「東京日和」"Tokyo-Biyori" 劇場鑑賞(犬童一心監督企画【東京へようこそ!】Bプログラム)

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犬童一心監督企画 東京へようこそ MEGURO CINEMA

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新入生、新社員、初めての東京暮らしに役立つ映画祭。と、意気込み作品を選んでみたら 東京で置いてきぼりを食ったり、居場所がなくなったりする映画ばかりになりました。 変化と喪失こそが東京なり。 犬童一心

犬童一心 - Wikipedia

さだまさし眉山や、ジョゼと虎と魚たち大島弓子グーグーだって猫であるメゾン・ド・ヒミコ(すべて未見)の監督さんが、目黒シネマで毎年市川準監督特集を企画してるそうで、昨年何やったかウィキペディアに書いてないのですが(本業が忙しくてお休み?)今年は市川準プラス相米慎二のAプログラムに竹中直人ソフィア・コッポラのBプログラムをぶつけてくるという…シャッフルはしないのかという…東京上空いらせいませとロスト'ントランスレーションは見たかったのですが、この映画はアウトオブ眼中で、抱き合わせなのでしょうことなしに見ましたら、これが法外によかった。

私はこの映画かなり誤解してまして、小津安二郎東京物語へのオマージュ映画を竹中直人が撮ったと思い込んでました。ミポリンが出てるとか、アラーキーの実話?奥さんとの話を映画にしたとか、そういうの、すっぽり記憶から抜けてました。レンタルビデオ店で手に取って紹介文読んでるはずなんですが、借りてもいないし覚えてもいない。竹中直人監督作品は「無能の人」しか見ておらず、自殺した漫画家のほうの山田花子がそれには出ていたので、この作品にも出てるんだろうか、撮影前に逝去だったのだろうかとかそんなことばかり心配していました。無能の人とこの映画の共通点は、オナラのシーンくらいです。アラーキーだと知ってたら、私はアラーキーの作品はひとつも見ておらず、ゲリラ撮影現場に出っくわしたことが一度あるきりですが、デスマスクだか死に顔写真をめぐる篠山紀信との確執論争や、最近の#metooは知ってましたので、そっちで色眼鏡かけてこの映画観ていたと思います。

 写真家・荒木経惟の写真と陽子夫人のエッセーが綴られた「東京日和」からイメージを膨らませた物語。中山美穂竹中直人が写真家とその妻に扮し、東京の風景の中で何気ない日常を演じるラブストーリー。

 前にも書きましたが、知人が「波の数だけ抱きしめて」ロケに出っくわしてナマミポリン見た時、あまりにオーラがないので一般人と見分けがつかなかったそうで、なので私はこの映画で、ミポリンのオーラが絶賛大放出中で、彼女の水玉模様のワンピースひとつでもうデイズドアンドコンフューズドでしたので、この映画はホイチョイ映画の前に作られたに違いないと思ったですが、六年後制作でした。

竹中直人監督作品
東京日和 Tokyo-Biyori
見ないでほしいのよ、
私のこと――

 いやー天下のミポリンにメンヘラ…演じさせるとは、フジテレビこわいもんなし時代ですね。すでにして世の中は就職超氷河期だったはずですが、よくこんな、今見ると豪華絢爛たるキャストをちりばめたものだと。皇居外苑?でえんえん日比谷図書館から借りてきた本読んで時間潰してるようなザギンのニート浅野忠信、出版社狙いで神保町のさぼうるの電話を事務所代わりに履歴書に書いて使うような太い女子大生に山崎春のパン祭りの松たか子(いくら携帯のない時代だからといって、喫茶店の電話を就活の連絡用に使うものかという…こういう時、私は自分が田舎者だと思う。洗練された都会人なら使うだろうなあと妄想に入るという)銀座のバーのママに中島みうき使っておきながら主題歌は大貫妙子に依頼するというバカすぎるお金の無駄遣い。しかもそこにしりあがり寿が出演してるという。最初、三浦友和がなんで松たか子と知り合いなのかとクエスチョンマークでした。別人だったのか。郵便配達の周防正行とかウィキペディア見ないと分かりません。ウィキペディア見ても、森田芳光の「阿波野」って誰だったかピンと来ない。斉天大聖塚本晋也ウィキペディアの「前田」ピンときませんでしたが、たぶん電車内でアラーキーに隠し撮りされる人(劇団俳優役)なんだろうなとアタリをつけてます。あたってるといいな。

東京日和 (映画) - Wikipedia

#metooもそうなんですが、メンヘラ…に関しても、莫大な当事者の犠牲の上に、だいぶナレッジが構築されてきたのが21世紀の現代だと思いますので、ミポリンの演技見て、竹中直人が、眼つきが鋭くなったり暴力振るう時だけアラーキーで、それ以外竹中直人にしか見えないので(髪形と服装はどちらでも通る)いっそアラーキー役を別人にしないと説得力でないというか、依存関係にならなければながく連れ添わない、すぐ別れると私は思っているので、そういう、妻をそこにおいやるオトコが、善人竹中直人ではいささか難しかったのではと思いました。ミポリンが近所の小学生男子に女装を強要する場面でひとりオバサンが席を立った。が、館内がくさかったのもあるかもしれません。下水の配管がおかしい気がする。外に出ても一瞬くさかったので。

処方箋薬の流用とかあやぶみながら観まして、完全スルーでしたので、描いとけよと思いましたが、それは現在だから言えるのかなあ。交通事故に遭う場面だけ、まるっきりミポリンにオーラがなくて、周囲の群集に同化してて、こわかったです。それで死ぬのかと思った。カンボジアミポリン私は見たことないのですが、クーロン黒沢とかの本読めば出て来ると思います。プノンペンバックパッカー向けのカフェやってるベトナム人女性が中山美穂にクリソツだったという話。ドッペルゲンガーではなく。

竹中直人ミポリンも「ひ」が「し」になる江戸っ子言葉だったですが、実話のほうの二人も東京生まれ。梁川に憧れてたり、家事分担が強固な固定観念に支えられてるとことかから、九州かと思った。なんで嫁さんオフィスワーカーなのに夕飯作っておかわりもよそってやらにゃならんのと。髪結いのヒモ亭主飯作れよと。

荒木経惟 - Wikipedia

荒木陽子 - Wikipedia

洗濯とか掃除とか皿洗いは誰がしてるんでしょうかね。私も街の写真撮りますが、それはデジタル時代だからやってるだけであって、現像しなければならないフィルム時代はそんなお金のかかることしませんでした。フィルム一本撮ってみて、バカくさくてやめた。アラーキーすごいなあ。というか、現像したり引き延ばしたりする場面がないんですが、アラーキーってそうなんでしたっけ?

 死んじゃえば美談、生きてれば福祉、でも生きてこそ。と思いながら観て、でも死因は子宮ガン子宮筋腫なんですよね。メンヘラ関係ない。アラーキーの毀誉褒貶で、ミポリンの輝きが見れなくなることは許されない。そんな企画者のメッセージが伝わってくるような映画でした。ことに私のように中山美穂の全盛期が欠落してる人間に対しては、捉え直しのよい機会だったと思います。辻仁成もあんまり好きでないので、そこは現実に感謝しています。35mmフィルム上映。以上

【後報】

私はだいたいいつも「こころのやまい」とひらがなで書くのですが、この映画の場合、業界人が多数出てて、なんつうか、青春ダイナマイトスキャンダルも母親役が尾野真千子だったし、いうにことかいてこの映画はミポリンかよ、と思ったので、あえて彼ら業界人も一時期ネットで使っていたかもしれない「メンヘラ」を使う気持ちになりました。

(2019/4/16)