- 作者: F.ロッテンシュタイナー,深見弾
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1981/07
- メディア: 文庫
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解説は、ありません。
なんとなくアマゾンで出てくるエスエフの本見てて、
これが出て来て、読みたくなって読んだ本です。
ロッテンシュタイナーという編集者が、SFがアツかった時代に、
モノリンガル、もといアメリカ人(当時)の読者に、非英語圏欧州の、
優れたエスエフ短編を紹介したいなー、僕シュタイナー、
みたいな感じで編んだ本です。なので、ハヤカワ文庫は原語直訳でなく、
英語からの邦訳?、と思いますが、何も書いてないくて、不明です。
Franz Rottensteiner Wikipedia
https://en.wikipedia.org/wiki/Franz_Rottensteiner
"Abe Kōbō"も紹介してるとありました、この人。
で、原題見ようと思って検索すると、翻訳集成の個人の方の、
素晴らしいサイトが、ひとつひとつ原題で書いていて、
これはスゲーと思ったですが、さすがに文字はラテンで、
今回のようにキリルなども混じっていると、そこまで調べるべきか悩み、
そもそもスタニスワフ・レムなど、英語版自体が、ポーランド語からでなく、
ロシア語からの重訳になっていないか? それをさらに邦訳だと、
三重訳のキセキの人ではないでしょうか、等々鑑み、
素晴らしい個人の方の翻訳集成サイトからコピー&ペーストするのはアカンので、
なんかよく分からない欧米のサイトから英文をコピーして、
ほかの邦文と組み合わせて、さらにやれるだけ原語つけてみます。
<目次>
序 フランツ・ロッテンシュタイナー 深見 弾訳
『完世遠菩薩(かんぜおんぼさつ)』
スタニスワフ・レム(ポーランド)深見 弾訳
"In Hot Pursuit of Happiness" by Stanislaw Lem (1971, Poland)
"Kobyszczę" przez Stanisław Herman Lem
⇒たぶん訳者がダジャレや造語が好きなのだと思います。
この訳者のほかの訳の小説ももじりなんかが多いです。
頁77二進も三進も
にっちもさっちもの漢字がこれとは知りませんでした。
ためしに今打ち込んでみたら一発変換だった。
https://zh.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%BA%E5%99%A8%E4%BA%BA%E5%A4%A7%E5%B8%88
『こだまの谷』
ジェラール・クラン(フランス)美濃 透訳
"The Valley of Echoes" by Gerard Klein (1966, France)
"La Vallée des Echos" par Gérard Klein
⇒ブラッドベリ調と編者の言うとおりだと。
https://fr.wikipedia.org/wiki/G%C3%A9rard_Klein
『カドラーニュ観察日誌』
J・P・アンドルヴォン(フランス)美濃 透訳
"Observation of Quadragnes" by J.P. Andrevon (1971, France)
" Observation des quadragnes" par Jean-Pierre Andrevon
⇒男女の機微が素敵でした。ハングマンでこんな話あった気がする。
頁133
おれはてっきり、こりゃ、もうダメだ、仏教の坊主みたいに、人間バーベキューにされちまうって思ったよ。
『指輪』
スヴェン・オゲ・マセン(デンマーク)深見 弾訳
"The Good Ring" by Svend Age Madsen (1970, Denmark)
"Den gode ring" af Svend Åge Madsen
⇒頁160ぷりぷり肝をたて
「はら」って最初読めませんでした。
https://da.wikipedia.org/w/index.php?title=Svend_%C3%85ge_Madsen&redirect=no
『探検隊』
ヘルベルト・W・フランケ(西ドイツ)松谷健二訳
"Slum" by Herbert W. Franke (1970, West Germany)
'In den Slums' von Herbert W. Franke
⇒頁174敝衣逢髪
→敝衣蓬髪 goo辞書
https://dictionary.goo.ne.jp/leaf/idiom/%E6%95%9D%E8%A1%A3%E8%93%AC%E9%AB%AA/m0u/
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%98%E3%83%AB%E3%83%99%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%BBW%E3%83%BB%E3%83%95%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B1
『ネモ船長の最後の冒険』
ヨゼフ・ネスヴァドバ(チェコスロヴァキア)栗栖 継訳
"Captain Nemo's Last Adventure" by Josef Nesvadba (1964, Czechoslovakia)
"Poslední cesty kapitána Nema" podle Josef Nesvadba
⇒頁192チンブクツ
https://cs.wikipedia.org/wiki/Josef_Nesvadba
『確率神の祭壇』
アドリアン・ロゴス(ルーマニア)住谷 春也訳
"The Altar of the Random Gods" by Adrian Rogoz (1970, Romania)
"Altarul zeilor Stohastici" de Adrian Rogoz
⇒造語具合からして、深見訳かと思いました。
アイサイト、グーグルカーに逆走命じるような話です。
https://ro.wikipedia.org/wiki/Adrian_Rogoz
『おやすみ、ソフィア』
リーノ・アルダーニ(イタリア)千種 堅訳
"Good Night, Sophie" by Lino Aldani (1964, Italy)
"Buonanotte Sofia", di Lino Aldani
⇒やはりイタリアとギリシャは戦後共産主義運動が盛んで、
しかしスターリンがヤルタ協定を墨守したため、
赤化しなかった地帯なのだなと思わせる小説。
体制内で激烈な競争を勝ち抜いた成功者が、
反体制団体の「赤い貴族」に向けるまなざしが素晴らしい。
最近の映画館は水しぶきやニオイくらいやる映画もあるそうですが、
その先にあるもの、そしてその先へと牽引するものはエロ動機しかなく、
男女はそれぞれそれに求めるものやアプローチの仕方が違う、
などが丹念に描かれていて、やっぱり私はイタリアが好きです。
頁252デリーケト←誤植。
https://it.wikipedia.org/wiki/Lino_Aldani
『実験場』
セーヴェル・ガンソフスキー(ソ連)深見 弾訳
"The Proving Ground" by Sever Gansovski (1969, U.S.S.R.)
"Полигон" ot Се́вер Фе́ликсович Гансо́вский
⇒プロットの都合もあるのでしょうが、舞台を、
ソ連の実験で犠牲になるサイベリアの奥地の孤立村でなく、
米仏の実験でゴジラが出る南海の孤島にしたあたり、
ソ連作家が、どうすればうまく書けるか苦闘した痕に見えます。
https://ru.wikipedia.org/wiki/%D0%93%D0%B0%D0%BD%D1%81%D0%BE%D0%B2%D1%81%D0%BA%D0%B8%D0%B9,_%D0%A1%D0%B5%D0%B2%D0%B5%D1%80_%D0%A4%D0%B5%D0%BB%D0%B8%D0%BA%D1%81%D0%BE%D0%B2%D0%B8%D1%87
『〈風神〉アイオロスの子、シシフォス』
フセヴォロド・イワーノフ(ソ連)深見 弾訳
"Sisyphus, The Son of Aeolus" by Vsevolod Ivanov (1970, U.S.S.R.)
"Сизиф, сын Эола" ot Все́волод Вячесла́вович Ива́нов
⇒ダザイの走れメロスがエスエフでないように、
これも寓話的ファンタジーで、エスエフではない気がします。
でも有名な短編なのかもしれず、Wikipedia露語版のシジフォス見ると、
リンクからテキストベースの原書全文に跳べます。
https://ru.wikipedia.org/wiki/%D0%98%D0%B2%D0%B0%D0%BD%D0%BE%D0%B2,_%D0%92%D1%81%D0%B5%D0%B2%D0%BE%D0%BB%D0%BE%D0%B4_%D0%92%D1%8F%D1%87%D0%B5%D1%81%D0%BB%D0%B0%D0%B2%D0%BE%D0%B2%D0%B8%D1%87
『内気な天才』
ワジム・シェフネル(ソ連)深見 弾訳
"A Modest Genius" by Vadim Shefner (1968, U.S.S.R.)
"Скромный гений" ot Шефнер, Вадим Сергеевич
⇒これはいい話でした。すばらしい。
https://ru.wikipedia.org/wiki/%D0%A8%D0%B5%D1%84%D0%BD%D0%B5%D1%80,_%D0%92%D0%B0%D0%B4%D0%B8%D0%BC_%D0%A1%D0%B5%D1%80%D0%B3%D0%B5%D0%B5%D0%B2%D0%B8%D1%87
View from Another Shore (Liverpool Science Fiction Texts and Studies, 13)
- 作者: Franz Rottensteiner
- 出版社/メーカー: Liverpool Univ Pr
- 発売日: 1999/06/01
- メディア: ハードカバー
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"by"に当たる各国語はグーグル翻訳から貼りましたが、
男性形がどうのといった、語形変化等で対応する言語もあるでしょうし、
まあ、これは、キカイに頼った、デタラメペースト訳です。
(2017/9/6)