『王妃マルゴ 4』 LA REINE MARGOT (愛蔵版コミックス) 読了

王妃マルゴ 4 (愛蔵版コミックス)

王妃マルゴ 4 (愛蔵版コミックス)

ころがってたマンガ。一巻を読んでから、ぜんぜん後を追ってなかったですが、
四巻は面白かったです。二巻三巻のあいだに何があったんだろう。

2016-05-09『王妃マルゴ 1』(愛蔵版コミックス)読了
http://d.hatena.ne.jp/stantsiya_iriya/20160509/1462774464

カバーデザイン リトルエレファント

頁41で、「呪われろ〜〜〜フランス〜〜」と言ってる僧侶が、
あじましでおみたいな絵でよかったです。

頁107、みんな若いから血気盛んだなァという、のちのアンリ四世の台詞。
少子化の現代と異なり、ユグノー戦争のころ、サン・バルテルミの虐殺のころは、
人類もまた若かったのだなと思いました。子どももいっぱいいただろう。

頁125
マルゴ…ギーズ公? あなたのお顔…? まるで恋か なにかに 酔っておられるよう… そんな お顔は ベッドでも見たことがないわ
ギーズ――マルゴ姫 男は―― 愛でも恋でもないものに酔うのです

ギーズは童貞じゃありません。いわずもがなですが。
政治とか、大義に酔うのかなァ。

ようやっと、ユグノー戦争、サンバルテルミの虐殺の話と得心しました。
厨房のころ、キリスト教と仏教どっちがエラいか悩んで、
手塚治虫火の鳥とか、魔女狩りの残酷秘話とか読んで、
キリスト教って、自分だけが正しいと思ってる、
実際は白人だってこんなに野蛮なのに、と思って、キリスト教徒の子に、
ディベートふっかけたりした思い出は、けっこういろんな人にあると、
思います。あのころイントレランスとか見てればなー。

一巻に比べて、マルゴがひどいヒネてましたが、近親相姦とか、
婚姻前に別の男性(好きなオトコ)の子を身籠るも死産もしくは生き別れ、
みたいな経験をしてたら、そりゃやさぐれますわな。一生忘れない。
刻印が残る。頁12でイキナリ度肝を抜かれまして、一気に読んだ。

タチキリの関係なのか、各ページけっこうノンブルが振ってあって、
集英社の編集ステキ、と思いました。

本書を検索してますと、中世欧州ではけっこう近親相姦あった、
というレビューが出てきたりしますが、私も何かで読みました。
農村では家族全員同じベッドで寝るので、第二次性徴を迎えた後、
非常に間違いが起こりやすいとありました、だから欧州は、
赤ちゃんポストが暮らしに馴染んでいると。でも本書は貴族の話。

失くした子どもの一件も、当時の嬰児幼児死亡率の高さとか考えると、
そこまで悩んだり拘泥したり捉われたりしないのではないかと。

本当に、こんなに悲しいのに、なぜこのひとたちはドライに、
割り切っていられるのだろうと祖先を見て思いましたが、
嬰児の生存率がシビアだった時代を生きてきたからだろうと、
今なら想像することが出来ます。昔は出来ませんでした。

要するに本書のマルゴの感傷は、信長が、タイムスリップ高校生だった、
みたいな、すぐれてモダーン近代な感傷であるということです。
私はそう感じました。中世の常識からは湧き上がらない感情。
現代人の喜怒哀楽。それが中世の秋に現出した。ホイジンガー。

2,3,5,6巻も読んでみたいですが、そのへんに転がってるかどうか。

以上です。