「ブラック・クランズマン」(原題:"BlacKkKlansman")劇場鑑賞

 関係ありませんが、こないだ電車で見かけた黒人のダブルのJKが、「ビールストリートの恋人たち」のヒロインの髪形で、似合ってました。以上。Kの映画、実話だとは聞いてましたが、Wikipediaを見ると、まず本人が本を書いて出して、それを製作者のひとり、ショーン・レディックという人が買って製作者たちによって映画化、ということで、そのショーン・レディックという人が(WikipediaはないがFBはある)白人です、とか、いちいちこだわりたくなるのを防ぐよなラストにしてますが、なんとも。原作はパルコから出てたのでこれから読みますが、一月時点でもう映画のチラシ出来上がってたのに、それと異なる、目がテンの本人のイラストにしてるのも、何かのメッセージかと勘繰りたくなります。

ブラック・クランズマン

ブラック・クランズマン

  • 作者: ロンストールワース,丸屋九兵衛,鈴木沓子,玉川千絵子
  • 出版社/メーカー: パルコ
  • 発売日: 2019/02/28
  • メディア: 単行本
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日本語版Wikipediaの写真は、カンヌでパチリの監督と主要キャスト。ショーン・レディックはいません。アシュレー・アトキンソンもいません。
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この人が演じたコニー・ケンドリクソンについては、脚本家もそうだと思いますし、私も人物像がよく摑めませんでした。「主戦場」に出て来るようなスマートでキレるタイプとは違いますし、なぜのめりこんだのかよく分からない。柚木麻子の小説『BUTTER』のヒロインともまた違う気がする。

下は、一月十六日に「パッドマン」観に渋谷のシネクイントに行った時に撮ったこの映画のポスター。この時点では米国版と同じポスターで、倒福星条旗。その後、パルコが目がテンの表紙の本を出しました、と。

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(本年度アカデミー賞最有力!!) 第71回カンヌ国際映画祭グランプリ受賞 BLACKkKLANSMAN ▲SPIKE LEE JOINT ブラック・クランズマン この実話は、キケンだ。 「マルコムX」「ドゥ・ザ・ライト・シング」 スパイク・リー監督作品 黒人刑事〈白人至上主義団体〉KKKに潜入捜査 

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BlacKkKlansman - Wikipedia

BASED ON A CRAZY, OUTRAGEOUS, INCREDIBLE TRUE STORY!

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前代未聞の実話!黒人刑事がKKK(白人至上主義団体)に潜入捜査 痛快リアル・クライム・エンターテインメント! 俺たちが、すべてを暴く。

現在のポスター。厚木では、延長して?5/17まで上映されるようです。わざわざかけてくれたのでこれはみんければならんと思って観ました。私の旧映画会員券は6/13に切れるので、それ以後は水曜の割引デー狙いのみになります。

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コンビ 黒人警部 ロン 白人警部 フリップ 潜入捜査!?→白人至上主義団体 KKK STORY 黒人刑事のロンと白人刑事のフリップは白人至上主義団体KKKの潜入捜査に挑む。ロンが電話し、フリップが覆面として直接対面する。2人で1人の人物を演じる大胆不敵な潜入捜査!!

劇場のフリップは素材屋ですが、ウェブサイトのあらすじ紹介は燃えてます。

ブラック・クランズマン | あつぎのえいがかんkiki

これが「現実」だ!アメリカの今を目撃しろ!70年代半ばのコロラド州警察署。黒人新米刑事が退屈しのぎに電話をかけたのは、なんと!白人至上主義を掲げるキケンな、白装束で頭に三角頭巾を被る秘密結社K K K(クー・クラックス・クラン)だった。「ユダヤ人も、メキシコ人も中国人も嫌いだけど、誰が何たって黒人が一番キライだ!白人のアメリカ万歳!」幹部からラブコールを受けた黒人刑事(電話担当)は白人刑事(対面担当)と二人で1人の人物を演じ、大胆不敵な潜入捜査に挑み出した!なんと実話!の本年度アカデミー賞脚色賞受賞作。“正しい選択をして、憎しみより愛をつかもう!”『ドゥ・ザ・ライト・シング』『マルコムX』の名匠スパイク・リー監督最新最高傑作。 

最高傑作とまで言うか。熱いなーと。フリーペーパーのほうは、行き過ぎた行動により滅亡と真似っこ復活を繰り返すこの団体の、現在にまでつながる復活と存続に多大な燃料を投下したプロパガンダ映画「国民の早逝創世」について感慨深く記述しています。北一輝も映画作ってれば…まあ、プロパガンダ映画にも傑作と駄作があるのは言うまでもなくて。

黒人映画のスターを列記しながら水辺の小道を歩くデートの場面で少し寝ました。あと、トイレに行ってる間に、FBIとどうこうしたみたいですが、放尿中で観てません。

"Do the right thing"のパブリックエネミーだかなんかの歌、"Fight to Power!"とこの映画のエンディング、犠牲者に奉げられた弔辞、"Rest in Power"、どっちもパワーで、前者の字幕通りだと後者は「権力のうちで眠れ」じゃないデスか、英語意味分かりませんぷんぷん、とは言いませんが思いました。

クワメ・トゥーレの箇所は、私もカシアス・クレイを連想しましたし、トゥーレというと、ヤヤ・トゥーレというサッカー選手をまず連想しまして(ウイイレにも出てるので、知ってる人は多いかと思います、ヤヤトゥーレ)クワメがギニアでトゥーレがコートジボアールだと、異言語の人名をごたまぜに並べてないか?とも思いました。プライベート・ベンジャミンに出て来るオリエンタル男性キム・オーサカみたいに。⇒後で、そういえばセク・トゥーレという人もいたなと、カーマイケルさんが貰った名前の持ち主それぞれに辿り着いたのですが、ともに黒人であるというだけで、民族が違うのは同じでした。フィリピンの民族構成とか見れば分かりますが、アメリカは民族のちがいを重要視しようとしません。

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下記の予告は「ブラック・パワー!」と言ってるだけdすが、これをアフリカのことばで言おうとして「ウンガワ!」と皆が絶叫するその言葉を検索すると、ターザンがよく言うことばなんだそうで、スワヒリ語なのかヨルバ語なのかとか、真面目に考えた自分がバカだった… 逆にいうと根が深い。

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マレーシアのランカウィ島にも"UNGAWA"というジップラインアドベンチャー(ってなんでしょうか)があるそうです。ウンガワ!

この映画を観て逆に、ユダヤ人は白人でないと思い込む人がいるかもしれませんが(カジがミサトにころされると信じるのと同じベクトルで)、まず、民族や宗教は人種と異なる概念です。ユダヤ人というのはユダヤ教を信じる人たちのことです。ですから、コーカソイドの白人もいますし、サハラ以南等のネグロイドもいます(数は少ないと思います)中国河南省開封ユダヤ人は長い同化を経て、モンゴロイドの特徴を持った人たちになっています。前にも日記に書きました。

中国・開封のユダヤ人

中国・開封のユダヤ人

 

 主人公はよくカンフーやカラテの物真似をして、それは当時の黒人にそういうオルタナなものへの憧れがあったことへの証左なのですが、アメリカ社会は基本的に白・黒・黄ですから、自分たちより下位の黄色人種、オリエンタルをどう考えるか、考えないので、この映画には出ません。ドゥ・ザ・ライト・シングにはニューカマーの韓国人が出て、「ウィー・ブラック!!」と絶叫しますが、あの映画に触発されたロス暴動では韓国人店主の店がバンバカ襲われ、徴兵経験のない店主がいない韓国人街の男性陣が、そろってピストルをパンパン水平発射してるニュース画像が流れてました。この映画はそれより後退している。

スパイク・リー出世作「スクール・デイズ」でも、主人公は黒人ばかりのハイスクールでアフリカ救済を訴えるのですが、白人の真似をする一派と、ブラック・ビューティを追求する一派に分裂した校風のなかで、まじめに政治なんかする奴はバカ、になってしまい、しまいには校庭の鐘をガンガン鳴らして「ウェイク・アップ!(目覚めよ)」と叫ぶだけで映画は終わってしまいます。今回の「黒い氏族の男」では、初めから権利意識とか平等にすごくビンカンな大学生たちの運動がもうすでにあって、シラケ世代が政治に目覚める不自然さをどう描こうか悩む必要はナッシングで、だからなぜ自治会長が自家用車持って一軒家に独り暮らしで政治意識が高いのか、描く努力を放棄しています。

その自治会長と黒人刑事がつきあうのは、まず、人種民族うんぬん以前に、ジェンダーとして、頭のいい女はモテないという古典的なベースがあるのかと思いました。なんで彼氏いないかなあと。その上で、黒人刑事は、白人社会のコロラドスプリングス警察にフロンティア、開祖として職に就いた自負があるので、相手が大学自治会長であってもまったくひけめを感じないわけで(大卒同士でキングスイングリッシュも流暢だし)しかし権力のイヌである点が、先鋭的な活動家としてはダメという、いやいやそんなの妥協しろよと現在から見ると思いますが、スパイク・リーはまだそこを、それでもふたりはうまくいく、というふうに描けず、インビジブルエネミーを出して終わってしまいます。辻本。

主人公ロン・ストールワースが標準英語を喋り、アメリカ社会のマナーを身につけて成長した理由として、就職面接で本人が語るのは、父が軍人だったという点。米軍が平等だったというのはよく言われるポピュラーな話で、それが徴兵制がなくなって志願制になったベトナム戦争からおかしくなったというのもよくいわれる話。で、除隊後不平等な米国社会に直面して酒や女房にあたりちらしたりに逃げる亭主から逃げた日本人妻の話もけっこう聞きました。逃げなかった日本人妻をおいかけてアラスカまで行ってまたフラれるのは西木正明の自伝的小説の主人公。

そう、スパイク・リーとしては、ケーケーケーなんかより、警察と戦いたいのかと思いました。リベリアの治安を描いた映画でも一本、作ってほしい。明石書店は「リベリアを知るための三十章」とか出してほしい。

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黒人はアメリカ社会のたぶん三割の人口を占めますし(1%とかではない)、先祖が出稼ぎに来たからいるわけでもないですし、リベリアにカエレ!と言いたい人がリベリアを作ったんだと思うのですが(国まで作るかね)しかしなあ。ホントはここで中国語の"杂种"というヒドい言葉を出して中国の話にシフトしたいのですが、しません。スパイク・リーの「モ・べター・ブルース」は、借りて寝てしまいましたが、黒人英語だから、モアじゃいのかと、今やっと分かりました。フランス語かなーとか、ずっとぼんやり思ってました。ブラックパンサーがブラックパンターに聴こえたのは、それとは関係ないアメリカのスタンダードイングリッシュだと思います。

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映画『ブラック・クランズマン』オフィシャルサイト

上は、この映画公式のアイコン。ほんとは「若葉のころ」のほうを先に見たのでそっちを先に載せたかったのですが、あっちのほうが書くの難しかったので、こっちで。以上