『雨やどり 新宿馬鹿物語 一』読了

雨やどり (集英社文庫)

雨やどり (集英社文庫)

読んだのは河出の単行本。初版の一ヶ月後の再版。
滝田ゆうの表紙。大竹聡さんの下記の本を読んでたら、
鎌倉の飲み屋兼古本屋でこの本ゲットした旨記述があり、
そういえば読んでなかったなと思い、借りました。

2018-01-02『ぶらり昼酒・散歩酒』 (光文社文庫) 読了
http://d.hatena.ne.jp/stantsiya_iriya/20180102/1514897909






 、






継がれているものというと、
まず『戦国自衛隊

作者も草葉の陰で苦笑してることでしょう。

次が江戸長屋人情もの、その次が直木賞受賞作の本書、と思います。

私はむすびのやまひろくやいしのけちみゃくが好きなのですが、
どうなんだろうな〜 SF、いいんだけどなー。

軍靴の響き 1 (かわぐちかいじ傑作選)

軍靴の響き 1 (かわぐちかいじ傑作選)

軍靴の響き 2 (かわぐちかいじ傑作選)

軍靴の響き 2 (かわぐちかいじ傑作選)

軍靴の足音 アンサイクロペディア
http://ja.uncyclopedia.info/wiki/%E8%BB%8D%E9%9D%B4%E3%81%AE%E8%B6%B3%E9%9F%B3
私は太陽の世界も妖星伝も読んでません。晴れた空は覚えていず、
岬一郎の抵抗はよく覚えています。以下後報【後報】
軍靴の響きも未読で、近くの図書館未所蔵なんですが、
「パヨクwwwwww」とか書いてるネトウヨ國士のオサーンに、
意外と高評価なんですね、民主日本が再軍備する未来に警鐘鳴らしたこの小説。
ホントに草葉の陰で苦笑いしてるんだろうな、作者。
最初の『おさせ伝説』
だけSFです。
初出はオール讀物'73.Dec.

次の『ふたり』は、
百合未満。初出は
週刊小説'73 30 Nov.

その次の『新宿の名人』は、
青山二郎思い出しました。
そういう人間はいるものです。

頁143『新宿の男』
思い出してみな。男はみんなやくざぶってた。俺だってそうだし。みんなそうだった。ひでえもんだぜ。女たちはもっとひどい。パンパンみたいだった。昼間はどいつもこいつもターバンを頭に巻いて、口紅をまっかっかに塗って、煙草を横っちょにくわえて……。

一昨年黄金町の銭湯で、
こういう女の子何人も
見ましたが、みな、韓国人のニューカマーでした。
この小説は、セクト間の内ゲバというか誤爆で、人死にが出ます。
社会がよくなるために必要な犠牲とか、ほんとにそう思ってたん
だろうな。おかつは。初出は小説現代'74 Apr.

次の『かえり唄』頁155、バーテンが成功するには、
普通のリーマンより、ずっと強い自己規制が必要とあり、納得しました。

頁155『かえり唄』
 若い頃は面白くないバーテンと言われ、派手な男に先を越されて下積みが長かった。
 しかし、その分じっと他人の人生の流れを見守っているような所があって、作家とか芸人とか、或いは平凡なサラリーマンでも何かひとすねしたような性分の客には、仙ちゃん仙ちゃんと言って可愛がられたものである。

初出は北国新聞 '74 9 Feb.夕刊

頁169『雨やどり』
「だからいいんだよ。お前は真面目だし」
「俺が……」
「まあ真面目なほうさ。あんまり飲み歩かねえし」
「だって店をしめる頃にはほかの店だってしまってるもの。飲み歩きたくったってできないじゃないの」
「だから真面目だって言うのさ。まあいいや。で、どうする、見合い……」

この話で直木賞とったわけですが、そろそろ獲らせるかみたいな感じで、
賞狙いでなんかああしろこうしろがあった気がします。
筆が迷っていて、最後の一行まで書きこんでるんですが、しまらない。
頁190、香典と書かず、香奠と書いていて、釈奠の奠はこんなふうにも使うのか、
と勉強になりました。初出はオール讀物'74 Nov.

次の『昔ごっこ』は、阪僑と戦う話。いちばん面白かった。

頁232『昔ごっこ
 いつの間にか、仙田も昔に戻り切っていた。顔のまん中で三組ほどの客を監視し、両目の隅でもうひと組ずつとらえている。だから目玉が動かない。緊張しなければできない芸当であった。仙田は背骨をしゃんと伸ばし、どこを見ているか判らない目付きで、次々に命令を発していた。

こういうの、宴の華ですよね。混んでるフレンチとかで、
ちゃんと、前の皿が食べ終わるタイミングで次の皿が出てくる、
絶妙のコース塩梅が複数のテーブルで同時進行していると、
それは厨房に指図をしているコンダクターが、すべてのテーブルを見ていて、
どのタイミングで次の料理に取り掛かるか、
次々厨房に的確な指示を出しているからで、
一見当たり前のようでこれは本当に難しいと思ったことがあります。
チーフのコックからすべてを委ねられる責任て、なかなかですから。
今でもこういうことに誇りを抱くスタッフのお店はあると思います。
そういう店だと、トングとか、フォークとスプーンを箸のように使って、
とりわけたりとかも皆うまい。あれは日本人が発明して、フランス人の、
接客スタッフに逆に伝授した技術と聞きましたが、本当かな。

ある店で、指示者が、重圧もあったのでしょうが、パワハラに走って、
業績不振業務縮小でほかの部署から回されてきた女性スタッフにつらくあたり、
次々に辞めさせた後で、自分のスクーターも切り裂かれて事故ったのを、
思い出します。厨房も若い女の子のバイトとかへの絡み方がひどくて、
ひどかった。チーフも逃げて、オーナー見つけて自分の店開いたかな。

話を戻すと、昔ごっこの初出は問題小説'74 Dec.この頃から「本番」が、
その意味で使われていたんだなあと分かりました。

最後の『愚者の街』はよく分かりません。初出オール讀物'74 Aug.

あとがきあり。

別途『新宿馬鹿物語』という本も文春から出てるのですが、
連作か分かりません。以上
(2018/1/13)