『アフガニスタンから世界を見る』読了

装幀とかは後で調べて追記します。 中村医師の本とそうでないアフガン関連の本との間隙を埋める本ではないかと考えて手に取りました。【後報】カバー写真は例のタリバン養成学校と云われる難民キャンプのマドラサの学生。著者撮影。装幀 本山木犀(2019/7/31)

アフガニスタンから世界を見る

アフガニスタンから世界を見る

 

 川崎市国際交流センターに行った折、図書室も覗いてみてけさいと言われ、入室してぱらぱらめくった本。図書室は入口でかばんをロッカーに預けて入室します。ロッカーは百円投入返却式。階下の事務室で両替対応可。以前は図書室で百円貸し出してたそうですが、その対応は終了したとのこと。カバンを持って入室出来ないので、筆記用具等を入れるビニールバッグ(百均で売ってるようなもの)が常備されていて、ロッカーの上にあります。パソコン、スマホ等携帯禁止。多文化対応とはこういうことでしょうか。

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Colors, Future! いろいろって、未来。 川崎市 KAWASAKI INTERNATIONAL CENTER

ペシャワール会と違うアフガン関係の読書(最近)>

『ソルハ صلح』読了 - Stantsiya_Iriya

『アフガニスタンの少女マジャミン』読了 - Stantsiya_Iriya

『و طن من ワタネ・マン わたしの国アフガニスタン』読了 - Stantsiya_Iriya

『これが私の生きる道 キダ・タロー対談ーひと・こころ・いのち 26人からのメッセージ』読了 - Stantsiya_Iriya

『マスード 愛しの大地アフガン』読了 - Stantsiya_Iriya

『マスードの戦い』(河出文庫)読了 - Stantsiya_Iriya

『アフガニスタン 敗れざる魂 マスードが命を賭けた国』読了 - Stantsiya_Iriya

『ラティファの告白 アフガニスタン少女の手記』"Visage volé Avoir vingt ans à Kaboul" 読了 - Stantsiya_Iriya

<私が読んだ中村医師の本>

『アフガニスタンの診療所から A Report from the little clinic in Afganistan』 (ちくま文庫) 読了 - Stantsiya_Iriya

『医者井戸を掘る―アフガン旱魃との闘い』読了 - Stantsiya_Iriya

『空爆と「復興」―アフガン最前線報告』読了 - Stantsiya_Iriya

『医者、用水路を拓く アフガンの大地から世界の虚構に挑む』読了 - Stantsiya_Iriya

『中村哲さん講演録 平和の井戸を掘る アフガニスタンからの報告』読了 - Stantsiya_Iriya

今回手に取った本と写真集、二冊しか図書室には現時点でありませんでした。そのうち予算がついたら、ドカッと石風社の本完備するかもしれませんが… しかしこの本は、冒頭でいきなり、タリバンに拉致られかける経験がありながら、タリバンに対し公明正大な報道を読者に伝えることが出来たのか忸怩たる思いがある、と書いてあったので、おおっ、と思い、読みました。

タリバンが田舎の神学生、とは言ってませんが、そうした認識は本書も共有していて、下記の視点があります。

タリバン穏健派はバーミヤンの石仏破壊を止めようとしていたが出来なかった。アルカイダタリバンに食い込んで石仏破壊を推進した。何故食い込めたかは資金援助。

タリバンは戦闘スキルより、呉越同舟を自勢力に取り込むすべ、寝技にたけている。ので、多数民族パシュトゥーンのタリバン少数民族シーア派モンゴロイドの顔立ちのハザラ人を迫害しているとの報道に対し、ハザラ人戦闘部隊をまるごと自勢力に寝返らせることにも成功している(その部隊に会ってそう書いている)

タリバンの写真NG。証明写真は大丈夫。例外。

・凧揚げ禁止は欧米からの視線(ひど~い、子どもの楽しみを奪うなんて~)に特に異議を唱えてないかな。

・女性の診察等待遇の劣悪に対しては、アフガニスタンの伝統社会もそうである点は書いておくと。あと現場での弾力的運用。どこの現場なのかは、あまり具体的に書くとあれだというのは読む方も理解。

公開処刑タリバン内での風紀弛緩、腐敗の処刑例を、出そうとして、取材出来ないもどかしさ、みたいな箇所がありました。ほんとにやってるのかどうか。

・彼らを育成したパキスタン領内のマドラサ(神学校)でのファナティックな教育については、公教育の欠如等をあげてたかどうか。ここはちょっと覚えてません。

・バンシール渓谷に行くと故マスード将軍の写真がいたるところに掲げられているとあり、ただ、ドスタム将軍のところに行くと到る所にドスタム将軍の、というふうに、各軍閥の似たような記述で相対化されています。マスード派の資金源宝石については明記。対するタリバンの資金は、罌粟だったか大麻だったか。確かにアフガン産大麻大麻合法国で販売されていたはずで。

のような本で、大変なのに、世界から注目されてないもどかしさ、みたいな感覚、気分が伝わるにはじゅうぶんと思いました。2006年の本ですから、もう十三年も前で。

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↖ 川崎市国際交流センター ↖ Kawassaki International Center ↖ 川崎市国际交流中心 ↖ 가와사키市 국제교류센터 ↖ Centro Internacional de Kawasaki ↖ Sentrong Pandaigdig sa Kawasaki

川崎国際交流センターの他言語表示看板。一番下は、ポルトガル語でなく、タガログ語かな。タイ語ペルシャ語があってもいい気がしますが、あっても読めないし、写し書き出来ません。ベトナム語は、声調記号の出し方マスターすれば、アルファベットなので写せると思うのですが、まだ看板にないし、どうですかね。漢字の繁体字は、ここで出てくる字だけで言えば、最初の日本語の漢字と同じですので、まーそれでってことで。

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(公財)川崎市国際交流協会 設立30周年記念 かわさき国際交流民間団体協議会 発足25周年記念 特別企画 アフガニスタンに35年 砂漠を 緑 に変えた ペシャワール会代表 医師 中村 哲 講演会 命の水を求めて1000本の井戸掘り 砂漠に灌漑用水路を拓いた中村医師 「人は自然な形で支え合うことが必要・相手の立場に立ってものを考える」

ペシャワール会側の告知で講演を知ったのですが、川崎市側ではこういうチラシでした。灌漑用水路は、航空写真その他で見ると、規模に驚きます。そういう事業をこういう行政以前の暴力的環境でなしえるタフさについても、感銘があろうかと思います。私のチケットは通し番号199でした。以上