『 not six 』 (Switch library) 読了というか鑑賞

not six (Switch library)

not six (Switch library)

角田光代の対談集『酔って言いたい夜もある』に登場する写真家の人が、年下の押しかけ宿六(写真家が短大生?のときに17歳で押しかけて来たとか)を撮った写真集。近隣の図書館に、エッセー以外のこの人の本(写真集)はこれしかなかったのでこれを読みました。

2018-08-30『酔って言いたい夜もある』読了
http://d.hatena.ne.jp/stantsiya_iriya/20180830/1535576262(これ、はてなブログに移行したら自動的にはてなブログのURLにならないだろうか。ならないだろう)
長島有里枝 - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%95%B7%E5%B3%B6%E6%9C%89%E9%87%8C%E6%9E%9D

デザイン 山下リサ
ドローイング KYOTARO
翻訳 IVAN
編集 川口美保

夫愛に溢れた写真集、と言ってしまうと言いすぎでしょうか。ノットセ…シックスというだけあって、象さんとか、父さんこのイモなんのイモとか、ちぢれっ毛とか、ホテルとか、大和糊をうすめて腹の上にぶちまけてみるとか、そういう写真がまあまああります。サラダ油を全身に塗るとか、金粉とか、タトゥーとかテンガはありません。2004年の写真集だからTENGAまだないか。ローターもありません。
宿六さんは無職ニートからスタントマンになるのかな? アメリカでゲットしたとおぼしき格闘技の賞状だか証明書だかを持った写真があります。髪形もブルース・リーを意識したのか、ざっくりとしたざんぎり頭で、特に主張のないTシャツ姿が多いです。ジャッキー・チェンのポスターの前の写真と、ブルース・リーのロゴの前の写真がある。海岸でバク宙する写真があります。
車と写ってるコートの写真があり、コルベットだかマスタングだか分からないので人に聞いたらカマロとのことでした。スモウナンバーがそのまま写っていて、別にナンバーメモって陸運局に行っても車検証記載の個人情報を教えてもらえるわけではありませんが、なんとなく私は自分で撮った街の写真に写りこんだ車のナンバーは、塗りつぶしてウェブにあげているので、ひょいと違和感を持ちました。
象さんなんですよね。好きなのかな。間違っても男が考えるエロ漫画の、あひぃコレ大好きぃらめぇみたいなノリではないです。阿部定ってやっぱ必然があって切りとったんだなとふと思います、全然関係ありませんが。舌と脇の下とふぐr…とちくびの写真もありますが、象さんが多いです。ノットシックス。セ。コーモンはありません。
リーゼントの髪形とか、おパンクとか、金髪とか、も、たまにあります。お洒落。Tシャツ以外だと、新宿のしょんべん横丁の今チケットショップが並んでるあたりでむかし売ってたようなカラースーツに黒シャツネクタイとか、なが〜いコートとか、シンプルな革ジャンです。この革ジャンは趣味がいい。リーゼントの写真は、三行位しかディスプレイのないガラケーを腰にさしていて、そこがイカスです。
赤ちゃんが生まれて赤ちゃんと一緒に写る写真のあたりから、年上の女にいそいそくっついて回るしかない小僧のイメージがうすれ、たぶん彼的には、それまで鼻もひっかけなかったションベンくさい同世代や年下が、女に見えてきて(そら自分も彼女たちも齢とりますからね)、しかも自分が彼女らに意識されるときもあると分かってきて、モテ、という、この後何が起こるか分かるわ、気のせいだけど、という顔になっていきます。ファインダーごしに作者は、その内乱の予感をどこまで感じ得ていたか。
警備員姿とか、ルノアールの制服でルノアールの前で撮った写真とかあります。いいですね素直で。とっぷくで三連シートの単車の前で、とか雀荘とかフリルの女装はありません。フリルでない女装(ボディコンとかブレザーとか)もありません。呉服もチョゴリもチーパオもサリーもアオザイもありません。格闘技の写真は道着です。旭川の川村アイヌ記念館で、夫婦二人でアイヌの民族衣装に身を包んだ写真はあります。

「ドローイング」の人がいるのは、ときどき、見開きで"BASTARD"とか、一ページまるまる使って"You are sweet as sugar Too much sugar is bad"とか、手書きのポップが入ってるからだと思います。

ポップは英文ばかりですが、ときどき入る文章は日英両文で、それで「翻訳」の人がいるのだと分かります。奥付も日英両文です。

彼を観察してる、それでもわからないことだらけ。
誰かと生きてくって不安でしょうがない、時々そう思う。
とにかくズームレンスみたいな関係はダメ。まずは90mmの望遠で恋人を実際以上にわかった気になって、次は28mmの広角で二人の問題をまだまだ遠くにあるように見せるなんていうごまかし方は、最低。たまにはしちゃうけど。
→ I'm observing him. Closely. But I still can't understand a thing. Sometimes I think there's no way around the uneasiness of sharing a life with someone. In a relationship, the zoom-lens type of connection is completely wrong with a telephoto-lens, on the other hand, he only appears close. Then comes a wide-angle lens, which makes the problems seem really distant. And that's the worst form of self-deception. But once in a while it simply happens.

こんな感じです。以上