『旅の友だちパングヤオ』(こみね創作児童文学・26)小学校上級から 読了

しかたしんという作家の本を『国境』以外も読んでみようかと思って借りた本です。『むくげとモーゼル』も借りてみようかと思います。とりあえずまずこれ。
「朋友」の広東語読みがパンヤオであることは電波少年を見ていた人はみな知っていると思います。それのアルファベット表記をカタカナにしたので、「グ」が入ったのか。旅のグ。

旅の友だち(パングヤオ) (こみね創作児童文学)

旅の友だち(パングヤオ) (こみね創作児童文学)

Amazon商品の説明 内容(「BOOK」データベースより)
さと子はパパに連れられて、マカオにやって来た。ポルトガルの詩人カモンエスが『大陸ここに尽きて海はじまる』とうたった街、マカオ。さと子は見るもの、聞くこと驚くばかり。超能力少女キャサリンとであったり、イボガエルにおそわれたり…。小学校上級から。

国会図書館サーチ
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002085403-00
要約・抄録
東国商事のマカオ支店長になったパパに連れられて、マカオに来た聰子は、事務員の娘さんで中学一年のキャサリンに案内してもらうことになった。愉快な旅の話。 (日本図書館協会)

版元
https://www.komineshoten.co.jp/
⇒「こみね創作児童文学」は見つかりませんでした。「こみね新創作児童文学」もあるらしいのですが。

上記イボガエルは、カジノに化粧して潜入した際に、若い娼婦と間違えて?寄ってきた悪いオッサンです。表紙左下の人。この本は1991年の本なので、「オジン」という言い方が氾濫しています。いやーオジン、使わなくなりました。

頁8
 パパが私のために取ってくれた、ポサダ・デ・サンチャゴというホテルなんか、大きな岩をくりぬいた山の上に建てられたまるでお城のようなホテルだ。
(中略)
 このマカオはもともと中国の一部だったのを、ポルトガルが無理やり借りて、大きな港町をつくりあげたのだそうだ。
 私のいるホテルだって、昔はポルトガルの要塞だったそうで石をくりぬいた秘密の階段みたいなものがあちらこちらにある。
 私の泊まっている部屋は二間続きで、ぶ厚いじゅうたんを敷きつめ、大きなしゃれた出窓がある。天井からは細かい模様をきざみこんだ黄色いガラスのシャンデリアが下がり、スイッチを入れると部屋中を、まるで夢のようにやわらかい色に染めあげる。
 テーブルは黒檀と大理石でできていて、みごとな貝細工の蘭の花が浮きでている。
 ミナコが見たらくやしがって発狂するのではないかと思うくらい豪華な部屋だ。
「パパ、こんなすごい部屋とって大丈夫?」
 私が小さい声でそう言って聞くと、「いいんだよ。いま円が強いからこれでも日本のお金にしたら、たいしたことないのさ」と言って胸をたたいて見せた。

以下後報
【後報】
画家/西村郁雄 表紙右のキャラのパーカにエルのないevisがあり、それはエルと分かりましたが、表紙主人公のかたひもにiorucciとあるのは分からず、検索して、頭文字はエフだろうと推測しました。
https://www.clashmusic.com/fashion/fiorucci-summer-2017-campaign
仏像があるのは盗品売買、トランプは21、ダイスは大小、いずれも主人公は家庭内で遊んでるので、ルール知ってます。

娘のマカオ旅行に際して、駐在員の父親がローカルの知りあいにガイドを頼んだのですが、その人が体調不良で知り合いの知りあいの知りあいの、キャサリンというイングリッシュネームの、何故か広東語でなく北京語のワンヤオリンという名前の女の子が出てきます。ワンヤオリンは超能力者のギャンブラーで、チャウ・シンチーのゴッドギャンブラーかと思いました。(チャウシンチーのゴッドギャンブラー一作目は、大陸から香港に来た田舎者が超能力を駆使して中国(中華民國)代表として青天白日満地紅旗をテーブルわきにおいて世界選手権で香港代表に勝って優勝する話)チャウシンチーのゴッドギャンブラーも日本が支配する上海にタイムスリップして川島芳子とかと戦いますが、マカオなのに北京語の名前のキャサリンは、父親が、あまり日本人とつきあうなとヒソヒソ話したりして、その居住区は、なんかそういうエリアなので、国民党残党が住んでいる地域なのかと思いました。頁130、ヤットプウヤンと書いて日本人としてますが、ヤップンヤンじゃなかろうかと思います。広東語。

で、チェンミンという男の子も登場しますが、ボートピープルのようで、けれど何処から来たどこの子かは明らかにされません。なんだそれ。

主人公は「勉強しなくても頭がいい子」で、キャサリンも、その主人公をして、(ダチになってもいい)合格レベルだそうで、どういう子が児童文学読んでくれて、どういう書き方すればその子たちのプライドがくすぐられるのか、作者も経験と冒険の連続なのではと思いました。

主人公はキャサリンと外に出るやいなやポシェットの財布スラれます。中身はマカオのサラリーマン一ヶ月の収入五万エソ。とりかえすため化粧してカジノへ。サンパンというか、ジャンクも出ますが、エンジンはヤマハです。

キャサリンは熊本弁を話します。熊本出身と仙台出身の二人の日本人老婆と知り合いで、前者から日本語習ったとのことで、その二人はなぜマカオにいるのかと思いました。前者は、天草とすると、からゆきさんかもと思いましたが、語られません。長くなるのでバッサリ切ったのか、ほかの事情で斬ったのか。仙台は意味が分かりません。秋田に空目って、ハナオカの人が秋田美人連れて帰ったのかと憶測してましたが、よく読んだら仙台だった。なんだろう仙台。

二人称がネエイ、一人称がゴーとかグオと書いていて、前者はネイホウ/レイホウのネイ、後者は鼻濁音なので、ンゴー唔のほうがいいと思いました。ホウ好もホウイと書いてる気瓦斯。そして、ビンドーは一回も出ません。ムオコイはンゴーイかな。

チャウシンチーのゴッドギャンブラー連想したと書きましたが、なんかそういう下敷きがあったとしても驚きません。児童文学は難しいなと。以上
(2018/9/3)