台湾巨匠選去年の目玉作品。「あいいろなつこい」と読むそうですが、「あいいろかれん」という湯桶読みもまかりとおっておま。「らんしょくかれん」とは読みません。
劇場を出た後、そこここにいた女性客から、さざなみのように「チェン・ボーリン」「チェン・ボーリン」という単語が繰り返され、ためいきなのか吐息なのか、熱かったです。むかしりんちーりん、ゼロ年代ちぇんぼーりん。
この切れ上がった目を出すまで、ためるんですよね。映像というか演出というか。なかなか顔を映さない。キャーキャー言ってるユエジェンでつないで、モンクーロウが自転車に乗ってアロハの後姿を追いかけて、信号待ちで横に並ぶまで顔を映さない。
モンクーロウのグオルンメイは、厚木で「薄氷の殺人」観てるです。けだるい、アンニュイな女性役でした。このデビュー作、ランスーシャーリエン(と北京語で読んでも原題と違うので听着理解分かってもらえるかは疑問)では、最初、大坂のそのへんにいる女の子と変わらへんやんと思った。
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海岸の、パルパルTシャツ着てるところで、初めて、この娘さんキレイだなと思った。あちらのDVDがカバーに使ってるショットです。下記。
最初ただの青春チンチュン恋愛映画かと思ってたですよ。LGBTとは。だからログインしないと予告編も見れないのか。ネットフリックスほかで絶賛配信中だそうなのに。
デジタルリマスター前のですが、仏語字幕の予告編で、そのものズバリのせりふが聞けます。
校庭の真ん中でオナヌーしたら2000元(ニュー台湾ドルで)いや1200元の場面が終わって切り替わるとき、青空にヒコーキの音が聞こえて、男性の自慰は「打飛機」ですから、それでかと思いました。藍色大門。五木寛之の青春之門筑豊編みたいな意味合いなんでしょうか、"Blue Gate Crossing"とは。百度見てもよく分からない。
最近もパトリシア・ハイスミスが若い頃オトコを愛せるようになろうと努力したとか読んだばっかで、そのさいの副産物で今でも流出したヌードが見れてしまうとか(ちゃんと21世紀のネットにも上がってる)あって、で、この映画でも、ルンメイというかクーロウが体育教師を誘惑したり夜の海岸でゆきずりの男たちとロケット花火の場面とかで、あやういあやういなーと思いました。こういう気持ちを利用する側は、入れ代わり立ち代わりあらわれるので。新宿にいたらよく分かると思います。「据え膳食わぬは武士の恥ですよ」「武士は喰わねど高楊枝ですよ」どうでもいい。
『藍色夏恋』易智言監督に聞きました!
— 台湾巨匠傑作選2019~恋する台湾~ (@twkyosho2019) April 25, 2018
~專訪易智言導演①~
Q. 日本での劇場公開(’03年7月)から15年。今、何を思いますか?
A. 日本でデジタルリマスターで再公開されることを、本当にうれしく思います。撮影当時’01年は台湾の映画産業が厳しく市場もとても小さかったので、その状況を…(続く) pic.twitter.com/ea5dLrXYIG
なかなかチェン・ボーリンの画像が出せないですが、この映画はチェン・ボーリンの映画だと私も思うので、それを存分に堪能したらいいと思います。ケーズシネマでこの後バスケットケースとかアタックオブキラートマトとかフリークスとかサルタサングレとかの映画特集やるらしく、「いくら待っても配信されませんよ(たぶん)」というキャッチコピーなのですが、別に配信されてても映画館で映画観るのはまた別物だしと思いました。逆に「チャパクア」とか、高速再生でアリバイ的に見ればいい気もします。
奇想天外映画祭 Bizarre Film Festival Freak and Geek アンダーグラウンドコレクション 2019 | ケイズシネマ
チューナンと読んで「処男」と書く。ギョーザって、一斤とか半斤とか二両とかで買うものだと思ってましたが、二十個とか十五個とかでやりとりしていて、少し面喰いました。毎日屋台で食べるお金があっていいなと。台湾の、民国期からの建築物は、ハバとかサイズをでっかくゆとりもって作るので、大陸的だと思います。日本だと、もったいないので、そんなにハバとかゆったり作らない。台湾だけど大陸的。
最近も「ツーファン」とか「ツーダオラ」と話す若者、それが俺の故郷の地道な中国語なんだ、「チーファン」「チーダオ」じゃねえんだ、という日本育ちの若者に会いまして、心に彼の破裂音が突き刺さるような気持ちになったのですが、この映画でも、ユエジェンはユエゼンじゃないですよね、克柔ママは、ジャンシーハオ(これもツァンスーハオじゃない)にジャオシュイでなくザオセイ?(簡体字で"找谁?")とか聞くわけですが、娘に、「失恋」と書いてスーリエンでなくシーリエンと言ってます。日常に使う単語は倦舌音になりにくいけど、学校やテレビで覚える単語は倦舌音になる。これが21世紀に喃々とする中華圏なんだなーという。ちょっと関係ないですけど、そう思いました。
<おまけ>
2018年新宿K's cinemaで開催された"台湾巨匠傑作選2018"劇場月間新記録を樹立し大盛況のうちに幕を閉じた。今回はその待望の第4弾、趣向を変えて台湾映画における青春映画・恋愛映画の系譜をテーマに台湾ニューシネマから現代に連なる古びることのないポップな作品群がそろった。ホウ・シャオシェン、エドワード・ヤンなど作家の映画から、青春のきらめきを描く娯楽作品まで多種・多様なラインナップ。特にプレミア作品として90年代の日本でも熱狂的人気を誇った幻の映画「熱帯魚」「ラブゴーゴー」がロードショー以来のデジタルリストア版を劇場初上映、さらに現代台湾の恋愛事情を描く「台北セブンラブ」も日本初上映、台湾映画そして台湾の街の魅力が満載だ。
台湾巨匠傑作選の客層も鑑みて、ニューシネマ以前の古色蒼然とした中華映画の恋愛片から始めたほうが、温故知新的によい気もします。4/28に観まして、この日は最初の回の「台北暮色」が満席だったみたいでした。昨年の月間記録、あっさり「カメ止め」に破られてたりしませんかね。最後の回でまあまあ余裕あったので、これからは整理券もっと後にもらいに行きます。熱帯魚もラブゴーゴーも、レンタルビデオで観てるはずなんですが、寝落ちしてるのか、記憶にないです。睡眠学習。
https://youtu.be/yyY5ksvQdY0?t=32
ラブゴーゴー予告の出だしのせりふ、中国はドロボウのいない理想の共産社会を実現してるので、カギという概念がなく、それで"钥匙是什么?"と言ってる…わけではないと思います。キャピタリズマータイオワンだし。これ、よく分かんないすけど、"要是甚麼?"="May I help you?"ですよね。いらせいませ。「何をお探しで?」「何をご所望で?」「何にしましょ」「何がほしいの?」ほしのあき。
洛吉、给我教好洛吉,你要是什么,请教我落鸡。What you wanna do? Please tell me, Rosie.以上
【後報】
(2019/5/6)