- 作者: 関川夏央
- 出版社/メーカー: 双葉社
- 発売日: 1986/10
- メディア: 単行本
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- 作者: 関川夏央
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 1990/01/10
- メディア: 文庫
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かもめホテルでまず一服 (双葉文庫―POCHE FUTABA)
- 作者: 関川夏央
- 出版社/メーカー: 双葉社
- 発売日: 1997/01
- メディア: 文庫
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http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002600342-00
タイトル かもめホテルでまず一服
著者 関川夏央 著
シリーズ名 双葉文庫
出版地(国名コード) JP
出版地 東京
出版社 双葉社
出版年 1997
大きさ、容量等 260p ; 15cm
注記 「貧民夜想会」 (1986年刊) の改題
読んだのは単行本。これはハードカバーでした。
裏表紙の本文引用文句
一九八〇年最後の日にぼくはメキシコシティ行の飛行機にとび乗った。
飛行機にはとび乗れません。
編集協力 海老沢 博
装画 方緒 良
装幀 日下潤一
著者の処女作ということでいいのかと。
初出は漫画アクションのコラムが半分くらい、残りはいろいろ。スコラとか野生時代とか…
1949年生まれ、団塊の世代ど真ん中の著者が三十代前半、1980年代前半、邦人がドバッとパッケージツアー以外で海外何処にでもゆくようになる直前の一時期、海外から、どうせドメスの奴らには分かりっこないさとばかり、海外諸事情を編集者やカメラマンとの珍道中で仕立て上げて活字にしたその幾ばくかです。沢木耕太郎の後追いでもあり、北方謙三気取り(と女性から揶揄される?)でもあり、植草甚一『カトマンズでLSDを一服』の後追い…とは少し違い、ということは蔵前仁一のようにはならなかったということで。皆が海外に行けるようになると、先を見据えて海外旅行ルポは書かなくなる。(だから蔵前仁一にはならなかったと)別のことを書くようになる。しかし海峡を越えたホームランで、韓国と日本だけを比較して視野狭窄に陥る愚を犯さないためのツールとして、ベネズエラ野球出して三点以上の視座から多角的に検証しようとしていた、そのベネズエラが本書には出ます。そうやって著者は形成されたと。
頁45、ローマで雨の日曜日、傘を買おうとするも基督教圏なのでお店はどこも休みで、ローマ三越ならやってるだろうと電話して正面玄関からではなく脇の入口から入店して日本人観光客でごったがえすローマ三越でイタリア製アンブレラを買ってすぐ壊れる。安ホテルなんだから、フロントで気さくに傘くらい借りろよと今なら思うですが、当時はこれで海外諸事情コラムの升目をじゅうぶんに埋めることが出来た。
頁90、ポルトガルのリスボンであちらの映画人たちとオズ映画について語り合い、『米入り緑茶の味』がよかったと言われる。お茶漬けの味。
頁203、母親の思い出。こういうのを永遠の未婚者が書くと、なぜ最後の息子を貫くのか、の関連をウタガイの目でじーと見られることもあるでしょう。かなり振り回されたようです。
意外なほど買春ツアーとニアミスし、意外なほど、買春しない物好き個人旅行者の日本人は実はけっこう当時からいた、という事実に気づかされる、そんな本です。のちに著者が、小野田寛郎を発見した鈴木紀夫の『大放浪』をこきおろしたのは、こうした自身の遍歴もあってのことだったのだな、と思いました。おしまい