『酒のほそ道 45 酒と肴の歳時記』(ニチブンコミックス)読了

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羨ましい。こんな漫画が描きたかった。 今はリアルなストーリー漫画の世界にいるが、本当はこのジャンルの漫画を描きたかったのだ。 漫画家 弘兼憲史「会長 島耕作

こんなジャンル、ラズウェル細木が開拓しなければ存在しなかったわけなので、出来上がってから勝手言うな、ファウンダーの道なき道を切り開く苦労を偲べ、とはぜんぜん思いませんでした。

というわけであとがきは勿論シマコーこと柴門ふみの宿六。漫研も10年先輩だとほとんど交流がないとか、孤独のグルメ吉田類は欠かさず見てるとか(テレビは普段は見ないんだそう)70過ぎてから食が細くなって、フレンチのコースはメインまで行かない、寿司のおまかせ握りは穴子までいかない(穴子まで行くのがひとつのセオリーとかそういうこと全然知らないです。最初にギョクとか河童巻きとか握ってもらうような人間なので)とか、最近煮魚中心に、深夜二時過ぎに酒のアテ作って丑三つ時につつく生活だとか(柳沢きみおもエッセーで、深夜ナッツとサラミとチーズで飲みながらギター弾くとあった)(夜昼逆転ですね)ひとり粋な居酒屋にふらりと入ってみるが、成功したためしがないとか、そんなことが書いてあります。情報量が多い、テコット、初芝

酒のほそ道 (45) (ニチブンコミックス)
 
酒のほそ道 45

酒のほそ道 45

 

 竹股が結婚します。いきなりネタバレ。京都に仕事場を持つ作者の投資がまた少し実るのか、お相手は京美人という設定。明治だったら立ちションしてたんだろうという。松田道雄の本で読みました、京の粋筋の女性が、大原のお百姓が持って来て辻に置くコエタゴに、和服の裾まくって立ちションする風物詩。

明治大正 京都追憶 - 岩波書店

今回、巻頭のカラー四季口絵もぜんぶ京都です。最初のカフェは、この後北野さんに行こうかしらなんつってるので、知ってる店かとも思いましたが、町屋改造カフェがいっぱいあるので、店名覚えてないともうダメだとあきらめかけましたが、「京都 おばあさん カフェ」で検索すると、四条河原町のフランソア始め、名だたるお店がずらずら出てくるので、すぐ分かりました。でもここで、かすみはナポリタンを食べるので、ナポリタンのあるカフェというと、かなり限定されてしまい、おばあさんのいる喫茶店はのきなみ除外となります。私がむかし行ってた「イタリアン」の店はもうなかったです。きくたとまつおの近く。そしてその近くのヒドい接客が話題の中華の老婆は知ってる人かもしれない。いや、もう流石に働いてないだろう… 口絵の秋が「チェアリング」なのですが、どうもこのチェアリングというと、車移動の感が強くて、飲むんですか? と聞きたくなります。アルベルみたいな1BOXで行く感じなので。それとも、背中に背負って移動して、現地で座って飲むんでしょうか。

頁17、頁19。罐詰や瓶詰でない、ホワイトアスパラを食べたことありません。

頁25、餅の黴は私も削って食べます。正月過ぎの冬の話ですが。

頁32、強炭酸で割るのが流行ってるとか。そうなんですね。強炭酸の反意語は弱炭酸でなく、微発泡と思うのですが、どうでしょう。

頁39、最近のシウマイにはグリンピースが乗ってないとか。その回のタモリ倶楽部のゲストが作者ラズウェルだったとか。だからこの回のシウマイはすべてグリンピースが描いてないとか。

何故シュウマイには、グリンピースを乗せるのですか?? - このグリーン... - Yahoo!知恵袋

シウマイどころか、いまだにグリンピースもミックスベジタブルも入れたチャーハンを厨师に作らせる新華僑の店もあって、嫌だなあと思っていると、水煮牛肉を麵にしてしまうとかそういう柔軟な発想のブレーンもいたりして、なんでも一筋縄ではいかないと思いました。

COVER DESIGN CREATIVE-SANO-JAPAN

中表紙

四季を彩る呑兵衛の足跡

 左の頁42のような装幀の仕事も、カバーと同じところがやってるのかなと。

頁43、串ものの串を外すか外さないか問題。最初に外す人を見た時は吃驚しました。世の中そんな善意もあるのかと。残さず食べる人だったらいいですけど。

頁68に太田和彦が出ます。いよいよ狭い業界だと。山形つながりもありそう。

頁117、ロマ弁。あずさで松本まで行っちゃえばもっと長時間楽しめるんじゃないのと。あるいは湘南新宿ライングリーン車で逝ってみるとか、逆方向で篭原にいくとか。小田急沿線者とは思えない発言でもうしやけありません。

頁124、立春朝搾り。ロマ弁もそうですが、ウィキペディアコトバンクニコニコ大百科(仮)、ピクシブ大辞典にこの単語の項目はありません。

頁138、鶏胸サルティンボッカ。問題は生ハムをどうやって入手すべきかで、生ハム食べ放題にタッパをしのばせて、というプランしか思いつきませんが、それはダメ。

サルティン・ボッカ - Wikipedia

 頁146、ハイボールによって、低迷していたウイスキーが暴騰し、原酒の生産が追い付かなくなるほど活況を呈しているとか。へんな日本語。

頁152、ウチは海苔は冷凍庫でなく冷蔵庫に保存してます。

頁194、たこ焼き。「大阪ではたこ焼きは家で焼くもんやで」と何度となく言われ続けましたが、一度も呼ばれたことはありませんでした。學刈也。最後に関西に行った時目についた、イカ焼き(の屋台が昔ベルマーレのスタグルにありましたが、それは関係ない話。当時はまだスタグルとは呼ばれてなかったですし)より安いキャベツ焼きなる食べ物があり、安い方向で苦闘するのもたいがいにしよし、と思いました。

頁215、ひっぱりうどんに対する筆者の忌憚ない意見あり。

竹の股の嫁キャラはムダにハードルが高い気がします。

以上