「台北セブンラブ」(原題:相愛的七種設計)(英題:Design 7 Love)劇場鑑賞

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愛は仕掛けられるの? 台北セブンラブ ストーリー 2014年、2年後に開催される世界デザイン首都に選定された台北市は建築ラッシュに沸き、街中のデザイン事務所がしのぎを削っていた。そんなデザイン事務所のひとつでマネージャーを努めるバーズは、かつての恋人であるデザイナーのドロシーを上海から呼び戻し、進行中のホテル改装プロジェクトの主任に任命する。 事務所の所長アンドリューは、クライアントのマークに言い寄られているドロシーをビジネスとして利用しようと画策するのだが……。 台北の若者の“今”と“恋愛”を生々しく描き出す

当初は特に見るつもりもなかったのですが、台湾巨匠選価格¥1,500の時に新宿で一度満席になってるので、それなりに面白いかなと思って観ました。新宿の満席が厚木でこんなだと、温度差有りすぎだと映画館を出て思いました。複々線化で快速急行でさっと来れるのに、こりゃないぜベイベーという感じ。

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台北セブンラブ | あつぎのえいがかんkiki

ウディ・アレンばりのとめどない会話」とはうまいこと言うと思いました。私はこのタイトル、「たいほくセブンラブ」と読むのですが、モギリの兄ちゃんの弁ですと「たいぺいセブンラブ」になるそうで。

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上映前の前説で、「最後までご鑑賞ください」と言っていて、途中で席を立ちたくなる映画なのかなと少し訝しみましたが、結論からいうと、もし新百合の日本映画学校王貞治監督がいたら、「こういう自己満足映画作っちゃ駄目だ」と言うだろうなという映画でした。

自己マン映画にしては最後までまあまあ見れるのですが、それは、多分、華人のほうが邦人より、相手の気持ちを読んで相手にいい気持ちになってもらって自分を有利にする、という発想の行動がうまいからだと思ったのですが、こう書いてしまうとレッテル貼りのようで具合が悪いかなと。中国語の勉強で、相手をほめるというのをやったのですが、日本人てホメるの下手だなと痛感したので、そう思ったのですが、違うかな。

前彼前カノのことを、チエンナンヨウ、チエンニュイと言っていて、へーと思いました。

ファミマは台北でもイートインをやってると分かりました。

蒋介石の曽孫になりてえよというセリフがあって、その後マークというハーフというかなんというかの人が出て来るので、なんだかなあと思いました(蒋介石の息子の蒋繼國はロシア人だかウクライナ人だかの女性と現地で国際結婚したので、その息子さんはハーフで孫、蒋介石から見てひまごはクォーター。デルモかなんかだった気がします。あちらのまとめみたいなサイトでは、毛沢東は息子は朝鮮戦争で戦死してるので、娘の息子の写真と比較してヤイヤイ言ったりしてます)はこの役者さんもカネシロ語同様、倦舌音に自信がないのか、例えば倦舌音ではない"餐厅"もチャンティンとはっちょんしたりしてました。これが高じると雨傘もユィシャンと言うようになる。この金持ち一族は上海系という設定です。ホントの上海料理と新一代上海料理がどうこうという会話は、確か、勝見洋一『中国料理の迷宮』で、文革当時、上海閥の軍人の密かな宴席に招かれ、江青山東でホントの上海人じゃない、だから釣魚台賓館の江青の料理もホントの上海料理じゃない、あれは山東だ、ホントの上海料理はこういう料理なんだ、と蘊蓄をたれられる場面を思い出しました。

中国料理の迷宮 (講談社現代新書)

中国料理の迷宮 (講談社現代新書)

 

日本語予告でもマークがシャワー自慰で達する場面が出ますが、TENGA使わないんですね、というような話はどうでもよくて、自慰の前、私結婚します、結婚してもこれまでどおりセフレでいましょうという女性を、「滚!」と言って追い出すのですが、ブリーフぱんつにテント立てながら帰れよ出てけよと言っていて、しかしその張り具合がなんというか東洋人と同じサイズで、もっと大きくないのかな?女性の意見も聞いてみたいと思いました。フェイクなのかな、アレは。

 「私の少女時代」では実にカッコよく不良のスターを演じていた王大陸くんも、実生活で契約違反がどうの和解がどうのとあったせいか、この映画ではとってもこじんまりとしてしまっていて、残念でした。そもそもが徴兵生活で挫折してコネで業界にどうこうの子だったというふうにも勝手に漢字の羅列を理解してましたので、それも仕方ないかなと思ってしまったり。藍色ナツコイのちぇん・ぼーりんも、反日がどうこうで炎上したとかしないとか検索で見ましたし、衝撃のデビューのみずみずしさを保ち続けることは、かように難しいと。ワン・ダールー演じる若手デザイナーはオランダ帰りと言う設定で、和蘭と何かほかの単語、ウソを意味する単語でしたか(出て来ません)、をかけてましたが、それ以外オランダ帰りの設定が生かされる場面はなかったかと。無国籍料理は無所謂料理、というおバカ発言は面白かったのですが、こっちは字幕忘れました。うまいこと日本語にしてると思ったのですが。

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ドロシーは、私の耳にはドローレスと聞こえて、ジョンが中文では约翰,ユエハンになるようなものかと思いましたが、よく分かりません。上海帰りだそうで、覇子(バーズ)という、バーズのバーはウェイバーのバーの元同僚、ということは、覇子も上海帰りなんだなと思いました。策展人と書いてキュレーターと訳してますが、私の辞書ではそういうふうになりませんでした。なんでだろ。

でもって、エマという女性が最初のほうでタクシーの中で母親と会話することば、これ、字幕は<>とかつけてないのですが、多分上海語で、コレも上海なのかと思いました。エマはバイセクシャルと字幕で出て、そういう目で見るので、女性へのくっつきぐあいも、まーこんなもんでしょ、さほどでもないと思うのですが、もし字幕がなかったら、このキャラなんでこんな同性に接近して来るんだ? 百合かしらと逆に思うと思います。親との上海語の会話もテーマは結婚。という発見を自分一人でしてうれしがっていたら、ウィキペディアでは"離鄉背井來台北工作的上海設計師"と書いてあって、説明無くてもネイティヴは皆分かるのねトホホと思いました。バイセクシャルという設定は、上海人が何故台北にいるのかを雄弁に物語ってると思うのですが、それを強調する場面は全然なくて、大陸で公開出来なかったらもうからなくてヤバイとの判断から最小限の記述にとどまってしまったんかなあと思いました。

フランスは日本語では仏国ですが、漢語では法国で、で、三声二声のはずなんですが、この映画ではどのキャラも四声二声に聴こえ、おっかしいなあと思って検索すると、はたして台湾人の発音は同じ北京語でも四声二声になってました。逆にいうと、私が台湾で三声二声で「法国」と言うと、一瞬で台湾人から大陸人と認識されるということ。

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手術台の上でミシンと蝙蝠傘が出会うのと同じスピードと量で、その手のどうでもいいこむずかしいことばが散りばめられていて、だいたいファーグオレンのセリフですが、二人日本人も混ざってます。韓国人はいません。

妹島和世 - Wikipedia

原研哉 - Wikipedia

街中の風景で、工事中の壁に「互助construction」"hutsu construction"と書いてあった気がして、ピンインだと互助は"huzhu"ですので、ウェード式面白いなと思ったのですが、今検索したら、H音のはずなのに"F"で表記してあって、もっと複雑怪奇でした。それでいいのかなあ。

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互助營造股份有限公司

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以上

【後報】

作り手は、上海セブンラブを作りたかったのではないかと今でも思うのですが、悲情城市で、台湾ヤクザと抗争するのが上海ヤクザで、ホーロー語と上海語で、お互いにことばが通じないので広東語の通訳を入れてる場面をなんとなく思い出しました。あの、便所で、ポッカーと言って挑発して短ドスで後ろから滅多突きにされるジャッキーチェン映画の常連役者さん。

(2019/6/10)