長倉洋海を読んでみよう三冊目。装幀 スーパー・ケニックス
これで土門拳賞受賞したそうです。
ゲバラ並みのカリスマのようでもあり、しかし地政学的な諸事情が世界的な彼のカリスマ化を許さなかったという感じで。しかし、作者はマスードに崇拝というか跪拝してた気がします。それは、現地で彼と、彼を尊敬する兵士たちとの交流からそうなったのだと。本書では「イスラム戦士」と書かれているムジャヒディーンたちが、こぞって作者に、マスードの写真を持ってないかと尋ね、渡すと大切に肌身離さず仕舞い込む描写に表れています。チベットでギャワ・リンポチェの写真を身に着けるのと等価値、と言ってしまうと双方に失礼か。ゲバラのあの写真も往時はそうやって使われてたんでしょうかという。
日本語版ウィキペディアには彼の写真はありません。
ロシア語版には写真あり。言う程イケメンでもない、と、私は言いません。
英語版はイラスト。中文ハングルもこれに準じています。
そして、ペルシャ語版には本書表紙が。
本書によると、作者はペルシャ語が出来るそうで、ぱっと経歴見ても、どこで出来るようになったのかさっぱり分からないわけですが、でもそれは利点だと思いました。
武器といえば、本書は情景をフィルムカメラに写し取る時代なので、PRG担いだ兵隊や、カラシニコフと思しき銃を携えた民兵の写真などはやっぱりあります。検索してないんですが、現代このデジタル時代、ツイッターでもインスタでもFBでも、自在に武装した原理主義者自身の自撮りとか宣材とか見れるんじゃいかと思うのですが、いいね!強要されたり、友だち申請されて、そのうち自爆テロの道具として洗脳されたらいやだお、と思うと誰もがパンパカ覗きにもいけないと言ったところでしょうか。
殉教者墓地の旗の写真がいちばん心に残りました。あと、頁77、アンダローブというところの田園を歩く場面で、手前が水田に見えるのですが、水田なのでしょうか。
以上