『 ねじの回転 -心霊小説傑作選- 』(創元推理文庫) 読了

何かを読んでたおり、この小説の映画だかなんかの話があって、
それで読もうと思いました。それがなんだったかは、忘れました。
邦訳もいっぱいあるんですね。目移りします。どれを借りようか。
ねじの回転 (新潮文庫)

ねじの回転 (新潮文庫)

ねじの回転 (光文社古典新訳文庫)

ねじの回転 (光文社古典新訳文庫)

ねじの回転 (新潮文庫)

ねじの回転 (新潮文庫)

ねじの回転デイジー・ミラー (岩波文庫)

ねじの回転デイジー・ミラー (岩波文庫)

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%AD%E3%81%98%E3%81%AE%E5%9B%9E%E8%BB%A2

他の訳でもよかったのですが、なんとなくでふ先生の訳を借りました。
http://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488596019
版元公式の内容紹介は、スティーブン・キングが、これと、
シャーリィ・ジャクスンの「丘の屋敷」とホメたことになってますが、
私の借りた初版時点では、「丘の屋敷」は「たたり」でした。

でふ先生はターンノブダスクリウの訳として、ひとねじりひと絞り、
みたいなほうがコレクトと思ったみたいですが、そういう邦題にして、
別の小説を訳したのかと思ったらねじの回転じゃんか金返せ、
と言われたらイヤかなって、感じで従来どおりねじの回転にしますた、
とあとがきで書いています。上記シャーリィ小説を踏まえると、
うなづける話です。うんうん。今日も元気だ首筋軽〜い〜♪
後書きによると、坂本が第一稿を作り、南條推敲、
その後両者でキャッチボールフィードバック、但し文体は南條の趣味で統一、
との由でした。カバー=建石修志 解説=赤井敏夫

頁79ねじの回転 そうしたことを総括しなければなりませんでした。
頁162ねじの回転 土気色をした前任の家庭教師がその場所から、こちらの敗亡はいもうに乗じてのしかかってくるのを感じて
頁233幽霊貸家 わたしは神学の奥妙おうみょうにこころよく踏み入った。 
頁321オーエン・ウィングレイヴ けりをつけることになるかもしれない

でふ先生の趣味は、例えば、上のような単語かしらんと思いました。
ねじの回転では、「けり」はひらがなだったりします。
2005年の新訳ですので、ctrl+Fで単語検索してチカンしなかったのでしょう。

訳者あとがきは、漱石の随筆が著者実兄の訃報に触れたさい、
ヘンリーの小説文体にも書き及んでることから始め、
ボルヘスがこの小説の解釈について述べた個所を引き、
研究書はいっぱいある、有名なものは下記、としています。
"A Casebook of Henry James's The Turn of the Screw"Gerald Willen 編
まーでも、訳者も解説者もわたしも、大多数は家庭教師の性的抑圧、
性的フラストレーション説に軍配をあげそうなイキオイと思います。
作者の性と霊との玄妙な関係についての言及を挙げるなら、例えば他の小説の下記。

頁210「古衣裳の物語」
(前略)「誰の指輪なの?」逆上してそう叫び、妹を燈火あかりの方に引き寄せた。
 若い娘の薬指には小さな金の指輪が輝いていて、それにはごく小さなサファイヤが一つ嵌っていた。パーディタはもう秘密を胸にしまっておく必要はないと感じたが、それでも何くわぬ顔で打ち明けた方が賢明だと思った。「わたしのよ」と彼女は誇らしげに言った。
「誰にもらったの?」
 パーディタは口ごもった。「ロイドさんから」
「ロイドさんは気前が良いのね。だしぬけに下さるなんて」
「ちがうわ」パーディタは強く言った。「だしぬけなんかじゃないわ。一月前に、くれるといったのよ」
「一月もおねだりして、やっともらえたのね?」ロザリンドはそう言って、小さな装身具を見た。とくに美しい指輪とはいえなかったが、それでもこの州の宝石屋で買えるものとしては最高級品だった。「わたしだったら二月はうけとらないわ」
「指輪自体はどうでもいいのよ」パーディタはこたえた。「これが意味することの方が大事なの!」
「つまり、あなたが慎み深い娘じゃなかったということね」ロザリンドは叫んだ。「ねえ、お母さまはあなたの策略たくらみを知ってるの? お兄さまは?」
「お母さまは、お姉さまのいう“策略たくらみ”に賛成してくださったわ。ロイドさんがわたしに結婚を申し込んで、お母さまが認めたの。自分に申し込んでほしかったの? 大好きなお姉さま?」
 ロザリンドは激しい嫉妬と悲しみを満面に浮かべて、長いこと相手を見つめた。やがて蒼ざめた頬にまつげを落とし、顔をそむけた。パーディタもさすがに愉快な気はしなかったが、悪いのは姉の方なのだ。それでも、姉娘はすぐに自尊心を取り戻すと、またこちらをふり返った。「心からおめでとうを言います」そう言いながら、深く膝を曲げてお辞儀をした。「末永くお幸せに」
 パーディタは苦笑した。「そんな言い方はよして! 悪態をつかれた方がましだわ。ねえ、お姉さま――あの人だって、二人と結婚するわけにはいかなかったのよ」
「楽しいことがたくさんありますように」ロザリンドは機械的に繰り返しながら、もう一度鏡に向かって腰をおろした。「そしていつまでも長生きして、子供をたくさん授かりますように」
 その言葉の響きが、どこかパーディタの気に障った。

(以下略)


https://en.wikipedia.org/wiki/The_Turn_of_the_Screw

The Turn of the Screw and Other Ghost Stories (Penguin Classics)

The Turn of the Screw and Other Ghost Stories (Penguin Classics)

恩田陸の同名小説、唐十郎の戯曲、ジュネまであった。
ねじの回転 (上) FEBRUARY MOMENT (集英社文庫)

ねじの回転 (上) FEBRUARY MOMENT (集英社文庫)

ねじの回転―February moment (下) (集英社文庫)

ねじの回転―February moment (下) (集英社文庫)

https://www.amazon.co.jp/%E6%88%AF%E6%9B%B2-%E3%81%AD%E3%81%98%E3%81%AE%E5%9B%9E%E8%BB%A2-%E5%94%90-%E5%8D%81%E9%83%8E/dp/4383024769
ねじの回転 (JUNEコミックス)

ねじの回転 (JUNEコミックス)

以上