『くらべる値段』(『目でみることば』シリーズ)読了

くらべる値段

くらべる値段

 

 相鉄瓦版256号特集で著者が紹介されていたので、読んでみましたフォー。相鉄瓦版 256号 『目でみることば』読了 - Stantsiya_Iriya  デザイン佐藤美幸(keekuu design labo)編集協力 (有) SPOON BOOKS 巻末に撮影協力各位と主要参考文献。「おわりに」に、編集者が、フルネームでなく、みよじだけで登場します。

これは、ものによって、値段の付け方の基準が違うのと、ものさしをどこに置くかで、だいぶ変わると思います。

頁76、相鉄瓦版でも紹介されている例として、しいたけは傘があまり開いてないものが価格が上だが、味については、どちらもファンがついていて、好みの問題と書いていて、さらに、併せて、原木栽培か菌床栽培かの違いも特に価格に反映されないとあります。それはそうなんでしょうが、国産と中国産の価格差はあるはずで、国産の特徴は原木栽培、中国産は菌床栽培で、根っ子の形が違うのでワリと楽に見分けがつくはずで、で、国産なのに菌床栽培だと、産地偽装と思われたりしないか、それがイヤなのでみんなと同じ原木栽培にしてるとかないか、とか、思いました。

頁12のうなぎも、松竹梅の差は、基本的に店単位では同じ素材なので、その中での量の違いとありました。しかし店を跨ぐと、国産と輸入もの、養殖と天然ものの違いがあるはずなので、そこを乗り越えられればすごいのですが、この本は社会のナントカにメスを入れる本ではないので、取材先のよいところを伝えつつ、シメるという安定の展開で終わります。

頁35、かまぼこは鈴廣でした。仙台と小田原の違いではなかった。

頁42、カメラマンのコラム、証明書写真の、ボックスと写真館のちがい、の記事は参考になりました。ボックスが映りが悪いとしたら、それはレンズと被写体の距離が近いことから起こる現象で、これは構造的な問題だもんで、自撮りでも気をつけやう!とのことで、ただ、じゃあ写真館ならどこでもよいかというと、私はカメラのキタム…むにゃむにゃで撮ってもらった時、とてもおざなりで、これではマイナンバーカードに使えんわい、と考え、写真館にも行きましたが、頑張って撮ってくれたので、あまりやいやい言いたくないのですが、素材が悪いのはいかんともしがたく、それで免許証もマイナンバーカードもあきらめていたのですが、この記事は、「デパートの写真館」で、四千円くらい払って撮ってもらったのとボックスを横に並べて検証していて、これがぜんぜんグンバツによいのです。これなら私もデパートで撮ろうと思いました。大手デパートとしか書いてませんが、たぶん首都圏の核心地帯の高級デパートなんであろうと思います。絶対行く。

頁72、サッカーボールの価格の違いは、手縫い(安い)か、貼り合わせ(高い)ということで、確かサッカーボールの縫製は、パキスタンで少年工が児童労働で作ってると聞いてますので、貼り合わせなら低賃金の児童労働とか考えなくていいかもしれません。貼り合わせも、パキスタンで少年工がハンダごてかなんかで手作業でやってて、有害な煙を吸い込んでたりしたらイヤですが、何事も報道されなければ気が付きませんし、知らなければ良心も痛まない。

頁80のジーパンの価格差も、同じ岡山のメーカー品の中での比較なので、リーバイスユニクロの比較とかではないです。

頁92、スキヤキは赤身肉が安く、サシの入った肉が高いですが、この記事ではその先の未来を書いていて、サシがあればあるだけ高級な、霜降り肉競争の結果の、サシ率50%~70%の肉より、30%程度の、「適サシ肉」を提唱してる店を取材しています。私も先日の人間ドックで、コレステロールタスケテーと思いましたので、適度なモノの登場は好ましい限りと思います。私は、肉ではなく脂身や鶏皮ばっか食べてたので、治すにあたっての食生活改善もおのずと違うわけですが。

頁96、寿司のセットの価格差は、やっぱりネタの違いで、ブラックタイガークルマエビスルメイカスミイカ、蓄養マグロか天然か、ということだそうです。でも、職人さんはどっちを握る時も手抜きなしなのでおいちいヨ、と書いてあり、苦しいなと思いました。このネタは、寿司でひとつネタ書いて、トロでもっかいネタ使いまわしてます。

海苔やバナナは相鉄瓦版や頁133読んでもらえばよくて、頁145、ヘッドフォンの違いも、町田のオーディオテクニカに取材してるので、善き哉善き哉と思いました。

本を、文庫やソフトカバーで読むか、豪華装幀箱入りで読むか、については、頁156、はてしない物語を例に説明しています。エンデがいちばん喜んだのは岩波書店の日本語版だった、という…

頁168、パイロットが、新規ユーザー開拓のための奥の手として開発した、ステンレス製のペン先の千円万年筆が激賞されていて、私もほしくなりました。ベルマーレの試合を見に大原に行くと、隣がパイロット。そこで売っても売れないでしょうけれど、そういうものがあって、いいものだという情報は分かったので、文房具専門店とかに行った時に、触ってみようと思います。ペン先自体も、ステンレス製とかあるんでしょうかね。私はペン先を錆びさせる名人で、昔ジャンプで、ペン先がすぐ錆びるんですがどうしたらいいでしょうか、みたいな質問が、へたっぴマンガ研究所かなんかに来た時、鳥山明だったかな、きちんと豆に使って手入れしてたら錆びるわけがない、愛情が足りないんじゃ、と書いてコテンパンでしたが、ステンレス製があるんなら、また話は別じゃいかと思います。錆びないペン先の丸ペンGペン。カブラペンとかガラスペンとか、昔のまんが教室の道具一覧見ると出てきますが(あとカスを掃除する羽根)もう流石にないだろうと。そのかわりお絵かきソフト性能比較コーナーと、快適な動作環境の為のハードスペックとかが、出てくるのかもしれません。

このコンセプトだと、暮らしの手帖ではないので、なかなか辛口な意見は書きづらいと思いますし、そういうテイストのシリーズでもないのですが、でも価格というと、やっぱり「安くていいもの」という、作り手売り手いじめばかり考えてしまいがちで、本書巻末にあるような、近江商人の心得、「売り手よし、買い手よし、世間よし」の「三方よし」のような悟りの心境、いつも理想を胸に、の日々是精進には、なかなかたどりつけないなと思います。ユーザーを次々にボロボロにしてゆく悪徳プッシャーなどは、このようなワルい社会状況で産まれている、と書くと、まーたそんな個人で防御出来ることをすべて制度のせいにしようとするブサヨが、と言われそうで、言いませんが、今書いてまいました。以上