工夫する、
温め直し焼き直しで対応する、煮炊きの燃料も節約する、そういうところが、
とてもよかったのですが、のどか屋のほうは、けっこう揚げ物が多かったりして、
江戸時代って、そんな揚げ物バンバンやってたっけ? と思いました。
桜鯛の季節に大葉がもう採れるのかな、という献立の不思議もありますが、
まああまり考えない。俳句が出てきますが、季語のないのもあったりで、
肩ひじ張らない、愉快なものです。吉田類の酒場俳句とはまた違いますが。
しかしこうゆうのも、句会とかだといろいろめんどくさいんだろな。
また、佐伯泰英のよさは、現代では近代法に阻まれて、勧善懲悪、
悪は斬る、一刀両断、が、あまりできないのに対し、江戸時代だも〜ん、
封建時代だから、法治でなく人治で、解釈とか伸び縮み可能で、
成敗あっぱれ、かたきうちあっぱれ、が出来ちゃうよん、
の、殺伐とした爽快感でしたが、こっちは、
あまり殺陣のシーンがなく、料理うましほっこり、
で攻めてくるので、もう少し悪を斬ってくれえ、捕まったあとで、
市中引き回しの折に、善男善女の市民からツバ吐きかけられる罪人、
みたいな、リトル秦檜夫妻的場面は要らないから、とちょっと思いました。
そんな話です。以上