『 諸星大二郎劇場 第2集 オリオンラジオの夜 』Morohoshi Daijiro Theater Vol.2 (ビッグコミックススペシャル)読了

 連載時に一応ぜんぶ読んでいたので、マンガ部分は読み返して記憶を蘇らせ、表紙や帯、巻末の外題解題は新たに読みました。マニアですと、初出と単行本の違い(著者はけっこうある)を目を皿のようにして各ページ丹念に見比べるのですが、私は連載の切り抜きや自炊はしていないので、誰かがそういう仕事をしてレポートしてくれたらいいなあと待つだけです。

ビッグコミック2017年6月10月12月2018年3月6月10月増刊号のオリオンラジオシリーズと、2018年8月12月増刊号の映画館ものを収録。装幀:関善之 for VOLARE inc. 連載担当:夏目毅 単行本編集責任:西村直純 単行本編集:夏目毅、山田博昌[DAN]

 

鬼才が描く、珠玉の短編。オール新作

晴れた冬の夜にしか聞くことのできない「オリオンラジオ」―――

誰が発信しているのか、どこから流れてくるのか。真相を知る者は、誰もいない。そして、その不思議なラジオを聴いた者は皆、自然と不思議に誘われ―――

空に星が瞬く夜、あなたはきっと、まだ見ぬ不思議に遭遇する。

帯はビッグコミック50周年記念プレゼント応募券つき。

外題解題はさすがというか、本シリーズ発想の原点が、いつも著者に歌集を送ってくれる歌人の現代短歌であると、いきなり背負い投げをしてくれます。

遊星ハグルマ装置

遊星ハグルマ装置

 

 最近は夏井いつきが季語のある俳句を頑張って喧伝してるので、一時期ラジオでケータイ短歌などよくやっていたのが、やや廃れてるかな?結局同工異曲の罠というか、鮮度、賞味期限が切れると捨てられる大量消費時代のコンテンツのひとつとして私たちの前を通り過ぎてしまったな、と思っていた短歌が、このシリーズの発想の原点だったとは。しかも2011年出版を六年あたためるという気の長さ。サラリーマン川柳が大人気コンテンツとして衰えを知らぬジャンルであるなら、現代短歌をこうやって伏竜として抱き続ける作家もいるという。この人らしいと思いました。

遊星歯車というのは、プラネタリー・ギアという英名の和訳だそうで、詩人の言葉遊びでなく本当にある機構だとのことで、検索して初めてそれを知りました。

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/7/74/Planeetwielmechanisme.gif

遊星歯車機構 - Wikipedia

kotobank.jp

タミヤ テクニクラフトシリーズ No.1 遊星ギヤーボックスセット 72001

タミヤ テクニクラフトシリーズ No.1 遊星ギヤーボックスセット 72001

 

 あとは歌詞の使用許諾の温度差など。編集の仕事ですね。今はこういうのも外注なんでしょうか。西暦2525なんて歌、何故著者は知ってるんだろう、音大出の息子さんの影が…とか思いましたが、まったくそんなことは書いてありませんでした。サイモン&ガーファンクルの壁は厚かったそうですが、こないだエドガー・ライトの映画ベイビー・ドライバーで同名曲をエンディングでかけたのはいいのかと。アル中映画撮ってた英国人監督作品はよくてクールジャパンの異才アーティストがダメとはおかしいじゃないかポールさいもんふみ、サイモンルボン、アーとガー、ファンケル、とは思いませんでした。エドガー・ライト妖怪ハンター撮らせて仇をとりましょう。塚本ジュリー、阿部ちゃんと来て、次はエドガー・ライト妖怪ハンターで手を打てばいい。そういう妄想で終わります。以上