『シャッター通りの死にぞこない』読了

読んだのは2012年3月刊の単行本。小説推理'11年4月〜同年12月連載に加筆訂正。
装幀 大路浩実 装画 木村タカヒロ 写真 アマナイメージズ

なんのきっかけで読もうと思ったか忘れました。さくっと読もうと思ったですが、これも途中です。

闇金の社員が、同僚に金持ち逃げされて、追い込みかけた相手にも逃げられて、で、後始末と見せしめのため、保険金目当てで軟禁されて毎日酒を大量に飲まされ、ゆるやかな死を待つ生活に。ある日隙をついてみなをノシて闇金の金三千万持って逃走、田舎の商店街にたどりついてコンサルタントと称してもぐりこむ。毎夜酒を飲むと手の震えがぴたっと止まってしかしたいした量でもないのに必ず記憶をなくすまで飲むため、抱え込んだ三千万を誰かに盗まれ、犯人を見つけるまで商店街から脱出できない――

そんなストーリーで、でもなんかよく分からないですね。商店街ものは、東直巳の義八郎商店街は面白かったですが、これはまだよく分からない。義八郎も同じ双葉社でしたか。酒量とか、身体への影響とか、性欲に体はまだ対応出来るのかとか、いろいろ細かいところで分かりません。主人公がまったく意に介してないのが、そこだけありそうな話と思います。まだそういう時期なのか。

以下後報

【後報】
このお話のシャッター通りは、子鹿商店街というそうで、英語で"BAMBI ROAD"と書かれているそうです。それが表紙。関西弁話者がそこそこいますが、それ以外の方言は出ません。標準語と関西弁しか話者がいない街というのは逆に地方が特定しにくいです。

お話は後半、弱きを助け強きをくじくので暴対法以後組解散の無敵のヤクザの人が登場してから、面白くなります。続編があってもいいかな的な終わり方をするのですが、主人公は本書終了時点ではケンカ無敗のヤクザ(元ヤクザかな)の舎弟になったまま終わります。非現実的なマンガ的お笑い小説なので、一点ぶっとんだキャラがいたほうが風通しがよくなるのだなと思いました。

右翼のラーメン屋と在日コリアン焼肉屋犬猿の仲で、両方を行き来する猫にそれぞれ別の名前をつけています。マントーの『テートワールの犬』みたいだなと思い、テートワールの犬を読み返しましたら、まずインド側でヒンディー語でチャッパル・ジュン・ジュンという名前がつけられ、それをパーキスターン側ではパンジャービー語でサッパル・スン・スンと呼んでました。話を戻してシャッター通りの死にぞこないの主人公は、猫を、中華料理店満州の呼び方にも焼き肉店ソウルの呼び方に与せず、何故か「竹島」と呼んでいます。

大同生命国際文化基金>アジアの現代文芸の翻訳出版>パキスタン>黒いシャルワール
http://www.daido-life-fd.or.jp/business/publication/publish/pakistan/pakistan3.html

頁204
酒をひかえめにしてるから体調はいい。

主人公はこの程度。

頁264、フィリピンのニューハーフがムエタイの使い手という描写があります。ムエタイはタイの格闘技なので、フィリピーナ(フィリピーノ)が使い手ってどういうことかと思いましたが、実はフィリピンのほうが競技人口が多く、発祥の地タイとフィリピンの国際交流戦ではタイはただいま23連敗の記録更新中、というような根も葉もない大嘘を息吐くようにぺらぺら書いてあったらよかったのですが、なんも説明はありませんでした。
(2018/8/4)