『酔って言いたい夜もある』読了

作者: 角田光代
出版社/メーカー: 太田出版
発売日: 2005/08/23
メディア: 単行本（ソフトカバー）
購入: 1人クリック: 12回
この商品を含むブログ (69件) を見る

西瓜とビールの食べ合わせは知りません。みずもの同士です。
装　丁●藤田知子
装　画●ミヤマケイ
編　集●浅井愛
恋愛のその後、今度聞かせてください。と、作者にあとがきで書かれてしまう編集だったので記載しました。特に石田千との対談には積極的に介入してます。ファンなのか。

版元公式にはなんも書いてないので、紀伊國屋ウェブサイトから引用します。

https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784872339765
出版社内容情報
（略）自分の家まで送ってくれた男はもれなく部屋に上げてしまう律儀さ（？）（略）直木賞作家・角田光代の初の対談集。お相手は魚喃キリコ、栗田有起、石田千、長島有里枝の方々。角田光代のランチ写真日記、女同士で行きたい居酒屋情報も収録。
まえがき
第1章　魚喃キリコ
うちらのモロさとか弱さを感じることのできない男のなんとバカげたことよ　　
第2章　栗田有起
「私は自分を恋愛でいっぱいにしたいんだわ」というのがわかっちゃうとダメなんです
コラム　「中央線」ランチ写真日記
第3章　石田千
刑事じゃないけど、吐いたら、楽になるんですよ
第4章　長島有里枝
結婚なんか、中学の先生が朝練に出なきゃダメだっていう理由ぐらい大したことでもない
あとがき

どうでもいいですけど、紀伊國屋はこの後あとがき抜粋で、「空ばかり見ていた」を「空ばかりにていた」と打ち間違えています。手打ちなのか。

飲まないと口が滑らかにならないとかなんとかで、飲みながらの対談です。だから。

私が名前を知ってた人はなななんの人一人だけで、この人の部分が他を圧倒して量が多く、また、この人がいちばんバカでした（ほめことば）石田は、イラなら知ってました。ポルトガル語で「島」の意味でしたか。栗田さんという人は山岡の嫁さんで究極のメニューで、三十路の中央線沿線女性群像らしく、冬に自転車で待ち合わせ場所の中国海鮮料理に登場します。その後のコラム中央線沿線ランチ日記では、富士そばが登場するのが意外と編集にいわさしめており、だいたい八百円から千円越えで毎食やってます。十年以上たったデフレ脱却の現在では平均いくらくらいなんだろうと。石田千という人は嵐山光三郎のコンセントを抜いていた人で、頁165、ボーツー先生は恩人で、頭があがらないそうです。そこで何故かかくたさんは池澤夏樹のサイン会に行った話をする。沖縄に愛人。さいごの人は写真家で、スケボーを極めようと思った過去があるとか。下戸。

頁27　なななん
魚喃　（略）私もあったよ、「夜遅くまで起きてられてると俺が寝れないんだけど」って。目が暗むようなちっちゃい電気でこつこつ漫画描いて、筆がカチャリとでも落ちようものなら、「ああっ明日怒られる」とか思って。ありえないよ、ユニットバスとかトイレの便座で漫画のネーム描いたり。向こうは私があげたお金で女とホテル行ってたんだよ。最悪でしょう？　呆れましたよ。
角田　今でも嫌いですか？
魚喃　くだらなすぎてどうでもいい。友達が偶然ヤツに遭ったら子ども連れてたらしい。それ聞いたときもなんとも思わなくて、そんな自分にびっくりした。別れたときは、共通の友達みんなに「私、実は知ってたんだけど」って打ち明けられた。私の金で浮気してたって。それ聞いたときは、生まれてこのかたないぐらい腹が立って、精神科行きました、怒りすぎて。相手はもうどこにいるかわからないし。多大な金を貸してたんだけど、まあ返しても返せないから慰謝料というか、誠意として「三〇万だけ返す」って言われたのね。本当はそれで足りるかよ！　って感じなんだけどね（笑）。それで「月々一万円ずつ振り込む」って言われたの。別れてから二ヵ月、三ヵ月は、「今日振り込んだから」って電話が来てて、でも半年経ったあたりで、他の用で通帳記入に行ったらもう全然振り込まれてなかったの。思い出したようにポコって振込人にヤツの名前が出てきて、「三〇〇〇円」って書いてあるわけ（笑）。え！？　これ税金？　みたいな。それ見てドカーンとなってヤツのところに電話したら、「現在この電話番号は使われておりません」だよ。
角田　そのひと今なにしてるの？
魚喃　会社勤めして、ちゃんと家庭支えてるみたいよ。まあ、みんな大人になるからね。それで、鼻が利くようになった。あと、最初はその男が悪いと思ってたんだけど、だんだん「その男を見抜けなかった私が悪い」と思い始めたの。もうつきあったひとの悪口は言わないことにした。自分が選んだんだからね。（後略）

他人は変えられない。自分は変えられる。の好例かと。そう書くまで長いですが。

頁30　なななん
角田　私もそう（笑）、ヤサオが好きだった。
魚喃　ねえ、そんなのうまくいくわけないじゃんね。ヤサオのどこにやられるの？
角田　まずは好みの顔であるところ。
魚喃　わかるわぁ。見た目がいいといいよね。
角田　それが第一。あとカラオケがうまいひと。たとえば高校や大学でバンドやってたとか、音楽を知ってる人が好きだった。
魚喃　わっかる！　デスクワークのひとって音楽に詳しいひとにあこがれません？　不思議なんだけど、私もミュージシャンに弱いのよ。
角田　そしてヤサオはミュージシャン系に多い。
魚喃　しかもギタリスト、ボーカル。わかってんだけどね（笑）。惚れたミュージシャンのパートはなんでした？
角田　ギターかベース。ボーカルはいない。
魚喃　私はドラムとギターに弱いです。ドラム叩いてたり、ベースもそうだけど、重低音でなんかやってるひとってセックスしてるときと同じ顔してるんだよね。特にドラムはそうなんだけど、「うわー、私の上でこんなだったらどうしよう？」みたいな（笑）。「うお、セクシー」って思っちゃう。あとヤサオってフェロモン出すの上手だから。
角田　魚喃さんのヤサオの定義はある？
魚喃　まずかっこいいこと。服のセンスがいいこと。で、話してるだけで、内容とかどうでもいいぐらい物腰がセクシー。とにかくすべてをセックスに関連づけてしまいたくなる。
角田　そして、そういう匂やかなひとがバンドマンには多いんですよね。
魚喃　そして作家どもはズルズルハマって行くと。そういうひととつきあってるときは「これあたしの男」みたいな感じで、「あのギター、私買ったんだぁ」（タバコくゆらす）みたいな。自分の過去をほんと殴りたい（笑）（以下略）

いい話だなあ。なんで今ごろカボチャとマヨネーズ映画化して、しかも厚木でかかってたのか分かりません。見ませんでしたが。関係ない話。

頁35　なななん
魚喃　（前略）私ね、「あのひとの妻」とかそういうのやったことないからあこがれててさ。でも世の中でうまくやってるバカ女どもいるじゃん。
角田　いますね。
魚喃　すごい腹が立つの。他力本願じゃん、そんなの。「おまえの男はおまえの料理で生きてるかもしれないけど、おまえの男の実績はおまえの実績じゃないだろ」って。なに、こういうの、電気アンマ？　したくなるもん。嫌じゃないですか？
角田　私もね、そういう女のひとは苦手。くっついている相手自体が自分の自己実現になってるひと。たとえば、自分がもし一人だったらクッキーとか焼かないんだろうに、妻としてくっついてきて、夫の仕事相手になんか凝ったラッピングのクッキーなんか渡したりするとムッとする。
魚喃　また角田さん、かわいらしい顔で、ずいぶん具体的な話を（笑）。あとライブの打ち上げて「うちの旦那がいつもどうも」みたいなひとね。お酌に回ってみたり。「私はキリコです」って言ったときに「私は何々の彼女です」、終わり、みたいな。
角田　職業かって（笑）。

こんだけ本人も面白いのに作品がふいんきまとってるのも珍しいかと。私はほとんど作品読んでませんが。

頁82、栗田編で、ハウス名作劇場がその前カルピス名作劇場だったとあり、私はずっとハウスだと思ってたのですが、それが模造記憶と分かりました。

頁98　栗田（貫一でなく）
栗田　（前略）Ｏ型は狩猟民族がルーツなんですって。Ａ型が農耕民族、Ｂ型は遊牧民族。角田さん、そういうことは感じますか？
角田　私はダイエットの特集番組で見たんですけど、Ｏ型は肉を食べれば太らないって。私肉がすっごい好きなので、ああ、やっぱり！　って。身体に合うんですって。
栗田　私もね、ヨーグルトが大好きで毎日食べるんですよ。Ｂ型にはヨーグルトが合うらしくて、だからちょっと納得した。私、肉を食べたいと思うのは一年に二回ぐらいなんです。やっぱり肉も食わにゃいかんだろうっていうことでときどき食べるんですけど、でも週一回とか。
角田　信じられない。

血液型毎に種の起源が異なるとか初めて聞きました。私は肉が好きですが、アルゼンチン人のように、肉が主食で、毎食五百グラムは食べるような人生を送ってみたい。あと、牛の横隔膜と内臓とか、鶏皮とか、ようするに脂身ばっか食べてると、肉食主体でも、太ります。本当です。

頁167、石田千とちひろ、角田サンは生活のリズムをかなり細かくきめてて、飲みも週三回と決めてるんだそうです。

頁161、石田、湯島はお酒が濃くて、カクテルなんかもかなり濃いんだとか。それは一軒の店がそうなのでなく、町全体が濃いんだとか。逆に薄い街とかあるんでしょうか。吞んではいけない、みたいな。

頁169　石田ひかる
石田　（前略）角田さんは、果物の入ったサラダは好きですか？
角田　嫌いです。
石田　ね。そういうものだと思うんですよ。私はキャベツの千切りとはっさくをあえたサラダが好きで、作るんです。自分が食べたいから。外で食べたほうがずっとおいしいけど、変なものを食べるために作ってる。

何だこの会話と思いました。

頁186、石田、『岸辺のアルバム』ってドラマの話になり、ジャニス・イアンが音楽で、多摩川に家が流されるとか、アルバムを取りに行く場面がよかったとか、そういう話になります。それで、今、つべの動画見たら、日本語で、近年の大雨や河川の氾濫が關係したコメントが陸続とついていました。

最後の長島さんだけメモの付箋つけてないので、引用なしです。十七歳で求婚してきて、短大生だった長島さんが受け入れた、現スタントマンの宿六のはなしなど面白かったですが、カメラマンというゲージツ家なので、作品をみてみようと思いました。この人だけ飲まなかったし。