『テンジュの国 3 』"BLISSFUL LAND"(KCDX)読了

 design YASUHISA KAWATANI  この巻は一刷

テンジュの国(3) (KCデラックス)

テンジュの国(3) (KCデラックス)

 
テンジュの国(3) (週刊少年マガジンコミックス)

テンジュの国(3) (週刊少年マガジンコミックス)

 

チベットの草原を彩る夏の大祭、“競馬祭り”――開幕。

帯裏

チベット伝統の“競馬祭り”!祭りの参加権を懸けて、一家の主たちが激突!! カン・シバにライバル現る!? この感情は、嫉妬…? ラティに言い寄る、この男は…!

 このシリーズを読むと心が洗われるというか、毎度毎度、自分がチベットの知識を得たはずなのに、漢語経由の情報であることが分かる瞬間があって、非常にドキドキで楽しいものなのですが、「競馬祭り」がまさにそうです。漢語の赛马会 / 賽馬會、サイマァホイという名前で覚えている。チベット名を知らない。チンコー麥(青裸麦)や畑の1ムー(畝)とおんなじレベルなんですね。じゃあこの漫画を読めば、チベット語でサイマァフイがなんて言うのか分かるかというと、書いてません。日本語で「競馬祭り」です。なんしか、ニクいねえ、三菱、と言いたくなります。杏。

帯にも出てくる「口説き」ですが、チベット人は、儒教で抑圧されたムッツリスケベの漢人に比べ、非常に性におおらかで、百人斬りとかも結構あるそうです。もちろんモテる人だけですが。あと、多民族混住圏では、そこに住むすべての民族女性を制覇するのもステータスだとか。それで、異民族の人妻が言い寄られたのかもしれません。

ヤマトの真田さんみたいな行商の人が出て来て、この人のセリフにも有名な地名が出ますので、嫁さんと同民族なら大きなヒントなのですが、そこは書いてません。

巻末の雑学は、「一妻多夫婚」「同じ骨」「チュバ」「カター」「競馬祭り」「冬虫夏草ヤルツァ・グンブ」

一妻多夫婚は、ショトゥン祭を取材した世界!ふしぎ発見でもクエスチョンになっていて、ただしこれは旧社会のオハナシでぇ~みたく、まとめで慌てて付け加えてました。でも今でもあるんじゃないかな~、事実として。本編でも、よっぽど男が余ってるんですね、みたいな異民族の感想が入り、確かに僧院に僧侶として預けられる男性は、社会の人口調節機能の面もあったので、男性多いんだろうと勝手に思いましたが、漫画はそうは言ってません。チベットにおける財産とは何か?まで書きこんだ、財産保持の手段を強調しています。牧地の放牧権は分かりますが、水利権もあるのか。財産。(歴史上の)モンゴルは末子相続、漢族は均等相続と、ほんと民族によってカタチは変わります。弟の嫁を兄が…というケースはないんだとか。あくまで年長者の嫁を年下も、という形で、弟は拒否することも出来るとか。(嫁は?)

競馬祭りの描写は四巻にあれしますし、この巻の注記は、正直、一、二巻に比べ、首をひねる表現があり、それは四巻でまた変化するので、四巻の感想でそこは書きたいと思います。

マーモットはおいしいと私も聞いたことありますが、食べたことはないです。漫画で馬レースの賞品になるほど、貴重なものとも思ってなかったのですが… 以上