『居酒屋ぶたぶた』 (光文社文庫) 読了

居酒屋ぶたぶた (光文社文庫)

居酒屋ぶたぶた (光文社文庫)

どこで見つけて読もうと思ったのか、思い出せなくなってる本。
でも予約して、貸出してもらって読みました。

カバーイラスト――手塚リサ
カバーデザイン――加藤聡(KINDAI)
カバー印刷――萩原印刷

文庫書下ろし。著者あとがき有。

日々のぶたぶたはインスタグラム参照とのこと。
愈々以てインスタグラムの時代でしょうか。
本田がパチューカ移籍をインスタグラムで報告した、
くらいの広まり方と認識しています。

連作短編集。

最初が、軽めの定食ライクな晩酌セットと、
夕飯のおかずにもなる惣菜テイクアウトが売りの、居酒屋。
郊外新興住宅街の駅前?商店街のお店。

二つ目はバー。主人公はザル。縁者に依存症まで行った人がいる。

三作目は屋台のおでん屋。酔っぱらいお断り。注文は二本まで。
主人公は、離職後、空いた時間に酒が切れなくて、
ベーヤーと思ってる、求職中の独身女性。
出汁割りがうまそうでした。

次はワインバー。夜遅くの入店なので、あてはカクテルサラダ。
が、隣のテーブルのラザニアが気になる。が、時間帯が危険。

最後は、アルコール分解酵素がないので、飲めないが、酒の味は好きな主人公と、
新宿ゴールデン街。ミステリー好きが集う店。

頁187
 コップやグラス半分のビールやワインで顔が赤くなり、ガンガン頭が痛み出し、吐き気も出て、あとは青い顔で座っているしかない、という人間には、そんな酵素はないということを。
 吐き気が出るということは、結局自分の身体にとって酒は毒なんだな、というのもわかって、少し寂しい気持ちすらあった。けれど「好き」とは言え、それを摂らないと我慢できない、というほどの好物ではなかったので、下戸であることはすんなり受け入れることができた。その頃に会社を辞めたので、酒を強要されることもなくなった。
 酒が飲めないことを「損している」と言う人もいるが、少なくとも重徳はそう思わない。酒の味が好きであってもそう思う。だって飲んだらもっと損した気分になる。ソフトドリンクでも充分楽しく過ごせるんだから、得していると言ってもいいんじゃないのか?
 まあ、多少「損をしている」と思えるとしたら、行きたいと思ってもそこが酒場だと思うとちょっと躊躇してしまうところか。一人でフラッと行けない。酒の飲める人と行かなければならないだろうか、と考えてしまうし、実際そうしている。

あとがきによると、作者も同様の体質で、夫も下戸とのこと。
で、「酔う」という感覚が分からないのは残念、とあります。

そのわりに、それなりに、悪酔いや失見当も作中に描いています。
二日酔いは、ないか。

飲めないけど、飲む訓練をして、
或る程度飲めるようになったほうがいいだろうか、
ただし、自分はいまだ酒の味をおいしいとは思えない。
という相談を受けたことがあります。
受け付けない体質の人ではないようでした。
酒の味が分からないというのは、ふきのとうとか、
さんまのわたの味が分からないのと同様に、
味覚が未発達じゃないかと思うこともあるのですが、
上記引用部分のように会社辞めるまでする必要はないですし、
(この主人公は舅の電気屋を引き継ぐため辞めている)
訓練するもしないも自分次第、ただし、ここに引用した部分は、
よく殺し文句で言われる、飲めないことで損している、という言葉への、
アンサーになるのではないかと考え、引用させて頂きました。

しかし、なんで私なんかにそんな相談するんだろう。巧妙ではないけれど、
不可解です。以上