キネマ旬報創刊100年記念  映画イラストレーター 宮崎祐治の仕事 The Works of Yuji Miyazaki, Illustrator for Films  At the Centenary of Kinema Junpo Magazine アーティスト・トーク 「第3回 好きなことを仕事にすること」対談 金子修介氏(映画監督)× 宮崎祐治氏 拝聴

今週のお題「夏休み」先日この企画があることを知ったものの、仕事で行けないと達観してましたが、運良く休みになったので行ってきました。

f:id:stantsiya_iriya:20190727185547j:plain

私はこの人(金子)の動いてる姿を、宇崎竜童とのカラオケデュエットをテレビで見て以来(ゴジラの番宣)見てないので、こんな顔だと思い込んでましたが、全然違った。眼鏡で、話す姿がいちいち心のATフィールド全開でバリアアンフリーで、背筋が吊りそうな感じで(考えたら映画監督なのでそんなわけないのですが)オタの忘年会思い出しました。この数日前のイベントではネクタイしめた姿をブログに載せておられましたが、この日はよく分からない赤いポロシャツでした。しかし帰り際歩いてる姿を見ると、やっぱガッシリした感じがあって、それなりに押しが強そうでもあり、お座敷に呼ばれて出て来て猫背でマイクもってもそもそ喋ってる姿は擬態なのかもしれないと後で思ったです。宮崎さんという人は、隣の席の人が「はやお」と言ってましたが、酒つまのオータケみたいな人でした。高校時代はサッカー部でムサビに行ったそうです。武蔵野美術大学がムサビ、武蔵野陸上競技場がムサリク。サマースーツなのでシワがよってました。

https://www.nfaj.go.jp/exhibition/yujimiyazaki/#section1-3

金子修介 on Twitter: "明後日27日土曜、国立映画アーカイブにて15時〜映画イラストライター宮崎裕治氏とトークイベントやります。
宮崎君は三鷹高校の同級生、クラス違うが生徒会新聞一緒にやったりしました。彼はマンガ上手いサッカー部で、僕は8ミリ映画作る生徒会長という青春時代。面白い話になるんじゃないでしょうか"

私は金子修介監督の映画を見ているようで見ていない人なので、下記の状況です。

<見た映画>カッコ内の西暦は製作年

宇能鴻一郎の濡れて打つ1984年)(日活ロマンポルノ)DVD鑑賞山田村ワルツ(1988年)(一色伸幸と組んだ)ビデオ鑑賞香港パラダイス(1990年)ビデオ鑑賞就職戦線異状なし(1991年)ビデオ鑑賞咬みつきたい(1991年)ビデオ鑑賞、但し記憶なし卒業旅行 ニホンから来ました(1993年)(一色伸幸と組んだ)劇場鑑賞毎日が夏休み(1994年)(大島弓子原作)ビデオ鑑賞ガメラ 大怪獣空中決戦(1995年)劇場&ビデオ鑑賞ガメラ2 レギオン襲来(1996年)劇場鑑賞学校の怪談3(1997年)ビデオ鑑賞ガメラ3 邪神〈イリス〉覚醒(1999年)劇場鑑賞クロスファイア(2000年)(宮部みゆき原作)劇場鑑賞ゴジラモスラキングギドラ 大怪獣総攻撃(2001年) 劇場鑑賞あずみ2 Death or Love(2005年)ビデオ鑑賞デスノート(2006年)劇場鑑賞ばかもの(2010年)(絲山秋子原作)DVD鑑賞

 <見てない映画>カッコ内の西暦は製作年 

 OL百合族19歳1984年)(日活ロマンポルノ)/イヴちゃんの姫1984年)(日活ロマンポルノ)みんなあげちゃう(1985年)/いたずらロリータ。うしろからバージン(1986年)(日活ロマンポルノ)/恐怖のヤッちゃん(1987年)(一色伸幸と組んだ)1999年の夏休み(1988年)DVD積ん読/ラスト・キャバレー(1988年)/どっちにするの。(1989年)/ネクロノミカン(1993年)/F (エフ)(1998年)/恋に唄えば♪(2002年)何度も買おうとして記憶が途切れるデスノート the Last name(2006年)神の左手悪魔の右手(2006年)(友人の遺作を完成させたとか)/プライド(2009年)(一条ゆかり原作)/ポールダンシングボーイ☆ず(2011年)メサイヤ(2011年)/青いソラ白い雲(2012年)/百年の時計(2012年)/生贄のジレンマ (上・中・下)(2013年)/ジェリー・フィッシュ(2013年)/少女は異世界で戦った(2014年)/スキャナー 記憶のカケラをよむ男(2016年)リンキング・ラブ(2017年)/こいのわ 婚活クルージング(2017年)

作者ウィキペディア調べ。金子修介 - Wikipedia

こんなに見てないとは。アマゾンプライムでも契約したら見れるようになるのかな。それともネットフリックス。というか、近作が公開された2017年というと、まあまあ頭もしゃっきり?はしてなくても、映画それなりに観てたと思うので、厚木や新百合や海老名でやったのに私が気づかなかったのか、やらなかったのか、どっちだろうと思いました。今映画の約束事がどんどん崩壊していると、具体例を述べずに印象操作、うそ、そこまで他意はないでしょうが、言ってたので、何処で上映されてるか分からない、もそうなのかも。下に、お蔵入りするのかしないのか、という中国ロケ映画の話が出ますが、それも崩壊なのかな。

 『夏休みなんかいらない』というラノベ小説を最近書いた時は、高校時代仲のよかった女性たちに毎回講評してもらってたとか。いまでもその当時の異性の友人とつながりがあることに宮崎さんは驚いたとのことですが、みな驚くだろうと。この日の観客にも多数同窓生がいたのではないかと。この後席をもうけてあってどうのこうのと、帰り際アンケート書いてる声が聞こえました。三鷹高校だか武蔵高校だか、こわい。どういう小説なのか読もうと思いましたが、紙版はなかった。大島弓子原作映画へのアンサーで、かつ体調を崩したりの痴気情事在住原作者を勇気づけるための話だったらいいなと。

「夏休みなんかいらない」|公式サイト

金子修介の文系モテ路線に対し、サッカー部の宮崎イラストレーターがやっかむのもへんな話でしたが、ふたりは隣のクラスだったのでクラスメートではないそうです。金子修介は大学でゼミで男一人で、ほかみんな女性だったそうで、だから『みんなあげちゃう』が監督第一作だった、わけはないでしょうが、燃えたんだろうな、いろんな意味で。

金子修介はまず高1の時の自主製作8mm映画で成功体験しているが、宮崎うじは初めて映画製作に手を出した時ヤケドしている。その辺の個人的な体験は、ゲージツ家にとって大きいのかとも思いましたが、承認欲求とかいう心理学の雑学用語が入ると、成功イコール継続というふうにもいかないので、悩ましい。金子サンに言わせると、映画という総合芸術は、終着点というか完成像を最初に思い描いておいて、そこに近づけてゆく作業なのが楽しいそうで、漠然と、バーンとこんなシーン撮りたい、で撮る人は映像人たりえないんだと思いました。シナリオが練れてないのにクランクインする人もたぶん論外。金子うじは画家である母親から高校時代デッサンが狂ってると指摘されてから、漫画家の夢を諦めて映画監督の道を志したそうで、漫画家志望でも、「大友克洋みたいな見開きを描きたい」だけのコピー誌全盛期を思い出しました。やまなしおちなしいみなしのBLならまだよいが、ラムちゃんが凌辱されるだけの同人誌を積み上げたら富士山より高くなるのでしょうけれど、それを面白がる感性が、いまだに苦手です。かとか、とか、なんとか。助監督はエロを考えないが、監督として自分で演出するようになるとエロを意識するんだとか。それをてっとりばやくやったのが同人誌だと思うのですが、それをわざわざ「買う」という行為と思考が分からない。

繰り返し同じことを書きますが、三多摩地区の公立進学校はまず国立立川で、次が武蔵三鷹だそうです。そこの制服自由化とか、民青の細胞が出来た時代の高校生ということで、後年母校は中高一貫校になって、だいぶ校風も変わったそうですが、この日の聴衆に、同窓生がたくさん紛れ込んでいたっぽかったので、なんだこの黄昏流星群と思いました。娘さんも映画人としてどうのこうのと言っていたので、検索したら、京都の大学生とあり、あーあと思いました。いや、いいんですけど、京都か。とにかくシナリオをたくさん書くこと。撮るあてはなくとも脚本を書け、だそうです。研鑽にはそれしかないと。宮崎サンによると、CMの世界もそうだとか。さっきの話に戻すと、大友の見開きより、諸星大二郎のマッドメンや諸怪志異の1ページブチヌキのほうが、それまでのコマ割りの積み上げがあるので、読者をはっとさせる、息を飲む「ひゅっ」という音が聞こえる、ひぃーという声が漏れる、のですが、それが、いかにしてそうなるのか、という点も分析出来るはずです。ので、見開きの衝撃的シーンだけ読者に見せたい、という人は、それまでの展開を考えろということになるのかと。スポーツまんがだったら分かりやすいのかな。豪速球ピッチャーを初球ホームランで頁めくると次の試合、練習なし。それだけで漫画になるか。緑山高校播磨灘もそんな気がする。

 2017年にハルピンでたぶん香港の俳優使って撮った映画が、言えない事情でラストシーンのワンカットだけ撮れてないそうで、なんとかお蔵入りせず公開出来たら、とのことですが、雨傘でくまのプーさん突くとか、そういう場面だったのでしょうか。日本人監督が外国人俳優使ってミスマッチにならなかった映画って、なんだろう。鈴木清順チャン・ツィイーで撮ったたぬき御殿とか、なぎさ大島のデビッド・ボウイ、戦メリとか。この後は、多分、低予算時代劇を撮れるだろうと言ってましたので、じゃあつかもと映画と二本立て…つかもとじゃなくても引っ越しとか参勤交代とか武士の本懐とか時代劇は多々あるか。

山田村ワルツが女性全員にお面をつけさしたのに対し、チャウ・シンチーの皇帝ミッションは、後宮の女性役全員をそのまま顔出しして走らせたその違いを(先頭は例のハナクソほじりながら登場する女装の男性スタッフ)聞きたかったのですが、聞きませんでした。

あと、宇野鴻一郎の濡れて打つ、というタイトルなのに、宣伝文句からしてエースをねらえのパロディとなっていて、そのとおりであることなど、同人誌全盛期世代を駆け抜けた人間として、女性をキレイに描くことも(といっても、水商売的なキレイでなく、例えばクロスファイアで冒頭仲間内で飲むときの歌が拓郎のシンシアである的な綺麗さ)アニメっぽい作品になることも、歌謡曲が好きなことも、ひっくるめて、同人全盛の時代を生きてきた、その影響があるんじゃないですか、とも聞きたかったですが、私は同人誌ほとんど知らないので、聞きようがないです。

隣のクラスではあったけど、実はそんなに交流はなく、認め合ってるが、飲み歩くようなマブダチではないのが、宮崎金子の交友関係だそうで、その距離感と空気が、還暦過ぎてもまあこんなもんだよ、逆に、年取ると我が強くなるから、セッティングすら㍉とか、そういうんでなくていいですよね、ほんと、と思いました。

今回これを書くにあたってウィキペディア見て両親が党員であることとか知り、で、当日も、ネトウヨが客席に紛れ込んでたらどうしやう的な、仕掛けのせりふがあったと思います。後半ほぐれた後で、右手にガメラ左手にゴジラのタトゥーのアメリカ人の話が出る。ウィキペディア読んで思いましたが、ガメラ第二作で、「武運長久をお祈りします」という女性のセリフが、サヨ的にカチンと来ただろうなとは思いました。戦争賛美だから。私は実はガメラ一作目はかなり当時知り合いの韓国人にみせていて、照準器とミサイルだか迫撃砲だかの仰角が同調する場面とか、韓国人のお気に入りでした。

なんというか、こういう濃密なトークショーが、ただで、しかもフリースペースみたいな場所で行われる、国立アーカイブって、へんな場所、と思いました。また交通会館に例の幻獣展観に行くので、電動レンタル自転車に追突された思い出の場所でもありますので、またこの辺通るかもしれません。宝町の立ち食いそば屋に行こうとすると、通る。以上

【後報】

金子監督は、火の鳥を将来絶対映画化すると高校生当時熱く語っていたそうで、でも黎明篇は確か実写映画化されていたはずだと。ほかも映画化されてるかもしれません。未来篇とかヤマト篇とか宇宙篇とか復活篇とか鳳凰篇とか。

(同日)