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見損ねたままになってる「グレイテスト・ショーマン」また都内で上映するのか、爆音かなぁなんて思いながら詳細見ると、この映画と二本立てだったという…Yahoo!映画のコメント欄には、「こんな映画観たくなかった」など、なら感想書くな的なコメントが散見されましたが、Wikipediaによると、キンザザ程ではなくても、それなりにカルト映画としてリバイバル上映されてるそうで、じゃあ見ようか、と見ました。
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グレイテスト・ショーマンは、目黒でも飯田橋でも(思いつきませんがほかでも)二本立て上映されているので、相当対抗にひねってきたなと思いました。これも片桐はいりの謀略でしょうか。黛敏郎や谷川俊太郎の名前がテロップに見え、ラッキー池田は見えませんでした。日本のダンスはまだこの時期発展途上だった。アメションとでもいうのか、何かと「アメリカでは~♪」という歌をセッソンいずみが歌うのですが、合理化と男女平等はともかく、それ以外は…リズムが衝ryだった、とか、だいぶ関係も変ryしたようだとか歌うわけでなし。
せっかく中尾みえ起用したのに、シャンソンのひとつの見せ場もないのは残念。「いなか」賛歌ですが、この場合の田舎ってどこやねんと。高島忠夫、とてもよかった。茫洋とした、真面目そうに見える社員役ですが、飛行機が好きなので、社長のお見送り羽田集合に間に合わなくても、帰社せず半日ずっと羽田飛行機見てるとか、笑いました。でも旅行会社の社員に必要な脂質資質として、英会話や社会常識は身につけております。この高島忠夫が「タクラマカン~、こころのふるさと~」みたいな歌に執着していて、相当当時の日本人には砂漠や遊牧民族への憧れが、戦前から断絶せずあったのだなと。イスカンダルはアレキサンダー。これと雪村いずみの「アメリカでは~」がクロスする場面は秀逸。まー男の幼稚なロマンが勝っちまうんですが…
<出世の三ヶ条>
①社長の娘と結婚すべし
②労働組合の幹部になるべし
③社長の弱みを握るべし
以上、フランキー堺が提唱し実践する法則ですが、でも②に絡んだ動きは描かれてませんでした。昔、ゴスンが会長になる前のあそこは、赤い貴族がいて、追浜からヨット乗ってただの乗ってないだの、そういう場面はありません。この映画旅行会社の映画だし。①も③も、実力不相応なことしても砂上の楼閣ということで。③とか、社長のパソウコンウイルスチェックしてきれいにウイルス削除した時に、社長がロシアからバイアグラ通販で買ってて、そこから感染したのが分かったので、それで社長の弱み握ったと思ったら、そんなもの弱みでもなんでもないとか、世の中いろいろです。身の丈にあった人生を。
フランキーは会社の裏道(丸の内?)に毎日ポンコツ軽を路駐して故障中の赤旗ぶら下げて出社するくらい要領のいい人物として描かれます。この映画の頃もTOKYO1964前夜、外国人観光客の落とす外貨が財源として大切だった時代のように見えます。羽田に到着する米機はパンナム。麻布に社長が住まわせている浜美枝は台湾人と最初セリフにありますが、別にそういう描写はありません。合理化は、併映のグレイテスト・ショーマンにも共通する場面ですが、こちらは、お掃除オバチャンがダストボックスに放り込まれるので、ヒデーと思いました。憂歌団におこられる。清掃業者の出入りって、21世紀でも普通に残っていて、むしろ、総務や社員の当番制掃除のが減ってる気がします。そして業務用ルンバも導入の動きなし。ごみパック交換が面倒なのか。
旅行会社だけあって、ブロークンでも通じりゃいい的な英語(フランキー)叮嚀な英語(雪村や高島)も出て、わが社のシェイム、と誰かが言うと、「誇り」と即座に誤訳され、幸村が「恥!!!!!!」とかぶせる場面がおかしかったです。日本ズレしたガイジンを花魁ショーに案内するが、そんなものより銀座ホステスの枕営業が勝つという当たり前の展開もあります。そのガイジンに、名刺の裏側と言う意味で、「バックサイド」というのですが、これが通じず、ガイジン役の日本人俳優さんがしきりに頭をひねる演技をします。なぜ通じないのか分かりませんでした。
日本の戦時中の国威高揚戦争映画を分析したアメリカ人が、なぜこんな厭戦気分を盛り上げる映画ばかり作って盛り上がれるのか分からん、と言ったと、菊と刀だかなんかで読みましたが、この映画も、かなりそんな展開になってしまうのが残念な映画です。日本人が底抜けにハッピーになるには、ゆとり世代の構造改革を待たねばならなかった。うそ。以上