『火星ダーク・バラード』ハードカバー読了

火星ダーク・バラード

火星ダーク・バラード

取り急ぎハードカバーは借りられるので、それを読んでます。
今のところ現実に影響がありそうな話はないです、自分の感想では。

頁45、范志偉のルビ、ファンチーワイは、ファンチーウェイの間違いだと。
頁94、黄皓明のルビ、ウォンハオミン。広東語読みの姓ですが、
皓を粤語でもハオと読んでいいのか、ちょっとはてなマーク。
頁74、ユ・ギヒョンのユが劉って、そうなん?と検索したら、
本当でした。ヤナギと兪だけかと思ってた。私は浅学。

頁75
「底意地の悪い言い方をするのはやめて下さいよ。まぁお茶でも飲んで気分転換しましょう。それとも、お酒のほうがいいですか」
「酒はいらない」と水島は答えた。このまま酔い潰れて自己憐憫に浸るなど、璃奈に申し訳なくて出来るわけがなかった。藤元は、それを素直に受け止め、彼を近くの喫茶店へ案内した。

火星の話なんですけど、喫茶店。というか、ほかの個所でもちょっと思ったのが、
酩酊に対する嫌悪というか、忌避。コントロール不能に陥る怖さ。
なかなか上記のような四文字熟語はこの場面で使えない気がしました。
取り急ぎここまで。

【後報】
さいごまで読みましたが、特になし。オサーンが少女を助ける話。
オサーンは東洋人。というか日本人。少女はバリバリのコーカソイド
その際は、プラトニックの無償の愛が前提という倫理が我々の社会規範で、
カリ城もそうだし、カウボーイなんとかとかいろいろ新しいアニメも、
基本は踏襲してると思いますが、この小説はその辺り、フィジカルの吐露として、
物足りないものを感じて踏み込もうとして幸せな小説に仕上げた気もします。

この小説を教えてくれた人は、文庫を読んで何か考えたようですので、
単行本にはたぶんそれはないですよ、と伝えたいと思います。
商業作品として応募投稿入賞した作品のきらめきがありました。
同人的な作品をそれまでにこなしていたかもしれないですが、
現代の情報過多を恨みながら読んだ箇所も有〼。周囲に読ませて、
参考意見を聞いて、それを取り入れたような、借り物が幾つかある気がして。
「人間が(あるいは男が)分かってないなー、これとか読んでみ」
「いやーこれはちょっと」
「きれいごとは別、別、据え膳食わぬはですよ」
「でも、武士は食わねど高楊枝、ってのもありますよ」
みたいな会話があって、結局、趣味でないけど読んだ精神汚染、
衝撃波💥のような他ジャンル創作作品の描写を取り入れたとしたら、
あとで、自分の創作と相容れないと考えて、文庫で改変したかも、
と思いました。例えば頁309のグレアムのジャネットに対する妄想。
こんなの、そういう小説場面がデフォだからそうしなさいみたいな、
余計な参考意見を取り入れてる気がするんですが、違うかな。
ハードボイルド描写が多いので、ちょっとそう思いました。
馳★周みたいに、最初からノワール小説の焦燥が描ける人って、
その人の個性ですね。違う人は違うです。

装幀・伸童舎
装画・田中達之

以上
(2017/11/9)