その辺にあったマンガ。Cover Design : SALIDAS 読んだのは初版。
帯は声優・斉藤壮馬という人。料理監修・江澤雅俊(29Rotie) はてなダイアリーのはまぞうもたいがい機能してませんでしたが、はてなブログもその点では同じでした。肉を喰わせる居酒屋だとか。
29 ロティ (29Rotie) - 大塚駅前/その他肉料理 [食べログ]
少女マンガなので手書きのあとがきがあります。まず、タイトルの意味が分かりませんでした。
「ながたん」の意味は分かったのですが、「アンドブルー」の意味が分かりませんでした。シハヌーク殿下が、ポル・ポトのクメール・ルージュに対し、ベトナムの傀儡、ヘン・サムリン政権をクメール・ブルーと呼んだこととは無関係と思います。モンテディオ山形のチャント "The Colour Is Blue" とも無関係と推測。 カズレーサーとか林先生なら分かるかも。講談社のキッス公式ページは、誰かがウソ八百のチクリ入れたのか、マカフィーが有害サイト認定してましたが、作者のツイッターからそこに飛んで、青の意味が分かりました。
作者はブログを止めていてツイッター一本みたいでした。Wikipediaも更新されておらず、本書はWikipedia未記載。カバー折り返しによると、ポルトガルが大好きで、旅行に行ってお酒を飲みたいそうです。さっき読んだ時は「浴びるように飲みたい」と書いてあった気がしたのですが、読み返したらそうは書いてなかった。劇中のセリフだったかなと読み返しましたが、頁97「泥のように寝たい」でした。どこにもそんなこと書いてない。おかしいなと今日一日の行動を検証すると、越沼初美『ギムレット・カラーに染めちゃって』の著者近況だった。
昭和二六年、近代消耗戦で大幅に男女比が狂った敗戦国日本で、しかしそれとはあんまし関係ない理由で15歳の年の差婚(政略婚)となった京都料亭の戦争未亡人と大阪のホテル経営者の三男で在京学生の入り婿(19)がどうのこうのという話です。未亡人はじゃー34歳か。誘えば旦那はサルのように来るだろうに、マンガなので一つ屋根の下で暮らしてもプラトニックというか、愛情のない結婚なので、あれこれしませんえ、逃げ恥といっしょですやんという話。未亡人は洋食のお店で修業して、そこにお勤めしてます。和食では女の浮かぶ瀬はないと考えて。二巻のなかで、サンフランシスコ講和条約がむすばれます。戦艦ミズーリ。
旦那の名前はあまねクンで、この巻冒頭でイキナリ、外人嫌いの料理長が彼をディスって辞めてしまうので、私は「周」を、最初、周富徳とか周良貨とかの「しゅう」と読んでまいました。ちがった。GHQ婦人と日本婦人の、児童も交えた昼食会40人参加の仕事がこの巻のメインで、いきなりベジーの黒人女性が出てきて、そのページが茶碗蒸しだったので、いきなりやらかしたかと思いましたが、高野豆腐オイシイ、とかそういうふうになって、卵もNGな本格ベジーでなくてよかったな駅乃みちかいちかと思いました。でも黒人の公民権運動とかまだ先も先なのに、さらっと将校以上参加みたいな会に出てくるとか、多少歴史の捉え直しが入ったマンガなんだろうなとも思った。
頁84に醤油のジュレとテリヤキソースが出てきて、えっこの当時テリヤキソースまだないだろうと思い、検索すると、はたして1957年(昭和三二年)キッコーマンのU.S.A本土における醤油販売開始を以て嚆矢としているので、この漫画はちょっとアレです。
米国でテリヤキソースが生まれたきっかけは、日本の醤油メーカーキッコーマンが1957年に米国内初の醤油販売を開始した事にある。販売を始めてみたが醤油の使用法が当時のアメリカ人には理解されておらず、まだ日本料理も一般的でなかったため販売が伸び悩んでいた。キッコーマンの日系二世のセールスマン、タム吉永が彼の母親の調理した和食、魚の照り焼きをヒントに、肉料理に合う醤油ベースの料理法「テリヤキ」を発案した[1]。テリヤキソース調理法はキッコーマン主催の料理教室や販売促進用の小冊子などで、ゆっくりとアメリカに定着し現在の地位を確立してきた。
一色信幸『僕らはみんな生きている』映画版で、主人公がゲリラ相手に、ジャパニーズビジネスマンは西海岸のビーチで汗まみれになってBBQパーティ開いてテリヤキ焼いて醤油売るなど、泥臭く世界で頭を下げて回って日本製品を売ってきたんだ、と演説して、ファミコンを改造した無線傍受機を売って解放されんとする場面がありますが、そうした先人の偉業が語り継がれていないのはさみしいことです。ジュレはもっとアレで、タイムワープにもほどがあると。カクテルもそうですが、冷蔵庫普及が前提の調理法を、氷室時代水屋時代に出していいのかという…京野菜を加えたハンドメイドのタルタルソースは、ちょっと私も食べてみたいです。すぐき一択なのでしょうか。かぶらの千枚漬けとかもあるのかな。あと、頁89、煎りこんにゃくアメリカンステーキ風、にんにくスライス使ってます。女子が厨房に入るより、こっちのほうが当時の京都のオフィシャルな食事会メニューとして衝撃ではなかったかと。ニンニク食って歓談とわ。
頁146、右下の顔はよかったです。作者はたぶん、ヘタウマに近い絵で、ストーリーで勝負する人だと思うのですが、仕事場の洋食屋のシェフ、田嶋はんには、宿六に見せたことのないいきいきとした笑顔を見せていて、ここはあまりに分かりやすいので、無意識に気に入った場面ではお顔を三割増しに描いてしまうんだなと思いました。
以上です。