『ウィンター・ホリデー』読了

ウィンター・ホリデー

ウィンター・ホリデー

読んだのは単行本。あとがきナシ。学刈也。
ワーホリの続編。前作は映画化済。
装幀 石川絢士[the GARDEN]
初出「別冊文藝春秋」2008.Nov.〜2009.May. 2010.Mar.〜2011.Nov.
Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9B%E3%83%AA%E3%83%87%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%BA

サクライ
沖田の後輩の1人で『ウィンター・ホリデー』で結婚式に呼んだ相手。「棘のある桜」として知られた元レディース。沖田を結婚式に呼んだ当時、和菓子屋に勤務。進の捜索に、かつての不良仲間たちを呼び集めようと思い浮かべた際に沖田が最初に思い浮かべた相手。坂木が謝辞を述べた[16]解説の吉田伸子は『和菓子のアン』に登場した女性が『ウィンター・ホリデー』にも登場していると述べている[17]。

私は同一人物と信じて疑わなかったのですが、ウィキペディアの中の人は、
歯にものがはさまったような物言い。
とまれ、日本のウィキペディアサブカルが充実してるのが特徴、
と言われるだけのことはあります、ホント。
頁397もあるので、文庫は上下冊になるかなと思いましたが、なってないようで、
次作ホリデーイン(度重なる戒厳令で外国人立入禁止にしょっちゅうなる、
ラサに何故かある外資系ホテルチェーンとは無関係。京都は高野。ミスドそば)
がえっらい薄いので(200Pない)このシリーズどうしたのかと思いましたが、
"假日饭店"は番外編の短編集だとか。その次は"度假村"になる予定。うそです。

頁136
「お神酒の振る舞い酒でーす。どうぞー」
 参拝客にはもれなく配られているらしいそれを、俺は反射的に両手で押し頂いていた。しかもその直後、ボランティアらしき法被姿のおっさんに向かって深々と頭を下げる。
「ありがとうございます。いただきます」
 きゅっと一息で飲み干すと、辛口の日本酒が心地良く喉を灼いた。
「いやあお兄さん、型が決まってるねえ。もしかして神社系の人?」
 周りの視線を受けて、俺はぎくりと固まる。
(またやっちまった!)
 よもや元ホストとも言えず、とりあえず笑って人混みに紛れた。
「片膝つかないでよかったね」

226に、スーパーモテモテテクことSMMTという言葉がありますが、
MMK(もててもててこまる)以外に、そんな単語があるのかと思いました。
頁237のナナという子の台詞は、突然こういうの来るのがこの小説と思います。
引用しないつもりでしたが、あとで分からなくなってもいいと思わなかったので、
引用します。

頁237
「あとね。これはあたしだけかもしれないけど――」
 ナナは下を向いて、チョコの銀紙を丁寧に伸ばす。
「誰かから突然甘いものをもらったら、次のバレンタインまで生きてようって思う」

下も引用しないつもりでしたが、引用しておこうと思いました。

頁386
「俺の運命、お前にやるよ。好きに使え」
「え。だって、そんな」
「いいんだよ」

お正月あたりはこの親子、また作者のこじらせてる何かが滲み出てしまい、
う〜んと読んでて腕組みしたくなりましたが、この辺で救済されたと思いました。
冬休みというタイトルですが、ホワイトデーまで引っ張ります。
当然子どもは三学期なので学校に復活し、メールのやりとりなどになり、
おさんどんという感じではなくなります。読みながら、ふと、これ、
親父と男の子だからいいけど、親父と女の子だったら、やもめ親父に彼女いないと、
アレかなーとか、女親と女の子だったら、男親から女の子が逃げてくる理由が、
やっぱ昨今流行りの性的ななにかをにおわせないと話がオチないのかとか、
じゃあ女親と男の子だったら、それはなんだろう、マザコンはよせ、
獅子は子どもを千尋の谷底に突き落とすわけですから、女親は男の子を蹴り飛ばすか、
とか、いろいろシチュを考えてぼけーとしました。
親父と男の子だからシンプルだけど、(グレッグと新妻の連れ子じゃないし)
このこじらせ構造って、処女作の、
セイシュンのタマゴの、ヒッキーとその友人のそれと一緒なんですよね。
処女作の探偵役、私は読みながら、目付きが悪いというので、
それでたぶん身長もそんな高くないんだろうなということで、
爆笑問題太田光か、森山未來を自分なりにキャスティングしてました。
そう考えると、作者の覆面作家が、何の賞もとってないのに、
いきなり処女作単行本化して、成功した理由が、太田光代だからだろー、
ということで納得することが出来ます。作者は太田光代、次点、
森山未來の母親。…いや、私は森山良子が森山未來の母親だと思ってたので…
違うのか… 推理破綻。終了。以上

Yahoo!知恵袋 2006/11/2821:09:02
森山未来って森山良子の息子、すなわち森山直太郎の弟ですか?
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1210112372

【後報】
宅配便の盗難のはなしですが、私はむかし、関東一盗難が多い集配所で、
バイトしたことがあります。内陸の陸の孤島で、皆車通勤だった。
関東一保険の賠償額が多かった、だったかな? ベルトコンベアに、
平然と、ひもで括っただけの一升瓶二本にラベル貼った「荷物」が、
流れてくるとか、破損しない方がおかしい。破損はそういう、
どうしてこんな梱包の発送を受けちゃうの? イケイケすぎる、
というのが多かったですが、盗難は、冬だったので、スキー板が大半だった、
そうです。車通勤で、休憩時間誰もいなくなるとか、今とは時代が、
全然違うときの話です。貴重品のメール便の話も本編に出ますが、
この頃だと、発売前の試供品のファミコンソフトとかが、
狙われていたりしました。そういうものというかデータを、
電子空間でやりとりする、遥か以前のお話です。
前科を履歴書に書かなかった人がそこの担当になって、盗難急増、
私がやめた後で止まったら、私が濡れ衣着せられるんだろうな、
と思いましたが、誰もいなくなる休憩時間に、「俺が番しとくから」
とその人が毎回残っていて、それで(盗難が)続いてるんだから、
アホでも分かるだろう、アホか、と思ってやめたのを覚えています。
何故かその集配センターにはカメラがロクになかったです。
(2018/1/21)